年頭のご挨拶

商工組合中央金庫秋田支店
支店長 小池 直樹

 新年明けましておめでとうございます。
 秋田県中小企業団体中央会並びに会員の皆さまには、平素より格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。お健やかに新春をお迎えのことと心からお慶び申し上げます。
 顧みますと、昨年のわが国経済は、年初から一進一退の状況が続きましたが、年央以降輸出が増勢に転じ、設備投資も堅調に推移するなど、景気が穏やかに回復を続けました。そうした動きは雇用や所得の改善を通じ個人消費にも及び、デフレも徐々に解消に向かい、先行きに対する明るい見方が広がる一方で、原油をはじめとする素材価格の高騰が経済に与える悪影響として懸念されました。
 さて、本年はどのような年になるのでしょうか。本年は『戌(犬)』年で、干支では丙戌(「ひのえ・いぬ」)にあたります。
 『丙』は「明らかに」という意味で、昨年の『乙』よりもさらに伸びる陽気を持っていながら、囲いの中に閉じ込められている様子を表しています。勢いが盛んになっても調子に乗らず、衰えに対する準備を怠るなという教えも含まれているようです。一方、『戌』は草木が繁茂して薄暗い様子を示しています。剪定して明るくしなければならない、言い換えると物事の整理が必要な年と解されます。
 丙戌の年は、昨年の乙酉(「きのと・とり」)の年から伸びていく力が一段と強まる反面、片付けなければならない課題も多い年回りということで、まだ平坦な道ではなさそうですが、新しい力がしっかり育っていくことを信じます。
 今年の経済情勢を展望しますと、わが国経済は素材価格の行方等リスク要因を抱えつつも、海外経済はおおむね堅調な推移が見込まれ、総じて企業部門の収益力が高まっていることなどから、わが国経済も緩やかな回復が続くものと思われます。そうした中、中小企業の景況感についても昨年夏場以降持ち直してきたものの、改善の度合いは大企業に比べて緩やかで、地域や業種によるバラツキも目立っており、当県におきましては、未だ景気回復を実感できる状況に至っておりません。
 このような環境下、商工中金は、中小企業の皆さまの生の声を業務に活かしながら、総合的な金融サービスを安定的に提供することにより、「地域再生・活性化への貢献」や「セーフネット機能の発揮」及び「中小企業の皆さまの資金調達多様化」への取組みを通じ、中小企業の皆さまがその企業価値を高め、持続的に成長することを支援しております。
 次に、昨年議論された政策金融改革につきまして、述べさせていただきます。昨年11月29日、「政策金融改革の基本方針」が経済財政諮問会議において決定され、商工中金につきましては、財務基盤整備等のための移行措置が講じられた上で、所属団体中小企業向けのフルバンキング機能を行う機関として完全民営化するとの方針が示されました。これまでの政策金融改革に関する議論の過程におきましては、出資者、お取引先、中小企業関係団体の皆さまを始め、多数の方々より絶大なるご支援を賜りましたことを、まずもって、心より感謝申し上げます。今回示された民営化の方向につきましては、商工中金が、他の政策金融機関と異なり、昭和11年の設立当初より中小企業組合と政府が共同で出資した金融機関として運営され、政府からの収支補填を受けることなく健全な経営が行われていることから、現在の機能を維持しつつ、さらに自立化を進めるべきであると評価されたものと受け止めています。今後、政府において基本方針に沿った詳細な制度設計が行われ、具体的な移行措置が講じられた上で、平成20年度から新たな経営形態になる予定です。なお、「政府金融改革の基本方針」において「現に貸付等を受けている者及び発行債券の所有者に弊害が発生しないようにする」と示されておりますので、お借入・債券貯蓄取引等ご利用いただいているお取引先の皆さまにおかれましては、引き続きご安心してお取引いただきますようお願いいたします。
 私ども商工中金といたしましても、これからも中小企業組合と中小企業の皆さまの成長発展を支援するとともに、お取引いただいている皆さまから、より信頼される金融機関を目指して職員一同決意を新たに取組んでまいりますので、今後とも、格別のご指導とお引き立てを賜りますようお願い申し上げます。
 年頭にあたり、皆さまのご繁栄とご健勝をお祈り申し上げ、ご挨拶といたします。



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