ポイントカード事業の活性化策を研究
〜全国の先進事例から活性化へのヒントを探る〜

講師 森田光正理事長
 消費者の地元商店への誘客促進を図るための有効手段であるポイントカード(スタンプ)事業は、端末機の交換やイベントのマンネリ化等の課題を抱えているのが現状です。この課題解決の一助とするため、10月23日(火)、秋田市のホテルメトロポリタン秋田において「ポイントカードサミット」を開催しました。
 県内でポイントカード事業を実施している組合をはじめ任意団体から約50名が出席し、基調講演、分科会を通じてポイントカードの新たな活用方法などを学んだ。

基調講演
基調講演では、ポイントを活用したイベントで効果を挙げている富山県南砺市の協同組合福光商業会の森田光正理事長から「ポイントカードの多機能化とイベントによる活性化について」をテーマに講演いただいた。
 この南砺市は、富山県南西部、金沢市へ自動車で40分、富山市へは60分の田園地域にあり、福光地区としての商圏人口は約3万人である。最初に平成18年9月に導入した多機能端末システムである「なんとeカード」の導入経緯が説明された。これは平成4年に導入したカードシステムが老朽化したため、新カードシステムの検討を行った結果、
 ①導入・運営コストが安いこと
 ②新たな決済機能が可能な端末であること
 ③新ポイントサービスが可能であること
 ④セキュリティと情報活用が可能なこと
が、求められたことからである。
 最も評判の良いイベントとして、「福福福(福が3つでふくみっつ)くじ」が紹介された。
 これは、加盟店で買い物した時に発行されるレシート使って実施するもので印字されるポイント残高が「宝くじ」の抽選番号となるイベントである。森田理事長は、「お客さんが喜ぶイベントであり、当選の際には最低3回は中心市街地へ出向く必要があるため、買い物客が増え、ポイントの魅力向上にもつながっている。」また、「これからはエコポイント導入により、より効果のある、街中賑わい販促事業を行って行きたい。」などと話した。

第1分科会
 第1分科会では、「新サービス機能(教育助成券、健康ポイント、エコポイント)付加による事業の活性化について」の事例発表が行われた。
 この中で、北海道オホーツクカード事業協同組合の皆川忠義相談役からは、エコポイントサービス及び健康ポイントサービスの概要が説明された。
 エコポイントについては、カード会員が、買物袋を持参し、レジ袋や包装を辞退した場合に加盟店が1エコポイント以上発行し、ポイント代金は発行加盟店が負担する。また、健康ポイントサービスについては、カード会員が、健康ポイント発行端末機を設置している公私温泉施設又は体育施設を利用した時に、施設ごとに利用1回(1日1回限り)につき1健康ポイントを発行、たまった健康ポイントは1ポイント1円として温泉施設又は体育施設を利用券と交換ができ。利用券代金は組合販促費で負担している。というものである。

 岩手県遠野すずらん振興協同組合の河内克倫副理事長からは、実施イベントの紹介並びにすずらん教育助成制度(教育助成券)についての説明があり、概要については次のとおりである。

第2分科会
 講師には、前出の森田理事長と財団法人流通システム開発センター瀧澤幹典上級研究員が出席し、「カードシステムの多機能化の現状と今後の方向性について」をテーマに実施した。
 この中で、近年のカードシステムの特徴は、従来の商店街事業の枠を超えた事業を展開して顧客の支持を得ていること。単に商売する立場でなく、地域・社会に新たなサービスを提供していくという形で貢献する「地域・社会を支えていく一員」としての立場でのコンセプトが重要になっている。
 例えば、
 ①地域貢献型(コミュニティの維持、域内流通の活性化)
 ②社会貢献型(エコロジー、リサイクル配慮)
 ③外部機能連携型(外部高機能システムの活用)
などがある。
 また、カードシステムの導入を検討するに際し、
 ①どのようなコンセプトのもとで導入するのか
 ②初期コストや運営コストが確保できるのか
 ③システムの安全性が確保されているのか
などがアドバイスされた。

 出席者からは、「先進3組合の取り組みの成功のポイントは勿論のこと、失敗事例を含めた具体的な内容を研修できたことや意見交換の場で、県内の組合の取り組みについて有意義な情報交換が出来た。」など、評価する声が多く聞かれた。








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