平成20年度 税制改正の概要 中小企業関係税制
 平成20年度税制改正の要綱が1月11日閣議決定され、年度内に国会での成立を予定している。
 今般の税制改正においては、長年の課題であった事業承継税制の抜本拡充が実現し、事業承継の最大の支障である中小企業経営者の相続税負担の問題が一掃され、事業の継続・発展を通じた地域経済の活性化を強力に後押ししている。

中小企業事業承継税制の抜本拡充
○事業承継の際の障害の一つである相続税負担の問題を抜本的に解決するため、非上場株式等に係る相続税の軽減措置について、現行の10%減額から80%納税猶予に大幅に拡充するとともに、対象を中小企業全般に拡大する。なお、本制度は、平成21年度改正で創設し、中小企業の継続の円滑化に関する法律(仮称)の施行の日(平成20年10月予定)以降の相続に遡って適用する。


取引相場のない株式等に係る相続税猶予制度について
@ 事業承継相続人が、非上場会社を経営していた被相続人から相続等によりその会社の株式等を取得しその会社を経営していく場合には、その事業承継相続人が納付すべき相続税額のうち、相続等により取得した議決権株式等(相続開始前から既に保有していた議決権株式等を含めて、その会社の発行済議決権株式の総数等の3分の2に達するまでの部分)に係る課税価格の80%に対応する納税を猶予する。
事業承継相続人
中小企業の事業の継続の円滑化に関する法律(仮称)における経済産業大臣の認定を受けた一定の中小企業の発行済株式等について、同族関係者と合わせその過半数を保有し、かつ、その同族関係者の中で筆頭株主である後継者をいう。
※ 会社を経営していた被相続人は、その会社の発行済株式等について、同族関係者と合わせその過半数を保有し、かつ、その同族関係者(事業承継相続人を除く。)の中で筆頭株主であったことを要する。
A 納税猶予の対象となる株式等のみを相続するとした場合の相続税額から、その株式等の金額の20%に相当する金額の株式等のみを相続するとした場合の相続税額から控除した額を猶予税額とする。
B その事業承継相続人が納税猶予の対象となった株式等を死亡の時まで保有し続けた場合等の一定の場合には、猶予税額を免除する。
C その事業承継相続人が、相続税の法定申告期限から5年の間に、代表者でなくなる等により、中小企業の事業の継続の円滑化に関する法律(仮称)に基づき経済産業大臣の認定が取り消された場合等には、猶予の全額を納付する。
D 上記Cの期間経過後において、納税猶予の対象となった株式等を譲渡した場合には、その時点で、納税猶予の対象となった株式の総数等に対する譲渡株式の総数等の割合に応じた猶予税額を納付する。
E 上記C又はDにより、猶予税額の全額又は一部を納付する場合には、その納付税額について相続税の法定申告期限からの利子税も併せて納付する。
F この特例の適用を受けるためには、原則として、納税猶予の対象となった株式等のすべてを担保に供しなければならない。
G 個人資産の管理等を行う法人の利用等による租税回避行為を防止する措置を講ずる。
H 中小企業の事業の事業の継続の円滑化に関する法律(仮称)の施行以後に開始した相続等から適用を可能とする措置その他所用の措置を講ずる。
I 現行の特定同族会社株式等に係る相続税の課税価格の計算の特例は、所用の経過措置を講じた上で廃止する。


農林水産業と商工業との連携等を促進するための税制措置
 地域経済の活性化に向け、中小企業者と農林漁業者との連携による事業活動の促進に関する法律(仮称)に基づき、農林水産業と中小企業とが連携して行う、ヒト・モノ・技術などの経営資源を活用した農商工等連携事業活動(仮称)を促進するため、当該連携事業活動の立ち上げ・拡大に向け必要となる設備投資を支援する税制措置を創設する。
@ 中小企業者と農林漁業者との連携による事業活動の促進に関する法律(仮称)の制定に伴い、中小企業等基盤強化税制の対象に、同法の認定農商工等連携事業活動計画(仮称)に従って農商工等連携事業活動(仮称)を行う中小企業者が取得する同計画に定める機械装置を加える。
A 企業立地の促進等による地域における産業集積 の形成及び活性化に関する法律の一部改正に伴い、集積区域における集積産業用資産の特別償却制度の対象に、農林水産業の活性化に資する業種を加える。なお、同業種における投資規模要件は、機械装置にあっては、取得価額の最低限度を1台又は1基につき500万円、かつ、計画記載の投資総額の最低限度を4,000万円とし、建物等にあっては、取得価額の最低限度を5,000万円とする。


非上場株式における営業権の評価の改正
 取引相場のない株式の評価に係る純資産価額方式における営業権の評価について、企業者報酬の額及び純資産価額に乗じる利率の見直しを行う。

研究開発税制の拡充
 試験研究費に係る特別税額控除制度について、試験研究費の増額分に対する特別税額控除割合を上乗せする特例を改組し、次の特例のいずれかを選択適用できる制度を創設する。この制度における控除税額は、試験研究費の総額に係る特別税額控除制度又は中小企業技術基盤強化税制とは別に、当期の法人税額の100分の10相当額を限度とする。
@ 平成20年4月1日から平成22年3月31日までの間に開始する各事業年度において、試験研究費の額が比較試験研究費の額を超え、かつ、基準試験研究費の額を超える場合には、試験研究費の額が比較試験研究費の額を超える部分の金額の100分の5相当額の特別控除ができることとする。
A 平成20年4月1日から平成22年3月31日までの間に開始する各事業年度において、試験研究費の額が平均売上金額の100分の10相当額を超える場合には、その超える部分の金額に特別税額控除割合※を乗じた金額の特別税額控除ができることとする。
※ 特別税額控除割合は、試験研究費割合から100分の10を控除した割合に0.2を乗じた割合とする。

情報基盤強化税制の延長・拡充
 情報基盤強化税制について、次の見直しを行った上、その適用期限を2年間延長する。
@ 対象設備等に、部門間・企業間で分断されている情報システムを連携するソフトウエアとして一定の要件を満たすものを加える。
A 資本金の額又は出資金の額が1億円以下の法人等について、対象設備等の取得価額の合計額の最低限度を70万円(現行300万円)に引き下げる。
B 資本金の額又は出資金の額が10億円超の法人について、対象設備等の取得価額の合計額のうち本税制の対象となる金額は、200億円を限度とする。
→ 特別償却50%又は税額控除10%を選択適用。

減価償却制度・法定耐用年数区分及び短縮制度の見直し
 減価償却制度について、次の見直しを行う。
@ 法定耐用年数について、機械及び装置を中心に、実態に即した使用年数を基に資産区分を整理するとともに、法定耐用年数を見直す。なお、この改正は、既存の減価償却資産を含め、平成20年4月1日以後開始する事業年度について適用する。
A 耐用年数の短縮特例について、本特例の適用を受けた減価償却資産について軽微な変更があった場合、本特例の適用を受けた減価償却資産と同一の他の減価償却資産を取得した場合等には、改めて承認申請をすることなく、変更点等の届出により短縮特例の適用を受けることができることとする。

人材投資促進税制の拡充
 教育訓練費が増加した場合の特別税額控除制度について、対象を中小企業者等に限定するとともに、労働費用に占める教育訓練費の割合が100分の0.15以上の場合に、教育訓練費の総額に、労働費用に占める教育訓練費の割合に応じた特別税額控除割合(100分の8〜100分の12)を乗じた金額の特別控除ができる制度の改組した上、本特例を中小企業基盤税制の中に位置付ける。
※ 特別税額控除割合は、労働費用に占める教育訓練費の割合から100分の0.15を控除した割合に40を乗じたものに100分の8を加算した割合とする。

中小企業投資促進税制の延長
 中小企業投資促進税制の適用期限を2年延長する。中小企業の一定の機械装置・ソフトウェア等への投資に対する特別償却30%又は税額控除7%を選択適用。

交際費の損金算入の特例の延長
 交際費の損金不算入制度について、中小企業者に係る400万円の定額控除の適用期限を2年延長する。

創業5年以内の中小企業に対する欠損金の繰戻還付措置の延長
 欠損金の繰戻しによる還付の不適用制度について、中小企業者の設立後5年間に生じた欠損金額に係る適用除外措置の適用期限を2年延長する。

少額減価償却資産の特例の延長
 資本金1億円以下の中小企業者等が30万円未満の減価償却資産を取得した場合、取得価額の損金算入の特例の適用期限を2年延長する。

企業再生税制の特例措置を受ける私的整理の要件の緩和
 事業再生の小規模化にも対応し、未だ十分に進んでいない地域の中小企業の再生をより一層促進するため、信用保証協会が求償権放棄をした場合においても、企業再生税制の特例措置を認める。
 中小企業等の債務者が、2以上の「金融機関等」から債務免除を受けた場合、一定の要件を満たせば、資産評価損益の計上及び期限切れ欠損金の損金算入を認めている企業再生税制の特例措置について、「金融機関等」に信用保証協会を追加する。



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