岩手 バックナンバー

山形村木炭多用途生産企業組合

◆主要産業の副産物を活かしたニュービジネス
 北上山地の北端に位置し、豊な山林に囲まれた九戸郡山形村。総面積の約9割を山野が占める山形村は、古くから牛飼いと炭焼きの里として知られ、豊な自然を活かした林業や農畜産業が村の経済基盤を支えています。
 岩手県は、ピーク時において黒炭を中心に20万トン以上を生産した木炭王国であり、家庭での調理や暖房の熱源が木炭から石油に移行したエネルギー革命以降、木炭需要は減少の一途を辿ることとなりましたが、現在でも岩手木炭は全国生産量の約4分の1を占めると言われています。
 木炭を生産するには多大な手間と時間を必要としますが、その過程で「木酢液」という副産物が得られます。木酢液は、木材を乾留する際、炭窯から出る煙を冷却することで生じる液体を原料とし、これを採取して、半年から1年程静置させると原液は3層に分離します。これらは上から薄膜層・木酢液・タール層となり、このうちの中間層を採取して不純物を除去すると「木酢液」の完成です。
 山形村の炭焼き事業者によって設立された「山形村木炭多用途生産企業組合」は、周辺各地に点在する炭焼窯から木酢液の原液を回収する専用車、静置・精製を行う12槽の巨大タンクを所有しており、「木酢液」の大量生産能力を有しています。

◆木炭のおはなし
 古くから日本人に親しまれてきた木炭は、大きく「白炭」と「黒炭」の2つに分けられます。その違いは生産方法にあり、どちらも窯を400〜800℃に熱して木材を熱分解する訳ですが、仕上げの精錬工程「ねらし」のやり方によって木炭の性質に違いを生み出します。「ねらし」とは、最後に焚き口を空けて窯から炭のガスを抜く作業のことで、「黒炭」の場合、「ねらし」の後、窯を石や粘土で密閉して火を落とし、自然に冷却させてから炭を取り出します。これに対し、「白炭」は「ねらし」の過程で焚き口を大きく開き、大量の酸素を取り込んで窯内の温度を1,000℃にまで引き上げ、その後、水分を含んだ灰(消粉)をかぶせ火を消して仕上げます。
 「白炭」は、その表面に白い灰が付着しており、叩くと金属のような澄んだ音を発し、火付きが悪い反面、火持ちは非常に良い。「黒炭」は、外観が黒く、叩くと土器のような鈍い音がして、火付きが良く、燃焼速度が速いという特徴を持っています。
■お問い合わせは
山形村木炭多用途生産企業組合
〒028-8603 岩手県九戸郡山形村荷軽部3-18
TEL:0194−72−2221

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