年 頭 所 感

商工組合中央金庫 秋田支店
支店長 野村重美


 新年明けましておめでとうございます。
 秋田県中小企業団体中央会並びに会員の皆様方には、平素から格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
 平成15年の新春を迎えるにあたり、所感の一端を申し述べて年頭のご挨拶にさせて頂きます。
 まず昨年の海外経済を振り返りますと、米国経済は一昨年の同時テロ事件後、急速な立ち直りを見せました。しかし、本格的な回復に至らず年央以降は株価の下落やイラク情勢の不透明感等から、景気の先行き懸念が高まりました。欧州経済も概ね緩やかな回復で推移しましたが年央から弱含みとなりました。アジア経済は輸出・内需共に堅調に推移し景気の回復が続きました。
 こうした海外経済の動向を受け、わが国経済は年初から輸出主導による持ち直しの動きが見られました。ただ、デフレや企業のバランスシート調整などから景気は緩やかな回復にとどまりました。
 中小企業の動向を見ますと、緩やかな景気の持ち直しを受けて、売上の減少幅は縮小しました。しかし、デフレが続く中、一段のコストダウン要請等により、採算・資金繰面の改善は進まず、大企業との景況感格差は一層拡大しました。
 デフレの長期化が見込まれる中、金融政策では、日銀が実質ゼロ金利政策を維持することに加えて金融機関の保有株式の直接買取りを決定しました。政府も不良債権処理の加速と産業再生を柱とする「総合デフレ対策」を決定するなど、政府・日銀一体となったデフレ克服政策が打ち出されました。
 さて、今年の経済情勢を展望しますと、米国経済はイラク情勢や株価動向などから不透明感の高まりが予想され、欧州・アジア経済も成長率の鈍化が見込まれます。
 わが国経済におきましても、これまでのように輸出主導で成長を続けることは困難と考えられます。雇用環境の厳しさなどから、個人消費や住宅投資は盛り上がりを欠く展開が予想されます。企業の設備投資が一層慎重になることや、公共投資の抑制が、景気の下押し要因として作用するものと思われます。加えて、不良債権処理と産業再生の両立、国内産業の空洞化、少子・高齢化など困難な課題に直面しており、今年はまさに正念場の年と云えるのではないでしょうか。
 中小企業におきましても、「日本経済のダイナミズムの源泉」としての役割を担いつつ、持ち前の機動性や創造性を以如なく発揮し、新たな発展の礎を築くことが求められる重要な年になると考えられます。
 今年の干支「癸未(みずのと・ひつじ)」は、未来のことを見通して決めるのに良い年回りとされています。情報分析と綿密な戦略立案そして英断と実行が求められる年です。
 私ども商工中金も中小企業専門の政府系総合金融機関として、秋田県中小企業団体中央会様と一層連携を深め、皆様のニーズにお応え出来るよう努力を続けてまいります。どうか本年も宜しくご支援を賜りますようお願い申し上げます。
 年頭にあたり、皆様のご繁栄と御健勝をお祈り申し上げ、新年のご挨拶といたします。


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