中小企業経営承継円滑化法が施行されました!
 近年、中小企業経営者の高齢化が進む一方、後継者の確保が困難になってきております。中小企業は、日本の企業数の9割以上を占め、雇用全体の約7割を支えるなど、日本経済の基盤を形成する存在であるものの、2006年版中小企業白書によると、年間29万社が廃業しており、後継者不在を第一の理由とする廃業が約7万社、雇用の喪失は毎年20万〜35万人に上ると推定されています。
 こうした状況を受け、中小企業の雇用や技術の喪失を防止する観点から、「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律」(以下、中小企業経営承継円滑化法)が本年5月9日に成立し、10月1日より施行されました。その概要は、次のとおりとなっております。

中小企業経営承継円滑化法の3つの骨子

1 事業承継税制の抜本拡充
 事業承継の際の障害の一つである相続税負担の問題を抜本的に解決するため、非上場株式等に係る相続税の軽減措置について、現行の10%減額から80%納税猶予に大幅に拡充するとともに、対象を中小企業基本法上の中小企業全般に拡大されました。
 ただし、この制度は平成21年の通常国会に税法の一部改正案を提出し、平成20年10月1日に遡って適用されます。


2 遺留分(※1)に関する民法の特例
 一定の要件を満たす後継者が、遺留分権利者全員との合意及び所要の手続きを経ることを前提に、以下の民法の特例の適用を受けることができます。

@生前贈与株式を遺留分の対象から除外
 先代経営者の生前に、経済産業大臣の確認を受けた後継者が、遺留分権利者全員との合意内容について家庭裁判所の許可を受けることで、先代経営者から後継者へ贈与された自社株式その他一定の財産について、遺留分算定の基礎財産から除外することができます。これにより、贈与株式が遺留分減殺請求(※2)の対象外となるため、相続に伴う株式等の分散を未然に防止できます。
 また、後継者単独で家庭裁判所に申し立てるため、現行の遺留分放棄制度(当事者全員が個別に申し立てをすることが必要)と比較し、非後継者の手続きが簡素化されました。


※1「遺留分」とは?
 配偶者や子供に対して最低限の資産承継の権利を保障する民法上の制度で、原則法定相続分の半分となります。
※2「遺留分減殺請求」とは?
 遺留分の権利を主張することを遺留分減殺請求と言います。被相続人による財産処分の結果、相続財産が遺留分より少ない場合、遺留分権利者は、相続開始後に、受贈者・受遺者に対して遺留分減殺請求を行使し、贈与・遺贈財産返還を受けることにより、遺留分を確保することができます。

A生前贈与株式の評価額を予め固定
 生前贈与後に株式価値が後継者の貢献により上昇した場合でも、遺留分の算定に際しては相続開始時点の上昇後の評価で計算されてしまいます。このため、経済産業大臣の確認を受けた後継者が、遺留分権利者全員との合意内容について家庭裁判所の許可を受けることで、遺留分の算定に際して、生前贈与株式の価額を当該合意時の評価額で予め固定できる制度を創設。これにより、後継者が株式価値上昇分を保持できるため、経営意欲が阻害されません。


3 金融支援
 経営者が死亡し、相続に伴い分散した株式や事業用資産の買取などに多額の資金が必要となったり、株式や事業用資産について多額の相続税納税資金が必要となった場合等に、事業承継税制について経済産業大臣の認定を受けた中小企業者に対して、次の特例が設けられました。

@中小企業信用保険法の特例
 信用保険の拡大(通常の保険枠に加えて、普通保険2億円、無担保保険8,000万円、特別小口保険1,250万円が別枠として設けられました。)

A株式会社日本政策金融公庫法及び沖縄振興開発金融公庫法の特例
 代表者個人に対し、通常の基準金利よりも低利な特別利率による融資が実施されます(平成20年10月時点では、基準金利2.15%→特別利率1.75%)。

 以上が、中小企業経営円滑化法の概要となっております。事業承継は、いつかは必ず訪れる問題であり、事前準備の取組を行う程成功する確率が高くなるという調査結果もあります。
 円滑な事業承継には、非常に期間を要するため、十分時間をかけた計画の立案と着実な対策の実行が重要となります。
 最後に、事業承継フローチャートをご紹介いたしますので、早期の事業承継計画策定に向けた参考としてご覧下さい。
 なお、「事業承継」に関する詳細については、中小企業庁のホームページ(http://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/shoukei/)をご覧頂くか、本会連携組織支援部(Tel.018-863-8701)までお問い合わせ下さい。

事業承継フローチャート




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