年頭所感

商工組合中央金庫秋田支店支店長
野村重美

 新年明けましておめでとうございます。
 秋田県中小企業団体中央会並びに会員の皆様方には、平素から格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。平成16年の新春を迎えるにあたり、所感の一端を申し述べて年頭のご挨拶にさせて頂きます。
 まず、昨年の我が国経済を振り返りますと、年前半はイラク戦争や、SARSの影響もあり、景気はやや低調に推移しました。これらが一応の終息を迎えた夏場以降、米国やアジア経済の好転の影響を受けて、緩やかな回復過程に入りました。当県におきましても、企業の倒産件数や負債額は前年を下回ったものの、雇用・所得環境は依然として厳しく、また冷夏も少なからず経済にマイナスの影響を与えました。一方、合板・集成材が堅調に推移したことに加え、年後半からは電子部品・機械金属製品等が持ち直し、一部に設備投資の動きも見られるようになりました。
 こうした中、金融面では、大手行が「金融再生プログラム」に則り、不良債権処理を加速する一方で、収益の改善に向けた動きが本格化してきました。また、地域金融機関は「リレーションシップバンキングの機能強化計画」を策定し、中小企業の再生と地域の活性化を図る様々な対策を図ることで、不良債権問題を同時に解決しようとする取組みが現実的なものとなってきました。足利銀行の破綻はこの動きを一層加速させることになると見られています。
 今年の経済情勢を展望しますと、好調な米国経済に牽引されて、欧州・アジア経済の成長率が一段と高まることが見込まれます。我が国経済も外需の増加から生産活動や設備投資が上向くことが期待されます。ただ、デフレの長期化から所得環境の明確な好転は期待し難く、個人消費や住宅投資など家計部門は底堅く力強さに欠けるものと考えられます。そのため、設備投資の回復は穏やかなものに止まることも否定できません。公共投資も財政支出抑制方針から減少が見込まれています。このように、2004年の国内経済は、回復基調が続くとはいえ、その持続力に不安を抱えながらの展開となりそうです。
 日本経済は大規模な構造変化の渦中にあり、今まさにその正念場に直面しているといえます。中小企業におきましても、「日本経済のダイナミズムの源泉」としての役割を担いつつ、持ち前の機動性や創造性を如何なく発揮し、新たな発展の礎を築くことが求められる重要な年になると考えられます。
 今年の干支は甲申(きのえ・さる)です。「甲」は草木が殻を破り芽生えていく象形文字だそうで、革新の動きが始まる予感がします。さらに「申」は伸びると同意語で、新しい力の進展や挑戦を表しており、そういう意味では、今年の干支には寒さで強張った身体が気持ちよく引き伸ばされるような響きがあります。企業活動にとっても躍動するエネルギーが感じられる年回りとなりそうです。
 私ども商工中金も環境変化に的確に対応すると共に、中小企業政策に沿いながら、メンバーズシップに基づく中小企業専門の政府系総合金融機関として、秋田県中小企業団体中央会様と連携を密にしつつ、中小企業の皆様の幅広いニーズにお応え出来るよう一層の努力を続けてまいります。どうか本年も宜しくご支援を賜りますようお願い申し上げます。
 年頭にあたり、皆様のご繁栄とご健勝をお祈りいたしまして、新年のご挨拶といたします。



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