組合と経営革新計画

 
 中小企業の新たな事業活動の促進に関する法律(中小企業新事業活動促進法)は、それまでの新事業創出促進法・中小企業の創造的事業活動の促進に関する臨時措置法・中小企業経営革新支援法の3法を利用者にとって分かりやすい施策体系にするため、整理統合し、「創業」「経営革新」「新連携」の取り組みについて支援する法律として平成17年4月に施行されました。

◆法律のねらい
創業及び新規中小企業の事業活動の促進
中小企業の経営革新及び異分野連携新事業分野開拓(新連携)の促進
中小企業の新たな事業活動の促進のための基盤整備(経営基盤強化の支援、新技術を利用した事業活動の支援(SBIR)、地域産業資源を活用して行う事業環境の整備)

 この法律では、経営革新を「事業者が新事業活動を行うことにより、その経営の相当程度の向上を図ること」と定義しており、中小企業が今日的な経営課題に即応するために行う新たな取り組みによる経営の向上を全業種にわたり幅広く支援するものとなっています。

◆特 徴
業種による制約条件をつけないで、全業種の経営革新を支援
単独の企業だけでなく、任意グループや組合等の柔軟な連携体制での経営革新計画の実施が可能
具体的な数値目標を含んだ経営革新計画の作成が要件
都道府県等が、承認企業に対して、経営革新計画の開始時から1年目以後2年目以前に、進捗状況の調査(フォローアップ調査)を行うとともに、必要な指導・助言を行う

 経営革新計画の承認を受けた事業者に対しては、各種の支援施策が用意され、それぞれ、新しい取り組みに必要な支援制度を活用しており、平成19年9月までの経営革新計画の承認件数の全国累計は29,770件で、このうち本県分の承認件数については、180件(組合等では6件)となっています。
 具体的には、新事業活動や経営目標を盛り込んだビジネスプランを作成、県へ承認申請を行い、知事の承認を受けることとなりますが、承認申請には、事業内容として、これまで自社で取り組んでいなかった、以下のような新たな事業活動の計画が必要となります。

◆承認の対象となる計画
新商品の開発や生産
新役務(サービス)の開発や提供
商品の新たな生産方式や販売方式の導入
役務(サービス)の新たな提供方法の導入その他新たな事業活動

◆目標数値
経営の相当程度の向上
付加価値額または従業員1人あたりの付加価値 額が年率平均3%以上伸び率が設定されること
(※)付加価値額=営業利益+人件費+減価償却費
経常利益が年率1%以上伸びる計画
(※)経常利益の算出については、計画承認を受けた中小企業者の資金調達に係る財務活動に係る費用(支払利息、新株発行費等)を含み、本業との関連性が低いもの(有価証券売却益、賃料収入等)は含まないものとする。
 本県の場合、計画の期間は3年間〜5年間となっているため、下表の目標数値を必要とします。
計画終了時
「付加価値額」又は
「1人当たりの
付加価値額」の伸び率
「経常利益」の
伸び率
3年計画の場合
9%以上
3%以上
4年計画の場合
12%以上
4%以上
5年計画の場合
15%以上
5%以上

◆支援内容
 別途申請し、審査を受けることが必要ですが、次のような支援制度が用意されています。本県では、補助金制度はありませんが、フェニックスプラン21を利用することもできます。
政府系金融機関による低利融資制度
高度化融資制度
信用保証の特例
課税の特例
特許料等の減免措置
中小企業投資育成制度の特例事業

全体フロー図

活用事例 小規模多機能型居宅介護施設を開所
〜企業組合秋田福祉サービス〜
 企業組合秋田福祉サービス(鎌田憲悦理事長)では、平成18年10月、役務(サービス)の新たな提供方法の導入その他新たな事業活動を行うべく「経営革新」の承認申請を行った。この背景には、平成15年5月の創業以来、介護保険法の指定訪問介護事業所として従業員教育(「健康」「自活」「その人らしく」)を徹底するとともに、利用者との信頼関係を意識してサービス提供を行ってきた。その間、指定居宅介護支援事業を事業追加しているが、平成18年4月の介護保険制度の改正に伴い、利用者に対して新たなサービスの提供が必要と考えたからである。
 その計画の中核は、小規模多機能型居宅介護施設を建設し、24時間365日切れ目のないサービスを提供することで家族の介護負担を軽減し、安心した暮らしを支える地域密着介護事業所を目指した計画となっている。
 計画承認後、支援制度の活用により施設を建築し、本年11月に小規模多機能型居宅介護事業所(事業所名:ふきのとう)を開設し、日夜、「わたし、私の家族・友人にも利用を勧めたいサービスを、私たちは一つひとつ、みなさんと共に創ります。」のコンセプトのもと、介護事業に取り組んでいる。

24名限定の登録制
延床面積 281.96m2 (85.29坪)
事業所所在地 秋田市濁川字家ノ前113番

小規模多機能型居宅介護事業とは、
 介護保険制度が改正され、平成18年4月から始まった地域密着型サービスのひとつで、介護が必要となった高齢者が、今までの人間関係や生活環境をできるだけ維持できるよう、事業所に登録(定員は25名以下)している利用者に対して、「通い」を中心に、「訪問」、「泊まり」の3つのサービスを提供できるのが大きな特徴で、24時間柔軟に一体的に提供する形態の介護効果の高いサービスです。
 小規模多機能型居宅介護事業は、利用者にとっては、いつも通っている事業所のスタッフが、必要なときは訪問してくれるし、なじみのある事業所に泊まって介護を受けることもできるという、非常にメリットの大きなサービス形態です。介護の効果が高く、事業所は他の事業所との差別化を図ることができるメリットがあります。



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