経営革新と新規創業の時代へ

中小企業白書(平成11年版〜その(1))

中小企業をめぐる環境変化
・中小企業は今大きな環境変化の中にある。
 新規創業と経営革新に大きな期待がかかっており、経済成長の主たる原動力は資本投入から幅広いイノベーションへとシフトしている。
・中小企業の機動性は利点。最近の分社化、ダウンサイジング等の動きの中で「過小過多」を問題視する時代ではない。
(第1図)

第1図 環境変化と中小企業



中小企業の位置づけ・多様性
・経済の中で中小企業が占める比重は大きく、地域経済の中での中小企業の役割も大きい。又、中小企業は極めて多様。生産性、利益率、成長率のばらつきは大きい。「中小企業」を一括りに捉え、平均値によって「大企業」と比較するのではなく、多様な実態を見ていくことが必要。
・研究開発は中小企業全体としては不活発。しかし、実施企業だけで見ると中小企業の研究開発も遜色ない水準にある。
(第2図、第3図)

第2図 全企業数に占める中小企業数の推移
    (企業ベース,事務所ベース)


第3図 企業規模別研究開発を行っている企業割合


中小企業の動態
・開業率 幼児死亡率」は高いが生き残ったものは大きく成長。生産性も向上している。
・新規開業の経済全体へのインパクトは大きいものがある。中小企業も成長を遂げ大企業となる。業種転換、業態転換も経済活性化に寄与する部分が大きく、中小企業、新規開業は地域の雇用創出に大きく寄与している。
(第4図〜第7図)

第4図 開廃業率の推移(非一次産業,年平均)


第5図 開業後の平均従業者数の推移
    (昭和62年以前より存在する事務所=100)(製造業)

第6図 平成3年から平成8年における規模間移動

第7図 小売業の規模別開廃業率(平成6〜9年)

中小企業の動態
・開業率は長期的に低下傾向。最近では会社創業率も会社廃業率を下回った。これは小規模の個人事業所における開業率低下の影響が大きい。又、新規開業事業所の「幼児死亡率」は高いが生き残ったものは大きく成長。生産性も向上している。
・新規開業の経済全体へのインパクトは大きいものがある。中小企業も成長を遂げ大企業となる。業種転換、業態転換も経済活性化に寄与する部分が大きく、中小企業、新規開業は地域の雇用創出に大きく寄与している。
(第4図〜第7図)
▲創業とその後の経営成果
・創業希望者は足下で増加。若い創業希望者は多いが、創業時の年齢は上昇傾向にある。又、創業動機の筆頭は自己実現であり、大きな障害としては資金調達、取引先の開拓、人材確保などが挙げられる。創業活動の活発化のためには失敗時のリスクの軽減、敗者復活の可能性確保が課題となっており、創業時の障害は特に若い創業者にとって高いハードルとなっている。
・失敗経験も有益であり、判断力、柔軟性、自己責任感覚が成功する経営者を産んでいる。創業活動を支援する触媒機能の役割は大きく他方で企業側の努力も求められる。なお廃業を希望する個人企業は増加。廃業手段として営業譲渡の活用を考慮する者も多い。
(第8図〜第13図)

【以下、来月号に続く】


第8図 創業希望者の推移


第9図 創業希望者数の内訳(年齢別,性別)

第10図 創業の動機

第11図 創業時の障害


第12図 開業率低下の理由

第13図 失敗経験の評価



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