秋田県の木材業界からの情報です。
(能代森林資源利用協同組合)
理事長 鈴木 光雄

 
 平成12年に「廃棄物処理法」が改正され、我々木材関係者は、従来通り各製材所等で樹皮・製材端材などを引き続き焼却処理する場合は、平成14年12月1日までにダイオキシン類対策特別措置法に基づく基準値をクリアすることが義務付けられました。そのためには新規設備の導入や既存設備の改良が必要でしたが、この木材産業界を取り巻く厳しい状況下で新たな投資をすることは、企業経営上非常に大きな負担になるため、米代川流域林業活性化協議会等の場でその対応を検討してきました。その結果、地域の企業で組合を設立し、森林資源の循環利用を目指したバイオマス発電施設の設置に取り組んでいくことになったのです。
 それが短期間で実現に向けたスタートが切れたのは、発電した電気及び蒸気をアキモクボード(株)が購入してくれることになり、事業の採算性が確立されたためです。そこで(協)能代製材協会、(協)秋田県銘木センター、白神森林組合、アキモクボード(株)及び(株)鈴光で平成13年7月に組合を設立し、国の「林業構造改善事業」の補助金を活用し、昨年5月から施設の建設に取り掛かりました。施設は昨年末に完成し、試運転を経て現在既に稼働中です。
 

 バイオマス発電とは、植物などの生物体(バイオマス)を構成する有機物を燃料にして行う発電のことですが、当組合では木質資源の循環利用を図るため、組合員等から排出される樹皮・製材廃材等を利用した木質バイオマス発電を行います。計画としては、発電用タービンを回す燃料として年間54,000tの樹皮類を使用し、毎時3,000kwの電力と同24tの蒸気を産出し、施設に隣接するアキモクボード(株)に販売します。
 樹皮、端材等の受け入れは、組合員からは利用度に応じて賦課金を1t当たり1,500円を徴収し、電力と蒸気の販売を含めて全体の収入は年間240百万円を見込んでいます。


<施設のしくみ>
 これまではエネルギーコスト削減は各企業にて取り組んでいましたが、今回は地域企業が合同で取り組んだ初めてのケースということで、注目を集めているのだと思います。この事業に取り組めたのは、資源を提供できる企業があり、エネルギーを利用できる企業がある「木材の街・能代」だから可能だったと思います。
 現在、木材業界はこの厳しい不況下に加え、環境問題をクリアするための新たな設備投資という問題を抱えていますが、この事業によりコストダウンが可能になりました。能代だけでなく、本県の基幹産業である木材産業の一助になるためにも事業を成功させたいと考えています。
 


能代森林資源利用協同組合
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