1.組織・管理
2.事 業
3.財 源
1.会員の増強
 青年部未加入者には、当面は会務の負担を軽減するなどして加入の促進が必要です。
 結成後何年も経つと、会員資質の向上と青年部の雰囲気もできあがり、新しい人が入りにくくなります。そこで、何人かで誘い合せて加入してもらうとか、活動に当っては新人とベテランを組み合せるなど、入り易い環境づくりをして下さい。
 また、青年部の目的(事業)によっては会員企業の従業員(たとえばレクリエーション活動)、組合事務局職員(親組合との意志疎通)、賛助会員として関連業種の人(例えば取引先との連携)を、組合や企業のリーダーを育成する目的の場合は若手の幹部社員やその候補者などを含めることも検討して下さい。

2.運営体制
■ 親組合との連携を保つ
 青年部は、本来的には組合が母体であり、自治権を持った組合の内部機構として位置づけることが望まれます。
 青年層の持つ創造力・柔軟性を組合事業の企画面で活かすと同時に、青年部の自治を認め、ある程度活動の独自性を持たせることによって、車の両輪の関係になることが求められます。

■ なるべく多くの会員が参加できるよう工夫する
 特定の人のみに運営負担をさせることは、組織を継続して行くうえで問題を含んでおります。
 そこで、他の会員にも何らかの役割を持たせ、発言の機会を与えることは、参加意識の高揚、リーダーシップの養成など、全体のレベルアップにもつながります。
 多人数であったり、事業活動が活発な青年部では、次のような小グループをつくり、役員をその長として円滑に運営し、そして大きな成果をあげています。


■ 総務委員会
 会員間の連絡、各委員会のヨコの連絡・調整機能を持たせる。
■ 企画委員会
 会員ニーズの掘り起こしとそれに対応する事業を企画立案する。
■ 各事業委員会
 事業別に組織し、その事業の中心母体となる。
■ 部会
 取扱い製品(業種)別に組織。
■ 班
 地区別に組織。

■ 地区が広範囲の場合は親組合組織に合せる
 県単位の青年部等では、支部など親組合に合せた組織づくりを行うことが円滑な活動につながります。
 別けても、各支部活動を重視して、これらの連絡網の整備を行い、本部機能の強化を図ることが大切です。

3.会議の工夫
 各自時間に制限があり、時間を上手に調整することが必要です。「時間の管理」は、経営者の大切な資質のひとつです。
 役員会、例会等の定例的会合は予め日程を決めておき、委員会もその都度次回の開催日を決めることが出席率の向上に結びつきます。
 また、昼食会の形での開催、夏の暑い時期は早朝会議・勉強会など勤務時間以外の活用も考えて下さい。

4.会   則
 集団であるからには規律が必要です。しかし、会則は機動力が発揮できるよう必要最低限の約束事にとどめ、あとはその都度善意で活用していく方が円滑な組織運営ができます。

5.役員の任期
 活動方針を統一する点ではある程度長い方が良く、反面全員にリーダーシップを学ばせるのであれば、あまり長期間にすると役員を経験できない人もでてくることになります。
 このような観点からすると、2年位が望ましいようです。
1.事業の効果的すすめ方
■ 目的にあった事業を行う
 組合青年部事業の効果的な実施と成果の如何が、組合青年部の存在意義を決定することになります。
 従って、事業の選定にあたっては、それが真に会員の希望するものであるかどうか、役立つものであるかどうかを十分に検討する必要があります。

■ 会員ニーズを把握する
 通常は、普段の交流やアンケート調査で把握するわけですが、潜在的ニーズ、啓発を必要とする事業は執行部で採り上げることも必要です。
 ニーズを選択する場合は、ニーズの高いもの、効果があがるもの、予算・能力面で実現可能なものから採用して行くことを考えて下さい。

■ 事業計画と収支予算を立てる
 事業の実施時期、方法等の年間計画とともに資金調達、支出予定額を予め立てておくことが成果をあげるために必要です。
 事業によっては長期計画の必要なものもあり、事業計画書・報告書を作成することは、次の担当者への引き継ぎをスムーズにさせ、事業の質を向上させるために大切な資料となります。

■ アピールする事業を行う
 自己研鑽だけではマンネリ化に陥り易いので、組織の力がついたら対外的活動(ボランティア、展示会等)を行い、青年部をアピールすることも必要です。
 その効果として、全員が参加し易いので連帯感が高まることになります。また、これを恒例化することにより創意工夫を図ることができます。

■ 親組合事業に協力する
 多くの青年部が組合事業に協力しています。特に、共通性のある事業は共同で実施することが、経費・設営・参加人数等の点も含めて事業効果があがります。
 アピールする事業も同様ですが、このような活動の場を通じて、青年部の能力と姿勢が親組合だけでなく関係方面にも認められることになります。
 また、会員個人にとっても、視野の拡大など経営者としての資質向上に役立ちます。

2.具体的事業
●講習会・研修会
 中小企業経営は経営者への依存度が高く、変化の時代にあって顧客ニーズの多様化に対応するためには、常に勉強し、総合的経営能力・センスを磨かなければなりません。
 特に、現場に入っている人は、技術的なことは自然に体得できますが、財務等については勉強する機会が少ないので、その場を設ける必要があります。
 長期的に対応しなければならないテーマについては、年次別の目標を定めて勉強することもよいし、将来組合リーダーとなるべく組合の運営管理面をテーマに採り上げることも今後必要です。
 また、講義方式では、出席者に経験的印象を与えにくいので、講義終了後に講師を含めた討議をする時間を持つことが一層の効果をあげることになります。

●視察・見学会
 先進地、他業界、同業他産地との交流の場であり、絶好の勉強の機会です。
 その効果をあげるには、先ず目的に合った視察先を選ぶこと、資料を備えて予備知識を得ておくこと、そして視察後の検討会を是非実行して下さい。
 他の業界の事例を大いに研究し、参考にして下さい。

●スポーツ・レクリエーション
 時には緊張を解く楽しい行事も必要です。
 会員だけで行うゴルフ大会、会員企業の従業員も参加できる野球大会、家族も含めた暖か味のある活動(運動会、地引網等)などが実施されています。

●親睦会・情報交換会
 何よりも第一線で働く人たちから情報が得られます。たとえ競走相手でも優れたものを常に貪欲に学びとる姿勢が大切です。
 異業種交流がブームであり、成果をあげているグループも多く見られます。しかし、速攻性はなくても、時間と金を使った二世のサークル活動でも、そこで話し合ったことがやがて経営トップに立った時、何らかの形で役立つことになります。
 不透明な時代でもあり、これからは経営者・後継者がサークル活動をやる番です。

●社会奉仕活動
 企業は地域の支持と協力があってこそ成り立つものです。地域住民(顧客)に対するサービスは、企業・業界の重要な社会性であり、今後の発展につながります。
 例えば、清掃、献血、慰問、技術の無料サービスなどを行い、地域住民の生活の快適さに貢献することにより、好感・信頼を得ることになります。
 業界単位での地域の祭りに参加したり、団地組合、商店街組合等では、取扱商品の割引セールを含めた住民との“ふれあい広場”としての行事を行っている青年部も見られます。
 また、これらが年中行事化して、毎年地域社会に期待されているところもあります。

●調査・研究
 これからは、顧客の買いたいものを作ったり、売らなければならない時代です。そのためには、市場調査を行い、ニーズを正確に捉え、デザイン、技術、製品(商品)の研究開発に取り組まなければなりません。
 組合に対する調査結果でも、今後実施したい事業としてこれらのソフト事業が高い比率を占めており、業界ぐるみの組織的対応が求められています。
 これらは青年の行動力と過去にとらわれない斬新な発想を必要とし、まさに青年部の担当する分野です。
 毎週定期的な素材研究会、工業デザイナーを囲んでのデザイン研究会、或いは全国の販売先を訪問調査し、市場の情報収集に取り組み、成果をあげている青年部もあります。
 なお、これらの事業実施については、民間調査機関、公的研究機関など外部の知的経営資源の活用も必要です。

●親組合事業への協力・参加
 催促事業(売出し・展示会)、技能コンクール等の共同教育訓練、機関紙の発行、安全衛生パトロールなども青年層の力を発揮して行う事業です。
 また、産地組合では、歴史的遺産の展示や業界史の編さんなど、後世に歴史を伝えることを青年部がお手伝いして活躍しているところもあります。
1.基本的考え方
 青年部は教育の場・人材養成の場、という性格からすると、事業を行い、単に金銭的利益を追求するものではありません。会員にとって資質向上などメリットのある事業を第一義に考えるべきです。
 基本的には組合あっての青年部です。調査研究、展示会等の経費のかかる事業は、組合と一体で、或いは組合事業の1プロジェクトとして青年部で受け持つ方向で行えば、資金面に関してはそれほど青年部の負担にはならないはずです。
 資金不足の原因は参加意識の欠如にあります。青年部活動は自分のためという認識があれば、会費など相応の負担は当然です。結束力が固く、事業も活発でかつ高度な青年部は会費が高いという例が県内にもあります。
 いずれにせよ、青年部自体が素晴しい活動ができる組織にならなければ自主財源も他からの収入も増えるものではありません。

2.活動財源
● 会 費
 会費の賦課基準は平等割が一般的ですが、会員の事業規模等を基準として何段階かに会費額を決める差等割の方法もあります。
 視察研修が恒例化している場合は、その経費を会費にプラスして徴収し、積み立てておくこともひとつの方法です。

● 親組合からの補助金(援助)
 毎年ほぼ一定額をもらう場合と、全額ではないにしろその年の活動に見合う額をもらう場合が見られます。
 親組合にとっては、後継者育成に対する資金面からの援助であり、また、それ以外でも組合事務局の利用事務経費の負担、会議場の提供等の協力も得られることから、青年部からも援助を働きかけ、そしてそれに見合う活動を行うことが大切です。

● 関係機関からの助成金
 公的機関、上部団体、中央会等の助成制度を利用・活用して下さい。
 そのためには、日頃から公的機関等の施策・助成制度の検討が必要であり、ほぼ毎年何がしかの制度を利用して資金に充てている青年部もあります。

● 参加料収入
 事業毎に収支予算を立て、事業に必要な直接的費用は参加費として徴収する「受益者負担」の考え方が通常導入されています。
 講習会の場合、参加料を徴収することが教育効果をあげる側面もあります。

● 事業収入
 組合事業の一部を青年部で担当し、収入をあげることもできます。それが、見返りとして親組合から還元されてくることになります。
 このようにして、売り出しの際の特売場や露店市、展示即売会などを実施している青年部もあります。
 また、共済制度について、その普及に青年部が協力し、リベートの割り戻しを得ている事例もあります。

● その他の収入
 機関紙の発行や会員名簿などを作成する際の広告料収入、見本市等で取引先からの賛助金をその経費の一部に該当させている青年部も見られます。