「中小企業の新たな事業活動の促進に関する法律案」が提出されました!

 本年2月4日、「中小企業の新たな事業活動の促進に関する法律案」が閣議決定され、同日付けで、国会に提出されましたので、その概要についてお知らせします。

法律改正のネライ
 利用者にとって分かりやすい施策体系を実現するために、「中小企業経営革新支援法」、「中小企業の創造的事業活動の促進に関する臨時措置法」、「新事業創出促進法」の3法律を整理統合するとともに、昨今の経済社会環境の変化を踏まえた施策体系の骨太化を図り、中小企業が柔軟な連携を通じて行う新たな事業活動(新連携)を支援するため、中小企業の新たな事業活動の促進を柱とした新法となります。

I 改正の背景
我が国経済社会を巡る劇的構造変化
1 グローバリゼーションの進展と市場競争の激化
2 先端分野における目覚ましい技術革新
3 少子高齢化と人口減少
4 環境・医療・福祉分野など、社会的要請の多様化と需要の増大
市場環境に応じた柔軟な連携が必要
1 ビジネス時間軸の短縮化とスピード経営の必要性
2 非系列化と「機能発注」の増大
3 技術・ノウハウの摺り合わせによる高付加価値化の実現・多様な需要への対応
4 自らの「強み」「得意分野」への特化
5 投資におけるリスク最小化
◎中小企業が他者と連携

◎相互に経営資源を補完
◎高い付加価値を実現

◎「新連携」を支援

 「新連携」とは、中小企業同士が、異なる分野で蓄積した技術・ノウハウを持ち寄り、それらを「摺り合わせ」することで新たな事業・製品を開発する試みです。
「新連携」の背景として、近年、特定分野で強みを持った中小企業が、他の中小企業や中堅・大企業、研究機関やNPOなどと連携し、新しい事業分野に展開する動きが活発化しています。
 そのため、頑張る中小企業の方々を応援するため、新法を制定し、こうした連携への支援を新法の一つの柱とすることとしています。

II 創業・中小企業の経営革新等への総合的な支援
【これまでの施策体系】
◎支援対象や支援措置が類似していることから3法を整理・統合することにより、国民にとって分かりやすい法律に再構築

ポイント
(1) 使い易さ・分かり易さを追求し、創業・経営革新等に関する従来からの施策を整理・統合
(2) 新たな動きである新連携に対する支援を追加し、施策全体を骨太化

III 具体的な措置
(1)創業の促進
 これから事業を開始しようとする個人や創業5年以内の事業者などについて、中小企業信用保険や中小企業投資育成株式会社法の特例を通じて、その資金調達を支援する。また、エンジェル税制によって個人投資家からベンチャー企業へのリスクマネーの供給を円滑化する。
 さらに、資本金1円から会社設立を可能とする商法の最低資本金規制の特例を引き続き措置するなど、経済活力の源泉である創業を幅広く支援する。

(2)経営革新の促進
 中小企業が新たな事業活動を行うビジネスプランを策定し、その経営の向上を図る経営革新への取り組みを支援する。
 具体的には、中小企業信用保険や中小企業投資育成株式会社法の特例により経営革新に取り組む事業者の資金調達を支援する。また、経営革新に必要な設備投資について所要の税制措置を講じるなど、付加価値を創出する経営革新を幅広く支援する。

(3)新連携の促進
 中小企業が他の中小企業、中堅・大企業、大学・研究機関、NPO等と連携し、それぞれの有する「強み」を相互に持ち寄って高付加価値の製品・サービスを創出する新たな事業(新連携)を支援する。
 具体的には、中小企業信用保険や中小企業投資育成株式会社法の特例により、連携に参加する中小企業の資金調達を支援する。また、設備投資減税を措置するなど、経営資源の限られる中小企業が目指すべきビジネスモデルの一つである新連携を幅広く支援する。
※ 実施に当たっては各地域に「新連携支援地域戦略会議(仮称)」(下図参照)を立ち上げ、新連携を行う事業者に対して市場化までの一貫した支援を行い、地域中小企業の活性化を図る。

(4)新たな事業活動の促進のための基盤整備
 中小企業が国等の研究開発補助金により開発した新技術を利用して行う事業活動に対する支援や、地域における新事業支援体制の構築(事業者に対して各種支援措置やアドバイス等を効果的・効率的に提供するワンストップサービスの実現)など、中小企業の新たな事業活動を促進するための基盤整備を充実する。

IV 新法の施策体系
新連携を成功させている企業グループに共通する要素としては、
 (1) 市場ニーズの確実な捕捉
 (2) 相互補完的な関係と連携による実現可能性
 (3) 対外的な責任主体となりうる中心企業(コア企業)の存在
 (4) 工程管理・品質保持率等の取り決めの存在
の4点があげられます。
 新法においては、こういった要素を具備した連携体を対象として認定し、支援する方針であり、これを通じて新連携にかかるノウハウの普及も図る予定となっています。



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