平成15年度 秋田県産業経済労働部施策の重点
〜あきた21総合計画の推進〜

施策の基本方針

 本県経済は、昨年春先から回復基調にあった電気機械の生産水準がここにきて低下傾向にあるなど、生産面での持ち直しの動きが鈍化しているうえ、需要面でも設備投資や個人消費に回復へ向けた動きがみられないなど、依然として厳しい状況が続いております。雇用情勢についても、有効求人倍率が低水準で推移しているうえ、高校卒業者の就職内定率も極めて厳しい情勢となっております。
 こうした厳しい経済・雇用情勢は、中国の台頭にみられるような急速な経済のグローバル化の進展が世界的規模での価格競争・企業間競争の激化や生産拠点の海外シフトをもたらしていること、硬直化した我が国の社会経済システムが時代の大きな変化に対応できていないことなどを背景としたものでありこれまでにない政策対応が求められる非常に困難な局面にあります。
 このような状況の中で、本県の経済活力を維持・発展させていくためには、足元の経済情勢に対応した緊急的な対策を講じるとともに、大学や公設試験研究機関等が有するポテンシャルの高い事業シーズや企業が持つ特徴ある技術、さらには豊かな自然、歴史、文化などの観光資源や環日本海交流の地理的優位性など、本県の優れた産業資源等を十分に活用しながら、社会の変化に対応し、厳しい競争を勝ち抜いていける産業や企業の創出・育成を図ることが重要であります。
 こうした観点から、平成15年度においては、あきた21総合計画に基づきながら、雇用や中小企業に対するセーフティネットの強化など、厳しい状況を踏まえた対策を講じるとともに、中長期的な視点から、経営革新や新分野の開拓など既存企業の競争力強化や、産学官連携の強化等を通じた新産業・新事業の創出、恵まれた観光資源を活用した地域の活性化等に向けて、産業経済労働施策を推進してまいります。

あきた21総合計画の推進
I 独創性に富んだ企業活動の促進
・新産業・新事業創出に向けた支援
・経営革新による企業競争力の強化
・事業所支援型サービス業の振興
・資源リサイクル産業の創出と新エネルギーの導入促進
・企業集積の拡大
・消費者ニーズの多様化に対応した商業活動の活性化
II 地域の個性ともてなしの心で築く 観光産業の振興
・秋田の素材を生かした観光の振興と特産品の開発
・観光客にやさしい受入態勢の充実強化
・ターゲットを絞り込んだ効果的な誘客宣伝活動の展開
III 産業構造の変化に対応した 雇用機会の安定的な確保
・地域経済を活性化する雇用・就業の支援
・緊急的な雇用創出の推進
・産業ニーズを踏まえた職業能力開発の促進
・ゆとりある就業環境の整備や子育てと仕事の両立支援
IV 環日本海など国内外との交流促進
・環日本海地域をはじめとした経済・技術交流活動の促進


主な施策・事業の概要
 本号では、秋田県産業経済労働部の重点施策の中で産業経済政策課及び商工業振興課の主な施策を取り上げて掲載致しました。

I 独創性に富んだ企業活動の促進
1 新産業・新事業創出に向けた支援
(1)起業者育成資金利子等助成事業
 (産業経済政策課 29,816千円)
 厳しい雇用情勢が続いていることから、非自発的離職者及び中高年齢者が新たに起業者育成資金を利用する場合、利子の全額を3年間補助する。
 ○新規分 20件
(2)ベンチャービジネス総合支援事業
 (商工業振興課 20,562千円)
 新規性、先駆性を有する新製品・新サービスに よる創業や新技術、新サービスの開発成果の事業化を行う中小企業者等に対し、その経費の一部を助成する。
 ○限度額 1千万円
 ○補助率 1/2以内
(3)開業・開店起業化支援事業
 (商工業振興課 75,620千円)
 県内における新たな企業の創出を促進し、地域 経済の発展と雇用の確保を図るため、新規開業・開店を目指す者に対し、その経費の一部を助成する。
 ○限度額 3百万円
 ○補助率 1/2以内
(4)大学発ベンチャー創出推進事業
 (商工業振興課  1,951千円)
 大学・公設試験研究機関の有望な事業シーズを 企業化するベンチャー企業への投資、きめ細かなコンサルティング等を実施する投資事業有限責任組合(ベンチャーファンド)の創設に向けた調査等を行う。
(5)技術移転促進チーム活動費
 (技術移転促進チーム 79,645千円)
企業の新事業案件への総合的な支援とともに、大学・公設試験研究機関等の事業シーズの発掘と、産学官連携による企業への技術移転を促進する。
2 経営革新による企業競争力の強化
(1)新事業展開資金
 (産業経済政策課 3,987,926千円)
 イ 事業革新資金
 県内企業の新たな事業展開を支援するため、事業転換、経営革新、新商品・新技術開発や株式公開に取り組む企業を支援する。
   ○融 資 枠 20億円
   ○貸付限度額 1億円
   ○融資利率 1.70%
   ○保証料率 0.50%
   ○担保・保証人要件
 融資額2,000万円以内の場合は、内部保証人で、かつ、本資金で取得した資産以外の担保は徴求しない。

【総合支援枠】
※ベンチャービジネス総合支援事業、秋田21企業育成プロジェクト事業、経営改革総合支援事業「事業転換」の認定を受けた企業が対象
 ○融 資 枠 20億円
 ○貸付限度額 1〜2.5億円
 ○融資利率 1.50%
 ○保証料率 0.30%

【仕入資金枠】
※経営改革総合支援事業「事業転換」の認定を受けた企業が対象
 ○融 資 枠 1.4億円
 ○貸付限度額 2千万円
 ○融資利率 金融機関所定利率
 ○保証料率 1.00%

 ロ 起業者育成資金
  新規の開業、独立、分社化する起業者(含:開業後5年未満)を支援する。
   ○融 資 枠 10億円
   ○貸付限度額 2,500万円  ただし、分社化の場合、1,500万円
   ○融資利率 2.10%
   ○保証料率 1.00%
   ○担保・保証人要件
 内部保証人で、かつ、本資金で取得した資産以外の担保は徴求しない。
(2)経営安定資金
 (産業経済政策課 17,673,258千円)
 売上高が減少(5%以上)している企業、直前決算が赤字である企業、倒産企業に対し50万円以上の売掛債権等を有する企業、破綻金融機関と取引があるものとして市町村長の認定を受けた企業に対し、経営の安定を支援する。
 ○融 資 枠 240億円
 ○貸付限度額 8,000万円
 ただし、破綻金融機関と取引があるものとして市町村長の認定を受けた場合、別枠5,000万円
 ○融資利率 1.70%
 ○保証料率 1.00% (ただし、倒産企業関連は0.30%)  ○担保・保証人要件
 経営改善計画について商工会議所・商工会の指導を受け、かつ、融資額 1,000万円以内の場合は、内部保証人で、かつ、担保は徴求しない。

【特別改善枠】
※経営の安定に支障を生じている企業で、商工調停士等から再建計画の指導を受け商工会議所・商工会議所連合会から推薦を受けた企業が対象
 ○融 資 枠 10億円
 ○貸付限度額 5,000万円
 ○融資利率 2.10%
 ○担保・保証人要件
 必要に応じ担保は徴求するが、内部保証人で対応可能とする。
(3)再建企業特別融資資金
 (産業経済政策課 3,300千円)
 通常では融資が困難であるが、再建の可能性のある企業に対して融資を受ける途を開くための支援を行う。
 イ 事業再生資金
   民事再生法、会社更生法等において再建計画が認可された中小企業者のうち、事業再生保証制度を利用しようとする企業を支援する。
   ○融 資 枠 5億円
   ○貸付限度額 1億円
   ○融資利率 金融機関所定利率
   ○保証料率 1.00%

 ロ 再起支援資金
   次のいずれも満たす法人(開業後1年未満の者を含む)を支援する。
  (1)代表権者に過去に事業を営んでいた者を含む   法人
  (2)代表権者に対し、信用保証協会が求償権を持   たない法人
   ○融 資 枠 1.25億円
   ○貸付限度額 2,500万円
   ○融資利率 金融機関所定利率
   ○保証料率 1.00%
(4)経営転換支援事業
 (産業経済政策課 9,361千円)
 県内企業の事業転換、整理、再構築などの経営進路に関して、指導助言体制を強化するとともに、雇用の安定や事業再構築の支援など、総合的な対策を講ずる。
 ○経営相談をコーディネートする商工調停士の配置
 ○在職求職者の雇用安定支援
 ○企業の事業継承等の支援体制整備 等
(5)マーケティング室活動費
 (マーケティング室 8,783千円)
 売れる可能性を秘めたシーズ、技術を持つ企業に対して個別・具体的なマーケティング戦略の構築・実践を支援するとともに、県内企業のマーケティング活動強化に向けた情報提供等を行う。
(6)マーケティング戦略集中支援事業
 (マーケティング室 69,908千円)
 新たな受注や販路開拓・拡大を目指し、市場動向調査、販売・受注促進活動及びこれらの活動に必要な人材の養成などに要する経費に対し助成する。
 イ マーケティング戦略策定支援事業
   自社のマーケティング戦略を策定するための経費に対し助成する。
   ○補助率 1/2
   ○限度額 200万円

 ロ マーケティング活動支援事業
   既にマーケティング戦略及び販売計画を有する企業の具体的な事業実施に要する経費に対し助成する。
   ○補助率 1/2
   ○限度額 400万円
(7)経営改革総合支援事業
 (商工業振興課 191,992千円)
 現下の経済情勢にあっても、事業転換や体質改 革を図る企業を公募し、3年間支援する。
【対象企業】
 1)事業転換型企業
   経営資源を最大限に活用し大規模な事業転換を図る企業
 2)体質改革型企業
   新商品の開発やコスト削減などを行うことで、競争力に富んだ企業体質への変革を図る企業

【支援内容】
全体の補助限度額 1千万円/年
 1)企業経営支援アドバイス事業
   経営改革に必要なアドバイス等を受ける経費を助成する。
  ○アドバイスに要した経費の1/2
  ○年間120万円以内
 2)派遣教育給付金事業
   先進企業等に従業員を派遣した場合の賃金を助成する。
  ○1社5名以内、1名4千円/日
  ○派遣期間 上限200日/年
 3)専門技術者等確保支援事業
   特殊技能等を有する人材を雇用する経費を助成する。
  ○支払った賃金の1/2以内
  ○1社2名以内、上限5百万円/年
 4)新商品開発等支援事業
   新商品開発、販路開拓等に必要な経費を助成する。
  ○対象経費の1/2、上限5百万円/年
 5)融資制度
  ○事業転換型企業〜事業革新資金の総合支援枠及び仕入資金枠
  ○体質改革型企業〜上記以外の事業革新資金
(8)地域人材活力創出事業
 (商工業振興課 21,179千円)
 地域産業に貢献する企業人材を育てるため、企業の現場管理者及び営業担当者並びにトップマネージャー候補者を対象とした研修を実施する。

【対 象】
県内製造業の現場管理者及び営業担当者並びにトップマネージャー候補者
【参加者】
4地域:各10〜15名及び、2地域:各10〜15名、トップマネージャーは5社程度
(9)地域産業活力創出支援事業
 (商工業振興課 10,082千円)
 イ 地場産業創出等支援事業
   地場産業の事業活動の効率化及び新たな事業展開を図るため、公募により、事業に要する経費を助成する。
   ○公募事業 地域中小企業創造力形成事業
         地域資源等活用型起業化等事業
         地場産業創出・育成支援事業
   ○補助率 国1/3、県1/3
3 事業所支援型サービス業の振興
みちのく夢ネット運営事業
 (産業経済政策課 2,120千円)
 北東北三県の観光・物産・産業に関するポータ ルサイトである「みちのく夢ネット」を運営する。
4 企業集積の拡大
(1)重点企業導入促進助成事業
 (商工業振興課 380,000千円)
 本県にとって波及効果の大きい企業の立地を促進するため、設備投資に係る費用の一部を助成する。

○助成対象
 先端技術型企業、研究開発型企業、外資系企業(外資比率1/2以上)、基盤業種型企業(メッキ、熱処理、金型、プレス等)、大規模雇用        型企業、食品関連型企業、資源循環型企業、コールセンター、データセンター
○助成率
  土地を除く投下固定資産額の20%以内(コールセンター、データセンターにあっては、建物・機械設備等の賃借料の1/2、通信回線使用料の1/2、オペレーター等確保費についても支援)
(2)企業立地・導入促進資金貸付事業
 (商工業振興課 3,018,338千円)
企業立地の促進と地場産業の高度化を図るため、 工場の新増設に対し低利融資を行う。
 ○融 資 枠 32.4億円
 ○貸付限度額 10億円
 ○融資利率 1.80%
(3) 秋田スギ活用促進チーム活動費
 (秋田スギ活用促進チーム 64,436千円)
 秋田スギを活用した自然エネルギー利用型住宅の研究と普及啓発を行い、住宅関連産業の活性化を図る。
5 消費者ニーズの多様化に対応した商業活動の活性化
(1)商店街空き店舗対策事業
 (商工業振興課 17,811千円)
 賑わいのある商店街を形成するため、空き店舗を活用して商業等を営もうとする者に対し助成する。

 ○補助対象者
 商店街振興組合、商工会等の団体及び商業者
 ○補助限度額
 貸借料 1年目 48万円
      改装費 60万円
       2年目 24万円
 ○補助率
 貸借料 1年目 県1/5、市町村1/5
      2年目 県1/10、市町村1/10
      改装費 県1/5、市町村1/5
(2)商店街競争力強化支援事業 (商工業振興課 29,876千円)
 環境の変化に対応した競争力ある商店街形成に資する取り組みに対して助成する。
 ○補助対象者 商店街振興組合、商工会等の団体
 ○補助対象事業・補助率・限度額
  まちづくり関連事業 3/4〜1/2以内 (500万円上限)
  雇用創出関連事業  10/10 (1人1日5,000円上限)

II 地域の個性ともてなしの心で築く 観光産業の振興
内容については省略します。

III 産業構造の変化に対応した 雇用機会の安定的な確保
内容については省略します。

IV 環日本海など国内外との交流促進
環日本海地域をはじめとした 経済・技術交流活動の促進
(1)対岸貿易振興事業
(産業経済政策課 15,959千円)
対岸諸国との貿易を促進する。
 ・経済交流促進訪問団派遣及び商談会の開催
  ○派遣 平成15年7月
  ○場所 広州市及び延吉市
 ・貿易ミッション受入
 ・上海華東交易会参加
  ○平成16年3月
 ・秋田港利用促進事業
  ○コンテナ航路の維持・拡充を図るため、
    岸壁使用料及び曳船使用料の一部を補助する。
 ・秋田貿易振興機構(仮称)設立支援事業
 ・東北フェアin上海開催事業
  ○平成15年11月
(2)秋田港国際化推進事業
 (産業経済政策課  4,928千円)
 秋田港を国際的な物流拠点に発展させるため、引き続き官民一体となって秋田港のポートセールス活動を展開するとともに、輸出入ニーズ調査や商談会を開催する。
 ○国内:船社協議、セミナー開催、企業訪問
 ○国外:中国、韓国、ロシア極東地域
(3)ミネソタ州との経済・産業交流促進調査訪問団派遣事業
 (商工業振興課 4,933 千円)
 アメリカ・ミネソタ州において、県内企業とミネソタ州企業との商談会及び企業視察等を実施し、新たなマーケット開拓や技術提携等による新分野進出を支援する。
 ○派遣時期 平成15年8月

それぞれの詳しい施策の内容については、県の所管課にお問い合わせ下さるようお願いいたします。

【問い合わせ先】
◎産業経済政策課 (TEL018-860-2214)
◎技術移転促進チーム (TEL018-860-2256)
◎マーケティング室 (TEL018-860-2219)
◎秋田スギ活用促進チーム (TEL018-860-2237)
◎商工業振興課 (TEL018-860-2246)



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