私は創業の数年前より左目の視力が急速に衰えていくことを感じていました。
病院に行き目の手術もしましたが結局左目の視力は戻らずじまいでした。

左目がほとんど見えなくなるということは視野が30度ほど狭くなり、物に対する遠近感もなくなり、見るもの全てが平面に見えてしまうのです。階段を踏み外す、道路のくぼみがわからない等、日常生活においても影響がでていました。

このような現実を少しずつ受け入れつつも私はいつしかお年寄りと同じ足の運びになっていた自分に気が付きました。

悲しいことに老いは誰にでも訪れます。50代でこのような経験をした私は、この先確実にやってくる高齢化社会を見据えお年寄りの「ころばぬ先の杖」となるべく介護事業を創業することを強く決意しました。
 
  やはり資金の問題に尽きると思います。秋田県はの高齢化率は全国一なのですが、手を広げていれば利用者が集まるということはありませんでした。

しかし、思うような収入がなくても、経費の支払いは発生します。準備していた創業資金は間もなく底を尽き、仕事が終わってから(夜)と早朝の時間帯にバイトを行う日々が続きました。

このような経験から、事業開始前に利用者人数の目処を付ける重要性を痛切に感じております。

また、事業計画通りに利用者が集まる保証はありませんので、事業が軌道に乗るまでの運転資金として、できれば1年分は準備しておくことが必要だと思います。
 
  とにかく相手の身になった介護、家族の負担を軽減する介護を心掛けています。
人と人は全からく信頼から成り立つものと考えています。

ここに来れば安心する、信頼できるという気持ちになってもらいたいし、利用者の第2の自宅のような施設にしていきたいと思っています。利用者はスタッフをよく見ています。「あの人がいるから行かない」とならないように気をつけています。

そのために利用者に対して裏表なく人生の先輩としての敬意の念をもって接することを心掛けています。

また元来私は料理好きで当施設の食事は私が作っています。自宅で採れた野菜をふんだんに使って食事を作ります。

確かに一流シェフの○○料理などにはかないませんが、この地域での利用者の方の口にあったものを作ることなら自信があります。

「和(なごみ)の食事は美味しい」と利用者の方や関係筋等から評価をいただいております。これからも美味しいと言われるように頑張っていきたいと思います。

また、「和(なごみ)」では嫌がるリハビリはやっていません。「好きな事から、健康を取り戻していただく意味で「風呂」こだわり、ラジウム鉱石を入れ浴室全体を玉川温泉並みの約0.08ミリシーベルの放射線量に保っています。

病は体液のペーハーバランスの崩れ、体内温度の低下に大きく左右されるものですから、ラジウムの持つ細胞修復機能に頼るものです。
 
  当組合では現在デイサービスをおこなっていますが、利用者は一人暮らしのお年寄りが多いです。

お話を伺っていると「一人暮らしは寂しい」「先行きが不安になってくる」との声があります。

現在おこなっているデイサービス事業は日帰りのサービスであるため、そのような利用者のためにも将来的にはグループホームか介護付きの有料老人ホームなどを建設したいと考えております。
 
  苦労した点でも話しましたが、利用者確保と資金繰りについては、十分な準備が必要です。

また、社会福祉協議会、県の介護保険課、病院の担当者とは十分なコミュニケーションを取っておくことが大切になるでしょう。

どのような事業でも同じだと思いますが、創業は安易な気持ちでやってはいけません。

大事なのは創業することよりも、創業した後のことです。十分な準備こそが自分を助けます。