改正組合法と組合会計基準について(1)

 
 中小企業の新たな事業活動の促進に関する法律(中小企業新事業活動促進法)は、それまでの新事業創出促進法・中小企業の創造的事業活動の促進に関する臨時措置法・中小企業経営革新支援法の3法を利用者にとって分かりやすい施策体系にするため、整理統合し、「創業」「経営革新」「新連携」の取り組みについて支援する法律として平成17年4月に施行されました。


一般組合が対応しなければならない改正点

◆役員(理事・監事)の任期の変更
 理事の任期 3年以内→2年以内
 監事の任期 3年以内→4年以内
となったことから、現行定款において理事の任期を3年としている組合においては、定款の変更が必要となります。定款の変更認可申請時期については、ご相談ください。

◆理事による利益相反取引の制限
 理事と組合の取引に関して、自己契約に加え、組合と当該理事との利益が相反する取引をしようとする場合、理事会において当該取引について重要な事実を開示し、その承認を受けなければならなくなりました。また、当該理事に対して取引後の理事会への報告が義務づけられました。

◆役員の資格要件(欠格要件)の創設
 資格要件が創設されたことにより、欠格事由に該当する者を役員に選任しても、その選任決議は内容が法令に違反するものとして無効であり、たとえその者が就任を承諾しても役員となることができません。また、役員が欠格事由に該当するに至った場合には、その役員は資格喪失によって退任し、その者は役員でなくなります。

◆監事の権限拡大、監事の権限限定と組合員の権限拡大
 監事には、原則、業務監査権限が付与されましたが、経過措置に留意する必要があり、経過措置期間中は監事の権限を業務監査にまで拡大することはできません。
 組合員数※(後掲)が1,000人以下の組合では、定款に監事の権限を会計に関する監査に限定する旨を定めることで、これまでどおり監事の権限を会計に関する監査に限定することができます。この場合、組合員に理事会の招集請求権が与えられるなど、監事の業務監査権限に相応する権限が組合員に与えられます。現在の定款規定では、監事の権限が会計に関する監査に限定されているものとみなされます。
 また、監査権限を会計に限定するか否かにより、総会・理事会議事録の記載事項等が異なることに留意が必要です。

◆決算関係書類等の作成・手続の明確化
 通常総会の招集通知と併せて、組合員に提供することが必要なものは、決算関係書類、事業報告書及び監査報告であり、通常総会の議決を要することとなっている収支予算や事業計画などは事前提供の対象となっていません。手続については、フロー図のとおりとなっています。

◆会計帳簿等の保存の義務化、会計帳簿の閲覧請求要件の緩和
 会計帳簿については、会計帳簿の閉鎖後10年間の保存が義務づけられました。会計帳簿の閲覧請求要件が、総組合員の10分の1から100分の3に緩和されました。定款でこの割合をさらに緩和することもできます。ただし、共済事業を行う組合については、10分の1とされています。

◆施行規則に基づく決算関係書類、事業報告書、監査報告の作成
 組合が作成しなければならない決算関係書類(財産目録、貸借対照表、損益計算書、剰余金処分案又は損失処理案)や事業報告書、監査報告については、主務省令(施行規則)に基づき作成することが義務づけられ、具体的な作成基準が定められました。
詳細については、次月号以降に掲載予定です。

◆軽微な規約等の変更の場合の総会議決の省略
 規約等の設定、変更、廃止は総会の議決事項ですが、軽微な変更及び主務省令(施行規則)で定める変更事項に関しては、定款でその旨及び組合員への通知方法等を定めることにより、総会の議決を要しないこととすることができるようになりました。

◆理事、監事ごとの役員報酬の設定
 会社法の準用により、理事、監事の報酬の設定は、それぞれに区分し、総会の決議によって定めるか、定款へ記載することが必要となりました。

◆共済事業に関する定義の創設
 組合の行う福利厚生事業のうちで主務省令で定める一定の共済事業に対して諸規制が課されることとなりました。

組合員数※(後掲)(連合会:会員組合の組合員数の合計)が
1,000人を超える組合に上乗せされる改正点

◆監事の権限拡大の義務化
 大規模組合の監事には会計監査権限に加えて業務監査権限が与えられます。

◆員外監事選任の義務化
 最低1名の員外監事を選出することが義務となり、これまでの員外監事とは異なった方々を選出する必要があります。

◆余裕金運用の制限
 資産の運用先に制限が設けられ、運用が可能なものとしては、預貯金、国債、地方債、一定の安全性が確保された有価証券とされており、具体的には省令等で規定されています。

◆その他
 役員の組合に対する損害賠償責任の免除については、一定範囲での免除が総会の特別議決を経ることなく、定款に記載することにより、理事会の議決をもって免除することができるようになりました。ただし、監事に業務監査権限を付与しない組合では、総会の特別議決によらなければなりません。また、員外役員に対する損害賠償責任の免除に関連して、定款に定めることを前提に組合と個々の員外役員の間で責任限定契約(大規模組合でなくても可能)を締結することができるようになりました。

※共済事業を実施している事業協同組合の組合員として組合が加入している場合には、その組合員である組合の組合員数の合計から組合員である組合の数を減じて得られた数に組合以外の組合員数を加えた数が1,000人を超えるかどうかで判断されます。

改正組合法説明会を開催

前田正人公認会計士
 本会では、10月16日〜11月22日、県内組合の役職員を対象に改正組合法説明会を県内の7会場で開催した。この中で、講師である前田正人公認会計士からは、改訂組合会計基準の個別論点についての解説が行われ、本会職員からは組合法等改正による中小企業組合制度の変更点について説明が成された。出席者は熱心に聴講し、要点をメモをとるなどしていた。


通常総会開催までの手続きフロー図

「決算関係書類」「事業報告書」の作成
組合は、「決算関係書類(財産目録、貸借対照表、損益計算書、剰余金処分案又は損失処理案)」及び「事業報告書」を作成しなければならない(40条(2))。
監事への「決算関係書類」「事業報告書」の提出
組合は、「決算関係書類」「事業報告書」について、監事の監査を受けなければならない(40条(5))。
監事の監査、「監査報告」の作成・通知
監事は、受領した「決算関係書類」「事業報告書」について、監査方法・内容等を記した監査報告を作成し【※1】、理事に対し、「決算関係書類」「事業報告書」の全部を受領した日から4週間経過した日、もしくは理事との合意により定めた日のいずれか遅い日【※2】までに監査報告の内容を通知しなければならない(施行規則91条(1))。
【※1】:監事の監査権限を会計に関するものに限定した組合の監事は、「事業報告書」の監査権限がないことを明らかにした監査報告を作成しなければならない。
【※2】:監査期限は、監事と理事の合意があっても4週間を下回る期限を予め定めることは不可(ただし、4週間を下回る日までに監事が理事に監査報告を通知すれば、その時点で監査を受けたこととなる)
理事会招集通知の発出【※3】
理事長は、理事会の会日の1週間前【※4】までに、各理事【※5】に対し、理事会招集通知を発出しなければならない(36条の6(6))。
【※3】:理事(監事に業務監査権限を付与している組合は、理事及び監事)全員の同意があれば招集手続の省略可(36条の6(6)において準用する会社法368条(2))
【※4】:短縮可(1週間を下回る期間を定款で定めた場合はその期間(36条の6(6)において準用する会社法368条(1))
【※5】:監事に業務監査権限を付与している組合は、各監事に対しても発出しなければならない(36条の6(6)において準用する会社法368条(1))
理事会の開催
理事会では、通常総会の開催及び議案の議決をするとともに(49条(2))、監事の監査を受けた「決算関係書類」「事業報告書」の承認を行う(40条(6))。
「決算関係書類」「事業報告書」の備置き
組合は、通常総会の会日の2週間前までに、「決算関係書類」「事業報告書」を主たる事務所に、それらの写しを従たる事務所に備え置き、組合員の閲覧に供する(40条(10)・(11))。
総会招集通知の発出【※6】・「決算関係書類」「事業報告書」及び「監査報告」の提供
理事長は、通常総会の会日の10日前【※7】までに組合員に到達するよう、総会招集通知を発出する(49条(1))。総会招集通知には、議案のほか、会議の日時、場所等会議の目的たる事項を示すとともに、理事会の承認を受けた「決算関係書類」「事業報告書」及び「監査報告」を添付し、組合員に提供しなければならない(40条(7))。
【※6】:組合員全員の同意があれば招集手続の省略可(49条(3))(この場合、招集通知発出の際に必要な添付書類も不要)
【※7】:短縮可(これを下回る期間を定款で定めた場合はその期間(49条(1))
通常総会の開催



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