特 集
平成12年度中央会重点事業えて

 本会では、平成12年度「企業組合制度などを活用した創業支援」「企業間交流・企業間マッチングなど企業連携への支援」「組合並びに企業への情報化支援」などを活動方針として様々な事業展開を図ってきました。今回は、その中から重点事業にスポットをあてて、その実施概要をご紹介します。

企業組合制度を活用した創業支援について

1.グループ創業バックアップ事業から

 本会では平成12年度、企業組合による創業を中心とした様々な創業支援を行ってきました。

創業支援の広告に、希望者が殺到
 昨年7月、コミュニティマガジン“Kyo(郷)”に企業組合による創業募集案内を行ったところ、大きな反響があり、また今年2月に、秋田魁新報に「創業支援セミナー」を開催する旨の新聞広告を掲載したところ、介護サービス事業をはじめ、IT関連技術者、環境資源に携わる事業者や経営コンサルタント、人材派遣業など幅広い分野から約60名もの創業希望者がセミナーに参加し、講演やパネルディスカッション、個別相談会において創業のための心構えやその準備、企業組合制度などについて熱心に受講され、創業に対する関心の高さが改めて証明される形となりました。

グループ創業の第1号は「企業組合ほっと」
 多数寄せられた創業に関する相談の中で、一早く創業を実現した「企業組合ほっと」(介護保険制度を利用するデイサービス事業)における創業支援の事例についてご紹介します。

(1)企業組合を選択し、創業
 看護婦として或いは老人介護施設での介護実績を持つメンバー4人は、介護保険制度を利用したデイサービス(通所介護)事業で創業することになり、当初NPO法人を考えていましたが、同法人は営利を追求しないボランティア活動を理念とする組織であることから、組織形態について悩んでいたところ、本会の創業支援を知り、いろいろ検討した結果、最終的には企業組合制度を選択して、設立した経緯があります。

(2)経営計画の策定、施設の資金繰りなどを支援
 昨年4月から導入された介護保険制度の下で、デイサービス(通所介護)事業を行うには、所定の有資格者を配置しなければならず、また、施設には食堂、機能訓練室などが必要とされ、これら設置基準を満たすための体制整備が急がれました。
 本会では、これら事業に必要な条件をクリアする形での経営計画、資金計画の策定についても支援を行いました。
 特に、施設・設備の資金調達については、メンバーが本会の支援を受けながら有利な制度融資を探した結果、国民生活金融公庫「女性・中高年起業家支援資金」(年利2.2%)を活用できたことは、創業をさらに現実のものにする大きな契機となりました。

(3)各種創業支援策の有効活用が成功のポイント
 比較的資金調達能力の弱い創業者にとって、有利な制度融資や助成金など様々な創業支援策をいかに有効に活用できるかが成功のポイントといえます。
 創業に係る諸問題を本会とともに着実に克服してきた「企業組合ほっと」はいよいよ3月1日オープンを迎えます。
 本会では、「ほっと」に続く、グループ創業を引き続き、支援していくことにしております。

企業間交流・企業間マッチングなど企業連携への支援について

2.企業連携シーズ育成事業から

「機能性食品研究会」を組織し、その活動を支援
 わが国の健康食品市場は'98年度で推定6,900億円(前年度比4.5%増)といわれ、世界的にみても飛躍的な成長を遂げています。
 このような状況の下、県内の食品製造業者から「自社製品に機能性を付加したい」「新たに健康食品分野に進出したい」といった自社のシーズを健康食品分野に応用したいとする企業の要望に応える形で、連携ニーズの高い、あきた食品振興プラザ会員企業21社で「機能性食品研究会」を組織し、その研究活動を支援してきました。

活動の主体は、鹿角霊芝を活用した試作品の開発

(1)鹿角霊芝の効能
 鹿角霊芝は古代中国の時代から人々に珍重され、神秘の茸として称えられてきました。また、近年の研究によりその薬用効果が科学的に解明され、特に、免疫機能増強作用や浄血作用等があるとして注目されているβ-グルカンが、他の茸類に比べて類を見ないほど豊富に含まれていることが分かっています。
茸名 β-グルカン含有率
アガリクス茸 8%
アワビ茸 10%
霊芝 12%
舞茸 13%
鹿角霊芝 47%
(財)日本食品分析センターの分析試験成績表より

(2)株式会社坂本バイオをコーディネーターとして鹿角霊芝の適用可能性を研究
 鹿角霊芝は霊芝の栽培において、一万本に数本だけ出現する一種の奇形で、霊芝の中でも最高級品として位置づけられています。これまでは栽培が難しいことから非常に高価な茸でしたが、この鹿角霊芝の人工栽培を可能にした(株)坂本バイオ代表取締役坂本賢二氏をコーディネーターとしてメンバー企業が持ち寄った製品への鹿角霊芝の適用可能性を研究し、それぞれ製品への健康食品化、新規健康食品開発のための試作を実現しました。

メンバー企業5社が試作品を開発

(1)「苦味」を抑えた完成度の高い試作品が完成
 具体的には、メンバー企業の中から次の5社が鹿角霊芝のパウダー又は粗粉砕を添加した試作品を開発し、試食並びに意見交換を行いました。
 試作品を開発した企業に共通した課題として、鹿角霊芝特有の「苦み」の問題がありましたが、各社とも試行錯誤を繰り返し、他の食材が持つ苦味や甘味を組み合わせることで「苦味」を抑えたり、苦味を「旨み」に変えるなど完成度の高い試作品が開発されました。

(2)試作した製品及び開発企業
  試作品名 開発企業名
1 秋田蕗+鹿角霊芝ブレンド煮出し茶 秋田農産資源開発研究会
2 発芽玄米+鹿角霊芝+杜仲茶のレトルト粥 さがわい食品(株)
3 鹿角霊芝+35度焼酎の健康リキュール 秋田県醗酵工業(株)
4 鹿角霊芝入り鶏飯、他 (有)四季菜
5 鹿角霊芝入りキムチ (有)ダイシン

新年度は、秋田発「鹿角霊芝入り健康食品」の商品化並びにそのマーケティング活動などを支援していきます。
 現在、試作品1及び2については今後の商品化、市場化に向けての準備作業を進めております。
 今後の取組みとしては引き続き、秋田発「鹿角霊芝入り健康食品」づくりを進めていくとともに、商品化の目途が立った製品については、メンバー企業同士が連携して、鹿角霊芝の効能についての普及促進や効果的な市場への参入方法、固定客へのダイレクト販売などについても研究することにしており、本会ではこうしたマーケティング活動についても支援していくことにしております。



3.ポイントカードサミット開催事業から

これまでの取組みと本年度のネライ
 これまでのサミットでは組合間或いは 消費者との交流を通じてポイント(スタンプ)事業の効果的な実施ノウハウについて研修を進めてきました。
 本年度は、消費者に魅力のあるポイント(スタンプ)事業を積極的に推進していくための方策として、加盟店の拡大による消費者の利便性の追求などの方策について討議しましたが、さらにもう一歩踏み込んだ展開として、ポイントカード(スタンプ)組合や任意組織合同による全県規模のイベント開催を提案したところ、今後、克服すべき課題はあるものの、 前向きに開催していく方向で了承されました。参加する組合等が増えれば増えるほど大きなイベントが打ちやすくなり、県民にも大きなインパクトを与えることができるものとして、大いに期待されています。

県内で、ポイントカード(スタンプ)事業を実施する組合・任意組織は48組合・団体に上ります
 現在、県内でポイントカード(スタンプ)事業を実施している組合・任意組織は「ポイントカード(スタンプ)マップ」[下掲]のとおりで協同組合組織で21、商工会等の区域で活動する任意組織が27、計48組合・団体に上り、ほぼ県内全域で活動しております。

【ポイントカード(スタンプ)マップ】
※地域型のポイントカード(スタンプ)を基準に作成しました。

今後の取組みについて
 今年1月に拡大委員会を開催し、新年度に開催 予定の同サミット並びに合同イベント開催に係る 基本方針などについて協議しました。

(1)次回のポイントカードサミットについて
 次回のサミットは、1.「高齢者」「福祉」「環境」を切り口にした分科会方式で開催したらどうか、2.事例紹介は参考となる点が多いことから、次回も取り上げて欲しい、3.商店街における各種情報化対策についても検討して欲しいなどの意見が出され、こうした意見を踏まえて具体的な開催要領を策定していくことにしております。

(2)全県規模による合同イベントの進め方について
 合同イベントの進め方としては、先に核となる イベント、例えば、1.チャーター便・定期便による韓国旅行、2.ワールドゲームズ秋田大会、3.ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(大阪)などを、先に決定して、全体の事業費を見積もってから、各組合等に対する負担基準を提案したらどうかという意見に集約され、今月中に実行委員会を立ち上げて、具体的な開催時期や手法等を詰めることにしております。
 詳細が決まりましたら、ご案内いたしますので、お客様に夢を与えるこのイベントに是非、ご参加下さい。

組合並びに企業への情報化支援について

4.中小企業情報創造発信強化支援事業から

組合並びに企業のホームページ作成支援
 組合及びその構成員企業の情報受発信強化の一助として、インターネット・ホームページの作成を支援しました。

(1)秋田県酒造協同組合の取組み
 平成10年から展開してきた蔵元直送販売システムを全面リニューアルし、自由度の高い検索システムと異なる蔵元のお酒が好きなだけ一括購入できるショッピングシステムを併せ持った「秋田の銘酒データベース」をリニューアルオープンさせました。
 平成13年1月末日で約20,000件のアクセスを獲得した上、毎月安定した販売実績を上げています。

(2)社団法人秋田県機械金属工業会の取組み
 県機械金属工業会が発行するガイドブック情報のうち、「保有設備」・「主要取引先」・「有資格者」等の情報を最新版にリニューアルするとともに、「秋田県機械金属企業マップ」としてホームページによる情報発信に切り替えました。
 この方法により、リアルタイムに情報の更新ができ、また様々な条件での検索も可能となるなど、秋田県における業界情報として、会員企業86社の情報が効率的に検索できるようになりました。

(3)国指定の伝統的工芸品製造組合の取組み
 県内4つの伝統的工芸品(「樺細工」「川連漆器」「曲げわっぱ」「杉桶樽」)組合とその傘下52企業では、これまでの印刷物による製品PRや全国各地の物産展への出展などによる販路拡大に加えて、新たにホームページを作成し、顧客との双方向による情報交換を新しい販売ツールとして、新規顧客の開拓を図っております。
 また、これら企業・製品情報のワンストップ化を図るため、「秋田の伝統工芸品コーナー」が設けられ、今後、アクセス数のみならず、販売件数の増大が期待されています。

インターネットステップアップ研修の開催
 ホームページを作成した企業の担当者を対象として、インターネットの有効な活用方法からホームページの作成・サーバーへのアップロードまでを段階的に学べるインターネットステップアップ研修を昨年7月、9月、11月の3回開催し、延30企業の方々が適切な更新を行える技術や手法を習得しました。
 http://www.chuokai-akita.or.jp/kensyuu/

新年度、多様なニーズに対応したIT研修を開催します!
 本会では、引き続き、本事業を通じて県内組合並びに企業等の皆様の情報化支援を行っていくとともに、多様なニーズに合わせて自由に受講していただけるよう様々なIT研修を開催する予定にしております。
 新年度、開催日時等詳細が決まりましたら、ご案内致しますので、その際にはお気軽にご参加下さい。

◆IT研修・カリキュラムモデル例(開催予定)
研修名 内容 日数 時間/日 回数 定員 備考
パソコン
基礎研修
・ワープロ文書作成の基礎
・表計算作成の基礎
4 6 6 20 本部、県北、県南各2回開催
インターネット
基礎(体験)研修
・インターネット、電子メールの操作方法
・電子商取引(EC)の体験
1 4 5 10 本部開催
インターネット
ステップアップ研修
・インターネット、電子メールの操作方法
・電子商取引(EC)の体験
・ホームページの作成
・デジカメ、スキャナの活用方法
・動きのある画面の作成
・フォーム部品の使い方
3 6 3 10 本部開催
インターネット
出前研修
・インターネット、電子メールの操作方法
・電子商取引(EC)の体験
・検索エンジンの活用方法
1 2 30 1 出前30企業


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