北緯40度
vol.171

「時代を先取りのチャレンジを」

〜挑戦企業の環境づくりに努める〜


秋田県商工労働部長
石関 総一郎 氏

 今回は7月1日付で商工労働部長に就任された関総一郎さんにお話を伺います。昨年4月に商工労働部次長に就任。秋田暮らしも1年3ヶ月、秋田についての印象などもあわせて聞いてみました。

秋田は初めてとのことですが?

 千葉県市川市生まれですが中学高校大学とも東京でしたので、これまでの生活のほとんどは東京近辺でした。通産省でも、地域に関連する部署よりは、海外関連の部署の経験が多く、いわば「日本人でありながら日本のことを知らない」状態でした。今回の機会は私にとっても大変新鮮で貴重であると思っています。秋田では、東北地方に対する先入観とはずいぶん違った印象を持ちました。ステレオタイプ化された「雪、耐える」と言った言葉よりも、豊か、明るい、広々という言葉を彷彿させます。秋田美人というのは先入観通りで変える必要がありませんでしたね。東京では、働く時間以外は休むという感じなのに対し、秋田では余暇の使い方がうまい。生活にゆとりがあり、コミュニティーがうまく成り立っている。趣味の奥が深く、自然とのふれあいが多くバランスのとれた人間らしい生活です。レベルの高いアーティストがたくさんやってきているし、大学の講座もいろいろある。

 お褒めの言葉で、秋田県人として大変うれしく思います。しかし秋田の人間あるいは企業経営者としての課題もたくさんあると思いますが。

 人柄は大変明るい。米が豊富で、持ち家率も住宅の質も全国トップクラスという豊かさ。ただ、豊かさとは裏腹の関係の、新しさへの挑戦意欲とか、貪欲さはもっとあってもいいのでは。リスクを負って新分野に進出する必要性がなかったのかもしれないが、激変の時代にあっては、今までのやり方では間に合わない。一足でも早く時代の先を行くためのチャレンジ精神が必要な世界になっている。特許庁にいる頃感じたことですが、秋田県からの特許の申請が極端に少ない。子供を対象の発明工夫展には秋田の小中学生からはたくさんの優秀な作品が寄せられているのですが。

 若い人材が流出ということでしょうか

 高校生が就職先や大学を東京方面に希望することは、若者の好奇心旺盛さと考えればやむを得ない面があります。問題は数年経ってから秋田へ戻りたいという人がたくさんいるのに受け入れ先が容易に見つからないことです。県内の産業活力を高め、違う世界を見てきた若者が刺激に満ちた就職先で、知的好奇心を満たせる職場づくりを進めたい。秋田にも全国あるいは世界的レベルでの挑戦を続ける企業がたくさんあります。問題はそういう企業がたくさんあるよというPRがよくできていないことです。高度成長・バブルの頃は、商工業の活性化は、誘致企業に頼ることが柱でしたが、今後の発展は内発的な新産業を起こすことが肝要。厳しい環境下、世の中の動きは早いが、時代を前向きにとらえ、新たなチャレンジ精神をもった方が元気に活躍できる環境づくりに努めたい。

 21世紀に向けて県内企業経営者へのアドバイスを…

 21世紀に向けて、2つの提言をしたいと思います。1つは先入観を持たないということ。秋田だからできないということはもうない。情報技術の進歩で中央と地方には何のハンディキャップもない。野心をもって取り組むことで世界レベルのことができる。そういう例が秋田でも他の地方でもたくさんあるのです。 いま1つは、秋田の研究開発基盤の活用を図っていただきたいということ。秋田大学、県立大学、県の公設試等を活用した産学連携を進めて行くべきです。企業が考える以上に身近にいい環境が整っていると思う。


好きなことば 来に点を打つ(飛躍のためには現在の延長を続けるのではなく、将来に目標を定め近づくための努力をする。)
自己分析 血液0型、細かなことは苦手、大局的、ロマンティスト
尊敬する人 シーザー(家康、信長などの他の英雄にありがちな陰がない。コミニュケーション、演説、理想、実行力、統率力が魅力)
愛読書 塩野七生「ローマ人の物語」シリーズ
休日の過ごし方 6歳と2歳の子供の相手。チェロの練習、冬はスキー、夏はキャンプなど。


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