組合探訪<企業組合県木住>
〜地産地消による自然な木の家づくり〜
佐藤時彦理事長

 新建材による規格住宅や、外材・集成材が当たり前となってしまった住宅建築。そのような中、スギ、ヒバ、ブナ、アカマツなど多種多様な樹種が分布するなど恵まれた森林資源を活かし、県産無垢材や自然素材による「木の家」づくりを進めている企業組合県木住。今回は、青森市にある、まもなく完成を迎えるお客様の新築住宅を訪ね、佐藤理事長にお話を伺った。

○近くの木で自然素材の家づくり
 待ち合わせたお宅は、外壁全面をスギ板が覆い、煙突の突き出た、住宅街の中で一際目を引く外観の「木の家」。玄関から木の香りが清々しく漂い、リビングには存在感のある重厚な薪ストーブ、伝統的な在来工法によるアカマツの梁組み、スギを使用した床と壁による優しい木の空間が拡がる。「土台部分にはヒバを使用し、全て県産材です。こちらのお宅は当組合で手がけた住宅で最年少の施主様で、『木の家』に強いこだわりを持っていらしたことからご依頼が有りました。」と笑顔。「木の家は完成までに膨大な手間と時間がかかります。私どもとお客さんが納得・満足のいく家づくりが出来るのは年間10棟前後が目一杯。着工数の落ち込みなど住宅業界は厳しいですが、化学物質を多用した新建材では成しえない、『近くの山の木による健康的な家づくり』という取り組みを理解された方に来ていただき、堅調に実績を重ねております。」とのこと。

▲木の家外観

▲木の空間<リビング>

○施主参加型の共同の家づくり
 「単に出来上がった家をお客様が買うのではなく、我々と共に作業を行っていただく、施主参加型が県木住の家づくりです。」と佐藤理事長。「施主様には、人体に影響のない自然素材塗料による外壁や床材の塗装、珪藻土の内壁塗りなどを作業していただいています。中には、大黒柱を山に入って自分で伐採した方もおります。」と笑顔。「自らが作業することでコストダウンに繋がり、また、木の家のメンテナンスの意識付けやノウハウを学ぶこと、何より自分がこの家を造ったという強い思い入れや満足感が得られます。お客様からも『やってよかった、貴重な体験だった』と好評です。」と取り組みに自信を見せる。

▲スギ床塗装作業

▲施主自ら伐採

○木の家のススメ
 「機能性や便利さなど、均一で精度の高い工業製品である新建材に比べ、自然素材は一つ一つの材に癖や個性があり、多少の収縮や狂いが生じやすく、傷がつきやすいなど難しさもあります。また、県産無垢材、自然素材による木の家は、価格が安いとは言えません。しかし価格を上回る価値が木の家にはあります。例えば、スギ床は、足裏から心地よい柔らかさが伝わり、優れた調湿・保温機能により夏場は素足が気持ちいいのはもちろん、冬場でも床暖房のような暖かさがあり、裸足のままで過ごされる方もおります。また、年月と共に古美(ふるび)て、鮮やかだった色合いも落ち着いた飴色に変わり、味わい深さが増していきます。山林では、伐採された間伐材が放置されるなど有効利用されておらず、木の家づくりを通して、お客さんにも喜んでいただき、森林保全にも多少なりとも貢献していると自負しております。」と語る。

○今後の抱負
 今後の抱負を伺うと、「設立当時は、施工業者やお客さんをはじめ、青森スギによる家づくりに否定的な意見が大勢でしたが、木の家の住み心地を話すユーザー交流会や、無垢材と合板材の比較体験会といった取り組み、あるいはこれまでの施主様からの評価など、木の特性を活かした地産地消の家づくりが着実に広まっていると感じています。今後は建築屋として、デザイン力に磨きをかけ、より魅力ある木の家づくりを普及させていきたい。また、お客様がスギ床を要望しても施工業者側が使用したことがないことから敬遠するケースもあり、この溝を埋めていくことも必要です。若い世代に我々が積み重ねてきた様々な経験・ノウハウを伝えていくことも重要です。効率や生産性追求ではなく、手間暇をかけた丁寧な『ものづくり』で住まい手の皆さんに喜ばれる木の家を造っていきます。」と熱い言葉で締めくくった。

企業組合県木住
理事長
佐藤時彦
組合事務所
〒030-0813 青森市松原一丁目16番25号 青森県森林組合会館2F
電   話
017−732−5333
F A X
017−732−5777
URL
http://www.kenmokujyu.com/
設立年月日
平成16年7月9日
組 合 員
6名
出 資 金
600千円

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