改正組合法と組合会計基準について(3)

  本誌では、2007年12月号から2008年4月号まで改正組合法と組合会計基準について5回にわたり、その内容について掲載致しますが、今回は、「組合会計基準」で示されている損益計算書、剰余金処分案又は損失処理案、並びに注記事項及び脱退者持分払戻計算書について掲載します。
 なお、経過措置の適用がなく、現行で適用されている区分・表示もありますので決算関係書類作成の際には、事前に連携組織支援部又は大館・横手支所にご相談ください。

非出資商工組合を除く、一般組合が作成する損益計算書、剰余金処分案又は損失処理案について

◆損益計算書 70条〜79条
 損益計算書は、1事業年度の損益をその発生源泉別に収益と費用を対応して示し、組合の経営成績を表示しようとするものですが、単に経営成績を明らかにするに留まらず、将来の経費節約、収益の増加を図る参考指針として重要であるばかりでなく、利害関係人にとっては、組合の損益状況及びその趨勢を観察するための書類です。
 損益計算書は事業収益、賦課金等収入、事業費用、一般管理費、事業外収益、事業外費用、特別利益、特別損失に区分するとともに、それぞれの項目はさらに細分しなければなりませんが、金額が重要でないものについては細分しないことも可能としていますので、組合の実情に応じて判断することが必要です。また、組合の実施する事業の種類ごとに収益、費用を区分することもできることとされています。
留意事項
 利用分量配当を実施する場合には、事業別損益を表示する様式での作成を要します。
 事業別損益計算書を作成する場合は、付属的な計算書類として「費用配賦表」を作成しますが、費用配賦表に関しては、施行規則で別段の規定がありませんので、従来通りの方法で作成してください。また、「製造原価報告書」に関しても同様です。

◆剰余金処分案又は損失処理案 80条〜82条
  当期純利益金額(繰越損失がある場合にはこれを控除した額)を基準にして10分の1以上を利益準備金として、20分の1以上を教育情報費用繰越金として積み立てることが義務付けられており、当期純利益金額(繰越損失を控除した額)が、少額であっても積み立てなければなりません。利益準備金は、定款で定める額に達するまでは積み立てなければならず、損失のてん補に充てる以外には取り崩すことができません。また、定款で定める額は、出資総額の2分の1を下回ってはならないこととなっています。教育情報費用繰越金は、組合員の事業に関する経営及び技術の改善向上又は組合事業の関する知識の普及を図るための教育及び情報の提供に関する事業のために積み立てる繰越金であり、教育情報事業の実施に際して取り崩して使用することとされています。
 剰余金処分案は当期未処分剰余金(又は当期未処理損失金)、組合積立金取崩額、剰余金処分額及び次期繰越剰余金に区分するとともに、当期未処分剰余金(又は当期未処理損失金)は当期純利益金額(又は当期純損失金額)と前期繰越剰余金(又は前期繰越損失金)に区分しなければなりません。
留意事項
・ 利益準備金、教育情報費用繰越金、組合積立金のうちの特別積立金は、当期純利益金額(繰越損失がある場合にはこれをてん補した後の金額)をもとに計上する。
・ 出資配当及び利用分量配当は上記処分を行った後に行うこと。
・ 出資商工組合、企業組合、協業組合は、教育情報費用繰越金の処分はない。
・ 脱退者への中協法第20条による持分払戻しがあるときは、別に、脱退者持分払戻計算書を作成する。(後述)
・ 税効果会計を適用する最初の事業年度において、過年度に発生した一時差異等(繰延税金資産と繰延税金負債の差額)を処理する場合には、過年度税効果調整額として、当期未処分剰余金に表示する。

損失処理案は当期未処理損失金、損失てん補取崩額及び次期繰越損失金に区分し、さらに当期未処理損失金は当期純損失金額(又は当期純利益金額)と前期繰越損失金(又は前期繰越剰余金)に区分しなければならない。また、損失処理案に記載する損失てん補取崩額は組合積立金取崩額、利益準備金取崩額、資本剰余金取崩額に区分しなければならないとされています。

留意事項
・ 中協法第56条による出資1口の金額の減少を行い生じた出資金減少差益(事業協同組合定款参考例第57条の減資差益)及び、持分計算の結果出資金に満たない額を払い戻したときに生じる出資金減少差益(同定款参考例第14条の減資差益)を、損失てん補に充てるときは、資本剰余金取崩額に表示する。なお、資本剰余金取崩額は、資本準備金項目である加入金、増口金及びその他資本剰余金項目である出資金減少差益、その他の資本剰余金項目に区分して表示することができます。
・ 当期未処理損失額が少なく、次期以降の利益で、てん補できる見込みにときは、次期以降へ繰越損 失金として繰り越しても差し支えありません。

◆注記事項
 重要性の原則は、財務諸表の表示に関しても適用されますが、会社計算規則第129条第2項に、会計監査人監査設置会社以外の会社にべての会社に注記を求めているのは、「重要な会計方針に関する事項」だけです。
 しかし、施行規則には会社法の会社計算規則と異なり、注記(表)に関して規定されていないことから注記表の作成に代えて、各決算関係書類ごとに注記することができます。記載方法として重要な会計方針に関わる注記事項は、損益計算書及び貸借対照表の次にまとめて記載し、なお、その他の注記事項についても、重要な会計方針の注記の次に記載することができます。
◇重要な会計方針の開示
 財務諸表には、重要な会計方針を注記しなければならないとされており、会計方針とは、企業が損益計算書及び貸借対照表の作成に当たって、その財政状態及び経営成績を正しく示すために採用した会計処理の原則及び手続き並びに表示の方法をいい、会計方針の例としては、次のようなものがあります。
重要な会計方針の注記
 @資産の評価基準及び評価方法
  イ 有価証券の評価基準及び評価方法
  ロ たな卸資産の評価基準及び評価方法
 A固定資産の減価償却の方法
 B繰延資産の処理方法
 C引当金の計上基準
 D収益及び費用の計上基準
 Eその他計算書類の作成のための基本となる重要事項
  代替的な会計基準が認められていない場合には、会計方針の注記を省略することができる。
会計方針の変更
 @会計処理の原則又は手続きの変更
 A表示方法の変更
◇重要な後発事象の開示
 財務諸表には、損益計算書及び貸借対照表を作成する日までに発生した重要な後発事象を注記しなければならない。後発事象とは、貸借対照表日後に発生した事象で、次期以降の財政状態及び経営成績に影響を及ぼすものをいう。重要な後発事象を注記事項として開示することは、当該企業の将来の財政状態及び経営成績を理解するための補足情報として有用であり、重要な後発事象の例としては、次のようなものがあります。
 @火災、出水等による重大な損害の発生
 A多額の増資又は減資及び多額の社債の発行又は繰上償還
 B会社の合併、重要な営業の譲渡又は譲受
 C重要な係争事件の発生又は解決
 D主要な取引先の倒産

◆脱退者持分払戻計算書
 脱退者の持分計算については中協法規則には特段の規定はありませんが、この計算様式例としては次の様式が妥当です。
留意事項
・ この様式は、改算式持分計算法による持分全部を払い戻す定款規定の場合である。
・ 簿価財産限度の払戻しの定款規定の場合は、土地評価益の額及び土地評価益に対する繰延税金負債の額を除いて算出する。
・ 土地評価減の場合は、評価減の額を控除して算出する。
・ 出資額限度持分払戻しの定款規定の場合は、この計算書で算出した持分額が、出資金額より多いときは出資金額の払戻しを行い、出資金額より少ないときは、その出資金額より少ない持分額を払い戻す。



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