青森県の観光業界からの情報です。
(十和田湖畔活性化事業(協))
 代表理事 中村 秀行
 

 
 全国的な温泉ブームの中、温泉のない観光地として敬遠されつつあった十和田湖でしたが、観光客を呼び戻す起爆剤として温泉について検討し、十和田湖町、秋田県小坂町の助成を得ながら、十和田湖第一のホテル街"休屋"での掘削が成功し、東北新幹線八戸駅開業に併せ、昨年11月から待望の配湯を開始しました。

 国立公園であるため、生態系保護の問題や自然保護団体との調整、漁業組合などの地域の同意、掘削等に係る規制など、とにかく大変でした。資金面では、バブルで組合員の体質も弱まっており、どうにか十和田湖町、秋田県小坂町の協力でボーリング工事に着工できたのが平成13年10月。着工まで足かけ4年かかりました。
 平成14年4月に、念願の温泉が湧出しました。ボーリング工事は1日平均10mほどで、堅い岩盤にぶつかった時は1日1mしか掘れず、振動はまるで地震のようでした。また、本当に温泉が出るのか、温泉にヒ素等の有害物質が混じっていないかどうか、また、温泉排水を下水道に流す際に下水管を腐食させる成分がないか、など問題が一つでもあれば温泉は失敗します。温泉開発は、博打のようなものです。

 平成14年11月、十和田湖畔温泉としてスタートしました。"日本で一番新しい温泉"をキャッチフレーズに開湯記念ツアーを企画したところ、大変好評でした。宿泊の際に温泉かどうかという問い合わせが非常に多く、以前は宿泊を渋る人もいましたが、今は違います。温泉効果は非常に大きく、県外からのお客様はもちろん、地元の忘年会も増えました。
 東北新幹線八戸駅開業も大きな追い風となり、懸案であった冬期間も観光イベントの"十和田湖冬物語"が着実に浸透し、昨年は来場者数が約25万人、イベントでは"ドラム缶風呂"や"足湯"などが好評で、冬季の入込客数は2.5倍、通年でも約3割増と、賑わいをみせました。

 温泉を導入するには、配管やろ過装置の設置など、かなりの設備投資がかかり、コスト負担が大きく、国立公園のため規制も厳しいことから、この問題解決のために、一般のお客さんが十和田湖をひととおり観光した後で、誰でも気軽に入れるようなクアハウス(共同浴場施設)を建設したいと考えています。温泉のない旅館等は、送迎バスを用意するといった工夫もできるはずです。
 確かに温泉が湧いて観光客は大幅に増えましたが、昨年は新幹線開業によるものでしょう。今シーズンが、十和田湖畔にとっての正念場だと考えています。

 
十和田湖畔活性化事業協同組合
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