俳句愛好家の集客を戦略のフィールドに設定した組合は、全国で300万人とも言われる俳句人口に訴える具体的な取り組みを次々と展開していきます。
まず、本会の助成事業による「行灯式手づくり看板」に着手。温泉地としての情緒づくり、店頭看板の統一化による景観の整備を目的としたこの取り組みは、その作成を地元の業者とともに行うことで、これから進む方向性に対する町ぐるみでの意思統一の形成に大きく貢献しました。
この「行灯式看板」は、観光客の評判はもとより地元の住民にも好評を得て、更なる進化を遂げていきます。湯本では、湯本温泉協会が主催する俳句大会が毎年7月に開催されており、「行灯式看板」による景観整備に手応えを得た組合は、大会で入選した俳句を行灯に書き入れ、年間を通じて街区に展示するというアイディアを実行に移します。
湯本の商店街は、店と民家が混在しているという特徴を持ち、路地裏に一歩踏み出すと、排水溝から立つ湯煙が何とも言えない温泉情緒を醸し出しています。そこで、地域で暮らす人々に強く働きかけ、好評を得た「行灯式看板」をベースとする「俳句あんどん」を、温泉街の景観統一のため、各民家に門灯として設置する協力を仰ぎます。この試みは、俳句愛好家たちの関心を大いに刺激して、大会への参加者を増加させました。
平成16年度には、
「湯けむり俳句ing」と名付けたホームページを開設。Webを通じて湯本温泉を全国に広く情報発信しました(中央会支援事業を活用)。今年に入っては、「峠の俳句」コンテスト(湯本観光協会主催)を企画・開催。インターネットなどを通じて、入選60句を「俳句あんどん」として街区に展示することを広告し、俳句を募集しました。俳句の応募は、締切前の段階で全国各地から数千件を超えているとのことです(17年度も中央会支援事業を活用)。
現在は、全国から寄せられたデータを今後の財産とするとともに、集客はあくまでも手段であるとの共通認識のもと、商業者とそこで暮らす住民の連携を深めながら、温泉を訪れた人々に商店街が満足とサプライズを提供することで、町全体が活性化するという基本コンセプトの実現に向けて、個店それぞれの競争力を高めるべく、次々と新たな企画に着手しています。