平成18年度 中小企業労働事情実態調査結果
〜集計速報版より〜
〜景況感はやや上向く〜
 本会では、毎年7月1日を調査時点として全国統一様式により郵送調査を実施しているが、本年も県内の回答のあった事業所を独自で集計・分析を行い、速報版としてとりまとめた。本県では、800事業所(製造業450、非製造業350)を対象とし、430事業所から回答(回答率53.8%)があった。
 詳細な調査結果については、全国のデータが出揃う12月の初めに報告書として発行を予定しているが、今回は速報版として主要項目をピックアップして掲載したものである。

1 調査対象年月日
平成18年7月1日
2 調査対象事業所
800事業所
3 回答事業所数
402事業所
4 回答率
53.8%

I 経営状況
 厳しい経営環境の中で、県内の中小企業の経営状況を見ると、「悪い」が44.0%と多かったのに対し「良い」は11.6%となっている。昨年度調査との比較では、「良い」が2.9ポイント増加し、「悪い」が7.7ポイント減少していることから、総じて県内中小企業の経営状況はやや上向きの状況となっていることが伺える。
図−1 経営状況

II 経営上の隘路
 経営上の隘路を3項目以内で選択してもらったものであるが、この結果、「販売不振・受注の減少」が56.7%と最も多く9年連続で1位となっている。
 次いで、「原材料・仕入品の高騰」が38.8%、「同業他社との競争激化」が38.4%となっている。上位3項目は前年度と変わらないが、僅差ながら昨年度は3位だった「原材料・仕入品の高騰」が2位に、また2位だった「同業他社との競争激化」が3位に後退した。
図−2 経営上の隘路

III 経営上の強みについて
 経営上の強みを3項目以内で選択してもらったものであるが、この結果、「顧客への納品・サービスの速さ」が31.9%と最も多く、次いで、「製品の品質・精度の高さ」が24.0%、「組織の機動力・柔軟性」が23.3%と続いており、この3項目の順位は昨年度と変わりはないが、それぞれ回答割合が減少傾向にある。
図−3 経営上の強み

IV 従業員の労働時間について
 週所定労働時間については、「40時間」が47.0%「38時間超40時間未満」が34.9%、「38時間以下」が10.5%となっており、「40時間以下」の事業所が92.4%と昨年度(90.8%)より増加している。
図−4 従業員の労働時間

V パートタイマーについて

(1) 活用する理由について
 パートタイム労働者を雇用している196事業所の活用する理由を見ると、「人件費が割安なため」が37.2%と最も多く、次いで「一時的な繁忙に対応するため」が32.1%、「仕事の内容が簡単・単純なため」が30.6%で上位3項目を占めている。
図−5 パートタイマーを活用する理由

(2) パートタイマーの主な仕事について
 パートタイム労働者が主として行っている仕事では、「正社員よりも範囲を限定した仕事」が41.3%と最も多く、次いで「正社員よりも軽易な仕事」が31.6%、「正社員とほぼ同等の仕事」が25.5%と続いている。
図−6 パートタイマーの主な仕事

VI 高年齢者の継続雇用について

(1) 措置の対応方法について
 「継続雇用制度を導入した」が59.8%と過半数を占めた。次いで、「対応していない」が26.0%、「62歳以上の定年に引き上げた」が10.0%と続いている。
図−7 措置の対応方法

(2) 継続雇用制度の導入に当たっての課題について
 継続雇用制度の導入に当たってどのようなことが課題になったかを見てみると、「賃金体系や水準の見直し」が67.3%と圧倒的に高い結果を示し、次いで「役職や人事制度の見直し」の26.8%、「業務や作業内容の見直し」の23.7%と、これら3項目が上位を占める結果となった。
図−8 継続雇用制度の導入に当たっての課題

VII 団塊世代の退職の影響について

(1) 団塊世代の退職の影響について
 団塊世代の退職が各事業所の経営にどのような影響を及ぼすかを見てみると、「影響はない」が46.3%と最も多く、次いで「マイナスの影響が強い」が32.3%と多く、「プラスの影響が強い」は7.3%と低い結果を示した。
図−9 団塊世代の退職の影響

VIII 新規学卒者の採用計画について
 平成19年3月学卒者の採用計画については、「ある」とする事業所が430事業所のうち53事業所と増加傾向にある。逆に、「ない」は66.3%と前年度に比べ3.4ポイント減少しており、明るさが窺える。
表−1 新規学卒者の採用計画
区分
平成18年度
平成17年度
平成16年度
平成15年度
事業所数
比率
事業所数
比率
事業所数
比率
事業所数
比率
ある
53
12.3
47
11.7
46
10.0
43
10.7
ない
285
66.3
280
69.7
331
72.3
292
72.5
未定
92
21.4
75
18.7
70
15.3
68
16.9
N.A
11
2.4
 また、採用計画のある53事業所の採用予定者数を見ると、全体では164人となっており、昨年度より42人多くなっている。昨年度の回答数が本年度より28事業所少なかったことを勘案しても、かなりの増加傾向にあるものと思われる。
表−2 新規学卒者の採用予定者数
区分
平成18年度
平成17年度
平成16年度
事業所数
採用予定者数
事業所数
採用予定者数
事業所数
採用予定者数
高校卒
35
100
31
82
31
85
専門卒
12
16
5
6
6
10
短大卒
7
10
4
7
3
3
大学卒
22
38
16
27
19
33
合 計
76
164
56
122
59
131

IX 賃金改定状況について
 本年1月から7月1日(調査時点)までの賃金の改定状況を見ると、賃金を「引き上げた」事業所が28.1%で昨年度の28.9%に比べ0.8ポイント減少している。また、一方、「引き下げた」事業所は2.8%で昨年度(2.5%)に比べ、0.3ポイント率が下がっている。また調査時点で「未定」としているところが、昨年の49.5%から57.2%と7.7ポイント増えている。
図−10 賃金改定状況



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