年 頭 所 感

商工組合中央金庫 秋田支店
支店長 養 田 修

新年明けましておめでとうございます。
 平素は、当金庫業務につきまして、格別のご高配を賜り、厚くお礼申し上げます。
 さて、昨年までの金融面を振り返りますと平成9年後半から広がった金融不安の中20兆円の金融安定化特別保証枠の創設や60兆円の公的資金によるセーフティネットの構築など、金融システム健全化のためのスキームが整い、金融安定に向けての道筋は整備されました。一方8月には、第一勧業銀行・富士銀行・日本興業銀行が経営統合、10月には、住友銀行とさくら銀行の合併が発表されるなど今までの枠組みでは考えられなかった、新しい動きも出てきております。
 こうしたなかで、深刻な低迷状態にあったわが国経済もようやく底入れから回復へ向かう動きが出てきています。その最大の要因は政策効果から住宅投資と公共投資が景気を下支えしたことでした。また、個人消費は一進一退ながら、所得環境が厳しいことを考えれば健闘しているといえましょう。輸出も数量ベースでは昨年後半から増勢を強めております。一方、設備投資はマイナス幅こそ縮小したものの減少が続きました。また、雇用環境については、年央に失業率が過去最悪を記録するなど深刻な状況が続いています。
 中小企業の景況感も最悪の時期を脱し、厳しい状態の中にも回復の兆しが出てきています。売上高の減少幅が大幅に縮小し、採算の悪化度合いや在庫過剰感も弱まってきました。
 さて、今年のわが国の経済情勢を展望しますと、昨年に引き続き緩やかながら回復過程を辿るものと考えます。
 個人消費は雇用・所得環境の急激な改善は期待しにくいものの、消費マインドの安定などを背景に、緩やかな増勢が続くものと見られます。2年連続で減少した設備投資については、依然設備過剰感が残るものの、企業業績が上向き、投資マインドが幾分改善するものと思われ、前年水準程度まで回復が見込まれます。また、外需は、アジア、欧州等世界経済の拡大基調を受けた輸出増加分が内需拡大による輸入増加分を上回ることにより、プラスに寄与しましょう。一方、公共投資は昨年度補正予算の繰越分が寄与しますが、財政難を受けた地方自治体の予算削減もあり、昨年ほどの景気下支え効果は期待出来ず、小幅ながらマイナスに転じるものと見られます。
 日本経済は、利益重視型企業経営の浸透、高度情報通信社会への対応、金融システム改革の進行、雇用の流動化といった構造変化の過程にあり、いわばしっかりとした成長軌道回復への足固めの段階にあるといえます。中小企業につきましては真の競争力を確保すべく、得意分野の強化や成長分野への進出、企業体質の強化等、20世紀の最終年にもあたり経営戦略の最終仕上げを求められる年と考えられます。
 21世紀に向け、わが国の金融・経済を巡る情勢は目まぐるしく変化すると思われますが、私共、商工中金は、今後とも中小企業金融の政府系総合バンクとして、組織金融の推進を通じて、中小企業の皆様が未来に向かって積極的にチャレンジされる際の幅広いニーズにお応えし、最も信頼されるパートナーとして努力を続けてまいります。どうか本年も宜しくご支援賜りますようお願い申し上げます。
 年頭にあたりまして、皆様のご繁栄とご健勝をお祈り申し上げまして新年のご挨拶とさせていただきます。


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