この人・この企業
Vol.9
 今回は、地産地消型の住宅構想を取りまとめた二ツ井町商工会工業建設業部会部会長でもあるモクネット事業協同組合の加藤理事長にご登場願いました。

「自立する地場産業の見える
        まちづくりを目指して」


モクネット事業協同組合
理事長 加藤 長光 氏

■■■ ■■■この構想に取り組もうとした切っ掛けについて教えて下さい。

 モクネット事業(協)は、平成2年に森林・林業の持続を視野に入れ、地球環境におだやかな家づくりや地域づくりを目指し設立しました。設立以降、森林・林業、木材、家、生活がつながり、循環する永続可能な社会・自給の仕組みづくりを木の家づくりを通して提案してきました。そして想いを同じくする人達に、米代川流域の秋田スギの企画材を関東地区に約300棟分の販売をして来ました。
 組合は、山・山地と都市、生産者と生活者そして生産者と生産者の調整役を果たして来ました。しかし、組合のお客さんや取引先が二ツ井町に来て街並みを見ると、ほとんどの方が「我々に秋田スギが良いと言って販売しているのに、地元に秋田スギを利用した住宅や公共施設がないですね。」と指摘されます。
 指摘は全くその通りで、街並みを見てもこれが秋田スギの産地であるとは到底思われません。それは、組合を含めて業界が県外重視の販売に力入れていたために、足元が疎かになっていました。気づけば、全く木の良さをアピールしている住宅が少なくなってしまいました。
 反省すれば、地域産業の担い手であるはずの業界に、その社会的責任に対する自覚がなかったのではないでしょうか。そこでその責任を果たすためには、新たな活動が必要と考えていました。しかし、街並みづくりという大きな事業は、多くの仲間を増やさなければなりません。そう考えている時に、「ものづくり技術コーディネート事業」を知り、構想づくりに取り掛かることにしました。

■■■「きみまちの家・藤里の家づくり」の構想について教えて下さい。

 「きみまちの家・藤里の家」は、米代川流域の天然秋田杉の集散地としての役割を果たしてきた二ツ井町・藤里町の歴史的背景の中で、地場産の秋田スギやゼオライト、大工職人や建具職人達の技術を活かした住宅づくりです。ただ、その住宅の建築だけでなく、地域の木のぬくもりあふれた家並み、街並みを創るという目標が前提にあります。
 そのためには、家や外構あるいは堀や植栽などを含め、地域の特色を生かした統一感が必要であり、緩やかな「まちづくり」のための条例などの制定も行政に働きかけるなどの活動目標を掲げています。

■■■この構想を実現するための、今後の活動について教えて下さい。

 この構想は、地域産業の再生や地方の自立を推進して行くという大きな目的があり、それも二ツ井町や藤里町に限定したものではなく、秋田県も目標にしています。まず、その目標を達成するために、まず組織が必要です。組合を核として、広く業界、町民に参加を呼びかけ、多くの方が参加できる組織を作りたいと考えています。
 組合としては、県内各地で啓蒙普及事業を4月以降から開始する予定です。これまで秋田スギはブランド品として大消費地向けのPRしかしてこなかったために、県民に対する啓蒙普及活動が重要です。その活動をまず、組合でスタートします。
 構想実現のためには、県民に対する啓蒙普及を始め、まちづくり条例を含めた行政の協力、住宅供給側のレベルアップ等、全ての組織の連携が必要であり、活動の輪を広げながら、息の長い活動を続けていきたいと思います。



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