平成20年度 分野別専門委員会を開催

 本会では、中小企業における諸問題を検討し、国に提案する要望事項をとりまとめるため、会長の諮問機関として「総合・組織」、「金融・税制」、「労働」の分野別に専門委員会を設けている。この委員会では、本年2月〜3月にかけて開催した業種別会議での意見交換等から抽出した事項を中心に審議され、決定した要望事項は、東北・北海道ブロック中央会会長会議や全国中央会の専門委員会などの審議を経て、中小企業団体全国大会に上程されるものである(下図参照)。
 本年も第60回中小企業団体全国大会(11月20日(木)、仙台市:仙台サンプラザにて開催)に向け、秋田県の要望事項を審議するため、去る6月6日(金)の「総合・組織専門委員会」を皮切りに、6月10日(火)に「金融・税制専門委員会」を、6月12日(木)には「労働専門委員会」を開催した。
 各委員会でとりまとめられた項目は次のとおり。

■総合

1 景気・中小企業対策
 国内経済は、原油・原材料の高騰、改正建築基準法施行に伴う住宅・建築着工の落ち込み等により景気回復は足踏み状態にあり、多くの中小企業では未だ景気回復を実感するには程遠く、とりわけ地域中小企業にあっては、依然厳しい状況にあることから、企業規模、業種間、地域間格差の是正に向けた、中小企業対策予算の大幅な増額及び適切かつ強力な中小企業対策を講ずること。
 さらに、中小商業・商店街活性化対策、中小企業連携組織対策等において都道府県によって格差が生じたり、地域中小企業者、商店街、中小企業組合等連携組織のための相談支援体制が弱体化することのないよう、十分な政策的配慮をはらうこと。
 そのためには、最低限の国の関与は必要不可欠であり、各都道府県が地方団体の裁量を活かしながら引き続き確実に執行できる政策的な対策を講ずること。

2 原油高騰対策
 原油価格の高騰は、原材料の確保難やコストアップ、消費者の購買力減退など、中小企業経営の根幹に関わる問題であるため、国は、原油価格の高騰が地域中小企業の経営を阻害することのないように、省エネなどの推進、税制優遇措置、金融措置などきめ細かな各種対策を講ずること。
 特に、トラック運送業においてはコスト上昇分が運賃に転嫁できない状況にある。さらに、軽油価格の高騰、コンプライアンスの強化で人件費もアップしており、運送業者は非常に厳しい経営状況にあり、燃料サーチャージ制度の導入を荷主側に理解を求め、適正な運賃を実現する必要がある。

■官公需

1 適正価格の発注
 国等の契約の方針においては、適正価格による発注を行う旨が明記されているが、ダンピング入札の流れは依然として止まっていない状況にあるだけでなく、予定価格そのものも低下を続けており、原価すら確保できない状況となっている。
 このことから、原価を割る極端な低い予定価格の制限やダンピングの防止策を明確にすること。
 また、予定価格そのものが、年々低下しており、市場の実態と大きく乖離したものとなっていることから、設計価格の積算に当たっては、原油・原材料価格の高騰等を十分勘案した実勢価格で行うことが必要である。
 公共工事に導入予定の「単品スライド条項」の適用については、周知徹底を図ること。

■環境・エネルギー

1 食の安全確保・原材料の安定供給対策
 我が国は主要穀物の輸入依存度が非常に高い状況にある。昨今、代替エネルギー等へシフトする農家が増加傾向にあり、大豆等を原材料とする食品加工業者は原材料の確保が益々難しく、国産原料の調達が今後の課題となっていることから、国は、安心・安全・良質な原材料の安定供給対策を講ずること。
 また、食に関わる農産物の安全性を確保すべく、安全・安心・良質な原材料を確保すること。

■その他

1 中小企業カルテルの実施
 「カルテル」は、事業者または業界団体の構成事業者が相互に連絡を取り合い、本来各事業者が自主的に決めるべき商品の価格や生産数量などを共同で取り決める行為であるが、原材料価格の高騰等著しい経済状況の昨今を勘案した業界団体の価格設定に対しては、公平な取引方法として容認すること。

■金融

1 新商工中金の機能の充実
 商工中金等政府系中小企業3金融機関の役割と機能の維持政策金融改革の実施に当たっては、商工中金、中小企業金融公庫及び国民生活金融公庫が中小企業に果たしてきた機能が引き続き十分発揮されるよう制度的な措置を講ずること。
 とりわけ、本年10月1日に協同組織金融機関から特殊会社に移行される新商工中金に際しては、既存の利用者や民間出資者の権益が侵害されたり、新たなコスト負担が生じたりすることのないよう十分配慮すること。

■税制

1 消費税引き上げ議論の凍結
 景気後退傾向の中、地方における中小企業は依然苦況に立たされており、消費税率引き上げ容認論は、中小企業経営者や消費者の将来の不安感を募らせ、景気回復の妨げにもなることから、拙速かつ安易な消費税率引き上げ議論は凍結すること。
 なお、消費税の見直しの議論を行う場合は、内外の経済動向を注視し、生活用品・食料品等を非課税範囲の対象とするなど、必要に応じ機動的・弾力的な対応をすること。

2 自動車関係諸税の軽減
 わが国の自動車関連諸税は、欧米諸国の2〜38倍にもなっており、自動車ユーザーに対して過重な負担を課している。
 特に、自動車購入時に課される消費税と自動車取得税の二重課税、走行時における揮発油税等に消費税が課されるタックスオンタックスは、税の公平性の観点から早急に解消すること。また、保有段階における自動車重量税と自動車税・軽自動車税を簡素化するとともに、過重な税負担を軽減すべきである。

■労働

1 最低賃金一律引き上げ反対
 最低賃金の引き上げには、生産性の向上や取引環境の改善による中小企業の底上げが不可欠であり、中小企業の経営実態や支払い能力を無視した引き上げは行わないこと。また、全国一律に最低賃金を引き上げる動きが出ているが、これは中小企業を取り巻く依然として厳しい地域の経済事情を無視したものであり、全国一律の底上げは絶対行わないこと。

2 外国人研修生制度
 外国人研修生制度については、現在関係省により見直しが行われている中で、幅広く実習生への移行が可能となるよう技能実習生受入対象職種を拡大するとともに、技能実習生の厚生年金の加入については、年金制度になじむものではないので、全額免除とすること。

3 労働・教育政策の充実
(1) 人材育成・人材確保への支援
 少子高齢化が進行する労働環境の中で、中小企業の従業員や後継者のキャリア形成を体系的に支援するための教育訓練を整備・充実するなど、中小企業の従業員に対する人材育成支援に対しては、一層の強化が求められることから、人材育成に対する助成金等の負担軽減策の充実を図ること。
(2) 日本人の心を取り戻す教育の推進
 昨今の殺伐とした時代を憂い、今日失われつつある道徳観、倫理観、思いやりといった“日本人の心”を取り戻す教育の充実を図ること。

※「まちづくり」に関する要望については、秋田県商店街振興組合連合会が次のとおりとりまとめ、全国商店街振興組合連合会を通じて、国へ提案されております。
■まちづくり

 中小小売商業施策状況全般が、中心市街地活性化協議会を重点的に支援する内容に移行してきている。
 しかし、協議会の設置は市町村の取り組み姿勢により大きく左右されており、未設置市町村の商店街が活用できる支援策が少なくなってきている状況にある。地域ならではの創意工夫や社会環境の変化に柔軟に対応し、活性化に向けた積極的に取り組んでいる商店街に支援を希望する。

東北・北海道ブロック中央会会長会議が開催される

 6月23日(月)、東北・北海道ブロック中央会会長会議が、山形県上山市において開催された。
 会議には、本会から米澤会長等が出席し、本県をはじめ各道県から提出のあった第60回中小企業団体全国大会に向けた案件を審議し、東北・北海道ブロックとしての要望を取りまとめ、決議された。



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