各業種の代表者が意見を交換
〜業種別会議を開催〜

 2月14日(木)〜3月6日(木)、秋田市のホテルメトロポリタン秋田を会場に本会の会員を7つに区分し、業界の課題克服を図ることを目的とした業種別会議を開催した。
 この会議では、昨年度出された意見・要望等への対応状況についての経過報告とともに新たに生じた業界の問題点や課題、中・長期的な目標及び国・県・本会への意見・要望等が議論された。なお、卸・小売業については、ポイントカード組合を分離して別開催した。

 会議での主な発言要旨は、次のとおりです。

卸・小売業(2月19日開催)
○ 中央卸売市場は一定の基準をクリアしないと地方卸売市場に転換しなければならず、現状のままでは地方卸売市場に転換せざるを得ない状況にある。市場再編に向け、行政と業界が協議しているが、大都市と同じ基準が課されることに対しては、引き続き改善を要望したい。
 また、地方卸売市場では卸売業者がスーパーに直接納品が可能なため、卸売業者と仲卸業者間での競合が生じることとなる。
○ 早朝からの勤務のため、採用が難しい業界であり、勤務時間などの労務条件の改善が求められている。買参人である八百屋が少なくなり、売上が減少している。また、大型店の回収サイトが長いため資金繰りが厳しく、代払制度の導入については長期的な課題としている。全国の小規模市場の事例を紹介して欲しい。
○ 石油、小麦粉、材料の値上がりにより経営が圧迫されている。新商品に関連する異業種交流会などを引き続きお願いしたい。
○ 地元資本の企業が衰退し、県外資本が流入し卸団地としてのまとまりが無くなっている。組合員の抜けた後の跡地について、組合が一旦買い取りし、売買しても不動産取得税を免税するといった 税制面での優遇措置を要望したい。
○ 県内での漁獲の半分は、地元で消費されるような仕組みづくりを希望する。早朝からの長時間勤務は、卸売市場と同様に見直しが必要である。中心市街地に核となる観光スポットを設け、人が回遊する街づくりが必要である。組合員が減少し、脱退者への出資金払戻しに伴い、キャッシュフローが悪化している。空き店舗が増加している状況にあり、その解消策を検討する必要がある。
○ 自動車需要が低迷し、県内のディーラーの経営環境は特に厳しくなっており、今後の人口動態も考えた経営が必要である。マザー事業を行う企業誘致が必要である。軽油暫定税率の二重課税の問題や自動車に関連する税負担が多く、自動車取得 税などの撤廃を要望する。
○ 卸売業者が減少したため、仕入先に苦慮してい る。メーカーでは、材料高騰であれば売価をすぐに上げる状況である。中心市街地活性化のため、駅前に大規模な駐車場を確保することが望ましいが、中小企業者だけでは負担が大きすぎるため、行政、地域も連携して取り組む必要がある。
○ 価格競争では大型量販店にはかなわない。市場に流通しない商品に付加価値をつける販売に取り組んでいるが、継続して支援を要望したい。事業費の使途については、より緩やかに使えるように要望したい。

ポイントカード組合(2月19日開催)
○ 昨年11月から地域貢献を踏まえ、教育助成券を付加したポイントカードを発行している。全県でポイントカードの相互利用や商品券が使用できれば、顧客の員外店への流出防止とともに行政が利用することでの売上増が期待できる。
○ 端末機の更新時期が市町村合併と重なり、県内で初めて組合間の相互利用システムを導入し、ポイントカードホルダーの利便性が高まった。現在は、市役所窓口での手数料納付等に使用できるように交渉している。
○ イベントがマンネリ化しており、若手経営者が加入してくれないのが最大の悩みである。
○ 売上は前年比110%であるが、加盟店が頭打ちの状況にある。イベントに関しては原油高を反映し、灯油券との交換が大変好評であった。将来は、市内のポイントカードを統合し、利用者の利便性を図りたい。
○ 隣接組合との共通の商品券企画が好評であり、今後も他のカード発行組合との間で相互利用を検討したい。
○ 街全体が低迷し、加盟店は売上不振であり、顧客に対する販促やサービスも不足しているようである。他のカード発行組合間での相互利用には賛成、市内の組合と協力したい。
○ ポイントの回収率が上がっていない。ホームページ上での全県の組合をリンクしたバーチャルモールを提案したい。

商店街(2月25日開催)
○ 高齢化の進行と人口減少の中で中心市街地と郊外大型店の共存は無理であり、高齢者が徒歩で買い物できるまちづくりが求められている。
○ 市のまちづくり活性化協議会の原案作成には、商店街関係者が参画しておらず、その原案には商店街の意見が取り入れられていない状況での事業の成功は考えられない。郊外大型店対策として、小売店はスタッフを充実させ、営業時間を工夫することで対抗できる可能性がある。
○ 商店街の人通りを考慮し、自転車の駐輪禁止を解除してほしい。また、1車線を駐車帯にするため、警察に要望しているものの許可は出ない状況であり、協力願いたい。アーケードの修理・補修等への支援を要望する。
○ 接客での商店街の魅力は違ってくる。破産者の高度化資金返済の対応で苦慮している。
○ 来客数の減少で大型店舗の収益が悪化し、規模縮小と相まって悪循環が起きている。中心市街地の再生には、コンパクトシティ構想の実現が必要であり、市に対しては大町・中通地区へ賑わいを回帰させるためにもリーダーシップを発揮してほしい。
○ 補助事業を活用しているが、精算払いのため費用立替えのための資金調達が厳しく、その手当の支援をお願いしたい。後継者不足が深刻であり、後継者育成に引き続き支援をお願いしたい。
○ 郊外大型店への対抗には、空き店舗の補充や不足業種の補充が必要である。
○ 青年部が実施したイベントは好評であったが、反面、後継者不足が深刻である。
○ 廃業や店舗移転が多く、空き店舗や空き地が増加している。中心市街地にはフルシーズン散策できる融雪歩道の整備が必要である。
○ アーケードを撤去し、街路灯を設置した。県道の駐車禁止を警察には要望しているが実現できないため、短時間でも路上駐車できるよう働きかけてほしい。
○ コンパクトシティ化に向けての対策は不可欠である。単発的な空き店舗対策でなく、人材育成に対する長期にわたる支援をお願いしたい。

運輸・サービス業(3月4日開催)
○ 違反の取り締まりが強化されている。自動車整備業では、サスペンションの分解には認証取得工場である必要があるが、2級シャーシ資格と作業スペースが必要で、作業スペース確保のための資金と資格取得のための人材育成に対して支援を要望したい。
○ 保安部品の脱着については認証取得工場となる必要がある。ハイブリット車や燃料電池車、バイオ燃料車等の新車種に対する知識も必要で、これらの講習への支援を要望したい。環境問題対策としての第1種(フロン回収)と第2種(自動車リサイクル法)に関しては、組合員においては意識が低く、高める必要がある。
○ 自動車ショーなどを開催できる施設がないため、大型コンベンションホールの建設を希望する。
○ 規制緩和によりタクシー業者は4社増加した反面、タクシー台数は減少、東北では唯一客数が減少している。燃料費の増加が経営を圧迫している。国体期間中は客数が増えものの、その後は前年比較で減少している。駅前のタクシープール内の駐車スペースが少なく、駐車スペースの確保のための協力をお願いしたい。併せて無線機のデジタル化への対応が必要であり、支援をお願いしたい。
○ 賃料は上がらず、荷物もない状況である。軽油 は値上がり、コンプライアンスの強化で人件費もアップし、運送業者は非常に厳しい状況にあり、荷主に理解を求め、運賃の値上げを実現する必要がある。また、軽油取引税の暫定税率についても撤廃を要望したい。
○ コンプライアンスの強化により、人件費がアップしている。荷主から選ばれるためには、国の安全性評価事業によるGマークの取得が必要となってきている。
○ 水洗化が進み、業務量が激減し、事業運営は極めて深刻な局面であり、生き残りの戦略について、支援を要望する。
○ 水洗化が進み、業務量が減少していることから、別法人で他業種への参入も行ってきた。
○ 人口減少にも拘わらず、一般家庭ゴミは減少していない。住宅地の郊外への拡大が収集に時間を費している。
○ 棺等の木製品の価格が30%以上値上がりしている。JA葬祭が行っている一般消費者(員外者)への勧誘については引き続き改善を要望していきたい。

木材・木製品製造業(2月14日開催)
○ 随意契約であったものが、全て一般競争入札となり、組合員同士が競争、組合の存続が危うくなっている。現場には欠かせない高性能林業機械の新規購入時のみ補助金の対象となっているが、更新時にも補助対象に加えてほしい。
○ 新設住宅着工戸数の減少が続いており、住宅建築を促進する施策制度を要望したい。
○ 建築基準法改正に伴い適合性判定が義務づけられたことで建築確認対応が大幅に遅れ、木材等関連製品の出荷量が減少し、官製不況を招いている。
○ 製材工場再編整備の促進のため、統廃合工場への助成金をお願いしたい。
○ 年間売上高は減少が続いており、企業も体質改善できずに後継者の育成の余力と体力がない。公共事業の受注は、性能表示等多くの書類と製造過程の写真添付が要求されるが、パソコン操作のできる企業が少ない状況にある。

建設業(2月28日開催)
○ 原油高騰の影響で、特にセメント・骨材の運搬コストが大きく、売価に転嫁できなければ死活問題となる。
○ 原油高による原材料の高騰に対し、行政の設計単価と実勢価格が乖離している。行政には、価格上昇の実情を調査し、設計単価の見直しをお願いしたい。
○ 下請け保護のため「専門工事審査型総合評価方式」の採用をお願いしたい。中小零細企業は、人材育成、設備投資、技術向上等の資金捻出が難しいため、人材育成に対する支援をお願いしたい。
○ 住宅用火災警報機の設置は、電気工事士か消防設備士等の有資格者が望ましいと考える。
○ 電子入札で入札対象業者が多くなり、安値入札による価格破壊が横行しており、健全経営している業者が受注できない状況にある。
○ 原材料等の高騰が大きく、国レベルでの実勢物価の調査をお願いしたい。官公需に対する更なる社会的な信頼向上の働きかけを行ってほしい。入札方法でのくじの採用は見直してほしい。
○ 見積単価、特に人件費の低下が顕著である。行政機関への陳情は、各団体別々よりも、関係団体が力を合わせ団結して実施した方が効果的と考える。
○ 官・民安値受注の上、原油の値上がりにより建設資材の殆どが値上げになっている。

繊維製品製造業(2月21日開催)
○ 原材料費の値上がりによるコスト増のため、収益性が低下している。作業環境改善のための支援をお願いしたい。
○ 従業員は高齢化しており、求人を行っているが応募はなく、特に若年者の人材確保が難しい。
○ 小ロットの受注では資材のコストが割高になるのに加え、縫製の難度と工賃があまりにも開きがある。
○ 外国人研修生の技能検定試験は各組合で対応しているが、今後、県内3会場に集約して実施できないものかを要望したい。
○ 入国管理局の担当者により、必要書類も異なるため、対応は均等にしてほしい。

食料品・その他製造業(3月6日開催)
○ 原料大豆は高騰しているが、価格転嫁ができない。取引先の殆どがスーパーのため取引価格が自由に設定ができないなど、生き残りに苦労しており、危機的状況にある。
○ 原油高により生産経費が急騰し、経営を圧迫している。同一原料を使用している異業種が共同で原料を購入できる組織づくりも必要であり、支援をお願いしたい。省庁を超えた農工商連携の取り組みや長期的な展望での人材の教育訓練を要望する。
○ 消費者に対しては、安全な中国産原材料の使用について周知するとともに食品表示に関して周知徹底する必要がある。原材料価格の値上げにより価格転嫁は避けられない。企業のコストに大きく係わるマークアップ方式の見直しを農水省に働きかけてほしい。
○ 中国産原料に対する消費者の目は厳しい。国産原料で対応できない原料も多く、国産原料の調達が今後の課題であり、契約栽培などの策も必要である。原料に伴う価格転嫁は避けられないが、消費者や小売店の理解が大きな課題となっている。業者間取引での食品表示も対応に迫られている。
○ 家畜用飼料の値上がりが酪農家に大きなしわ寄せがきている。製品への価格転嫁も取引業者間とで思うように進んでいない。今後、酪農家の廃業も進むことが予想され、酪農及び乳業の振興策を要望する。飲用牛乳の消費が減少しているので、「地産地消」の観点から各団体や行政等の会合で牛乳の消費に協力してほしい。
○ 後継者不足が悩みで、今年度2業者が廃業した。価格の適正化と廉売競争の歯止めが大きな課題である。原料高騰による価格転嫁は難しいため、製品の差別化を図らなければ生き残れない。異業種交流などにより活路を見出したい。
○ 消費者の魚離れが大きな課題である。他県に比べ加工品が少なく、他の食品との組み合わせによる「ブランドづくり」と県内の加工会社の育成が急務と考える。
○ 当業界では80%が輸入原料である。高くても国産原料のものを食べたいという消費者の意識があり、原料の安定供給が今後の課題である。トレーサビリティの適度な規制強化は必要である。地域団体商標への出願ができ、今後も支援をお願いしたい。
○ この10年間で組合員数が半減している。組合内では後継者の育成も含め、Uターンで秋田に帰る人材を対象にした職業訓練での菓子専門コース設置についての要望も出されている。地域団体商標も取得し、ブランド化を進める中で組合員の意識の共有化を図っている。

 この会議において出された意見・要望等はその内容を整理・集約し、分野別専門委員会での検討・審議を経て中小企業団体全国大会に向けた要望事項として提出されるほか、本会事業に反映させることとしている。



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