年頭所感

中小企業庁
長官 福水 健文

 平成二十年の新春を迎え、謹んでお慶びを申し上げます。

 昨年を振り返りますと、我が国経済は、総じて民需主導の堅調な景気回復を続けた一年となりましたが一方で、企業規模や業種、地域によって回復状況にばらつきが見られ、多くの地域や中小企業が景気回復を十分に実感できない状況も続いています。
 このような状況の中、成長の果実を地域や中小企業に広く行き渡らせ、我が国経済を支える地域・中小企業を活性化することが、最も重要な政策課題の一つとなっております。こうした状況を踏まえ、経済産業省中小企業庁においては、地域経済再生に関する大臣特命プロジェクトチームを設置する等、地域活性化策の検討を行い、昨年十一月には「農商工連携」の促進、中小企業の生産性向上に向けた支援策等を盛り込んだ「地方経済再生のための緊急プログラム」を取りまとめました。
 「農商工連携」については、農林水産省とも連携しつつ、農業を地域牽引の産業という観点からとらえ、農業と商工業とを連結させ、IT化等によって、マーケティング、生産管理などを積極的に行うことを重点的に支援していきたいと考えております。
 また、中小企業の生産性向上については、そのための取組を加速させる道筋を示すべく、「中小企業生産性向上プロジェクト」を取りまとめました。
 本プロジェクトにおいては、①生産性を向上させるための「付加価値の創造」、②それを支える「経営力の向上」、③努力や能力に応じて利益を得ることのできる「公正かつ効率的・合理的な事業環境の整備」等の観点から、中小企業の自主的な努力を支援する施策を総合的・集中的に講じていくこととしております。
 まず、「付加価値の創造」については、中小企業による地域資源を活用した新商品、新サービスの開発や事業化を成功に導く地域資源活用促進プログラムにより、産地技術、農林水産品等の地域資源を活用した取組を支援します。このプログラムの積極的運用により、今後五年間で千件の新事業創出を目指します。
 次に、「経営力の向上」を目指して、地域経済を支えている中小・小規模企業に対しての支援強化を行ってまいります。小規模企業等の経営力の向上を図る観点から、インターネットを活用し、財務状況を正確に把握し、小規模企業等が自らの経営課題を明確化できるよう支援を行ってまいります。また、先進的な支援プログラムを実施しようとする機関を選定し、企業OBを含む専門家の派遣を行うことにより、経営方法の改善や地域資源を活用した新たな事業展開を重点的に支援してまいります。
 さらに、中小企業の事業承継に際しては、相続税負担、後継者不足や遺留分など様々な問題があります。このため、事業承継税制の抜本拡充、開廃業マッチングを支援する事業承継支援センターの設立等に係る予算措置や金融支援を実現いたしました。今後は、税制措置の枠組みや遺留分の問題を解決するための措置を含む「事業承継円滑化に向けた総合的かつ包括的な支援法案」の策定に向け全力で取り組んでまいります。
 最後に、「事業環境の整備」につきましては、成長の果実を適切に中小企業へ波及させるため、下請代金支払遅延等防止法の厳正な運用、「下請適正取引等の推進のためのガイドライン」の普及啓発、全国レベルで下請事業者の相談の受付、紛争のあっせん調停等を行う「下請適正取引推進センター(仮称)」の整備など、下請適正取引等を推進してまいります。また、中小企業金融の円滑化のため、予約保証制度の創設や、売掛債権の早期現金化支援等により、小規模企業等への資金供給機能の強化を図るとともに、先に述べた財務会計支援に基づき得られたデータに基づく金融の円滑化を図ってまいります。
 これらの施策に加え、従来から取り組んでいる施策にも全力で取り組み、予算、税、財投等の政策資源を活用することで、本年も我が国中小企業の発展のため、中小企業政策に全力を尽くしてまいる所存であります。
 最後に、本年が中小企業の皆様にとって大きな飛躍の年となるよう祈念いたしまして、私からの新年の御挨拶とさせていただきます。

平成二十年 元旦



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