平成18年度
税制改正における主な中小企業関係税制について
 平成18年度の税制改正では、中小企業者向けに様々な税制措置が講じられました。次に、その中から主な内容についてご紹介いたします。

■少額減価償却資産の特例の改正
 中小企業者等が30万円未満の少額減価償却資産を取得した場合の損金算入制度の特例が、適用対象となる損金算入合計額の上限を年間300万円とした上で、2年間延長されました。

改正点
旧制度
新制度
適用期間
平成18年3月31日迄
平成18年4月1日〜平成20年3月31日
損金算入限度額
上限なし
対象資産取得価額の合計額が年間300万円を上限

ただし、
⇒ 対象資産取得価額の合計額が年間300万円を超える部分に係る減価償却資産については適用対象から除外されます。
⇒ 「中古」についても適用対象となります。
⇒ 事業年度の途中で取得した場合も「月数按分」をしないで全額算入が出来ます。
⇒ この適用を受けるためには、法人税の確定申告書に『別表十六(六)少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例に関する明細書』を添付する必要があります。

■役員給与・役員賞与の損金算入制度改正
 これまで定期的な支給か臨時のものか報酬等の支払形態で損金算入の可否を区別していた扱いを、予めの定めによるものかどうか等によって区別することとなりました。

◇損金算入が認めらる役員給与の要件
(1) 定期同額給与
 支給時期が1ヵ月以下の一定の期間毎であり、かつ、その事業年度の各支給時期における支給額が同額であるもの。
ただし、次の場合も定期同額給与とみなされます。
⇒ 期首から3ヵ月以内に改定された場合
 ・その事業年度開始の日の属する会計期間開始日から3ヵ月以内に改定がされた場合において、その改定前の各支給額が同額でかつ、改定後の各支給額が同額である場合。
⇒ 経営悪化等を理由に期中に減額改定された場合
 ・その法人の経営状況が著しく悪化したこと等により減額した場合において、その改定前の各支給額が同額でかつ、改定後の各支給額が同額である場合。
(2) 事前確定届出給与
 従来、役員に対する賞与は理由・金額を問わず全額損金不算入とされていましたが、今回の改正により、次の要件を満たした場合は、役員賞与について損金算入ができることとなりました。
【要 件】
 支給時期、支給額が予め定められており、その内容に関する『事前確定届出給与に関する届出書』を所定の期日までに所轄税務署長に提出していること。
※事前届出給与金額と異なる金額を支給した場合は事前確定届出給与に該当せず、全額が損金不算入になるので注意が必要です。
(3) 利益連動給与
 同族会社に該当しない会社が、一定の要件を満たした場合について損金算入ができる。

◇「特殊支配同族会社」の役員給与の損金算入制限
【対 象】
 特殊支配同族会社
*「特殊支配同族会社」とは…
 業務主宰役員(業務を取り仕切っているオーナー役員等)及びその特殊関係者が発行済株式の総数の90%以上を有し、かつ、業務主宰役員とその特殊関係者の常勤役員数が常勤役員の総数の過半数を占める場合の同族会社。
【損金不算入とされる金額】
 業務主宰役員に支給する給与のうち、給与所得控除額に相当する金額
【損金算入制限が適用されない場合】
 その特殊支配同族会社の基準所得額が800万円以下である場合等

◇適用期間
 平成18年4月1日以降開始する事業年度からの取扱い。

■交際費の損金不算入制度の改正
 交際費は原則として損金算入ができませんが、資本金1億円以下の企業に限って認められている交際費の損金算入特例を2年間延長するとともに、交際費課税範囲の明確化を行いました。

◇中小企業者に対する損金算入特例
期末資本金額
1億円以下
損金算入限度額
年間400万円までの支出額の90%迄

◇交際費課税範囲の明確化(全ての企業が対象)
 交際費課税の対象となる交際費等の範囲から、得意先等社外の者を対象にした「1人当たり5,000円以下の飲食費」が一定の要件の下で除外されます。ただし、役職員間の飲食費はこの飲食費の対象外となります。
※ 一定の要件とは…
 次に掲げる事項を記載した書類を保存していることが必要です。
イ その飲食等のあった年月日
ロ その飲食等に参加した得意先、仕入先その他事業に関係のある者等の氏名又は名称及びその関係
ハ その飲食等に参加した者の数
ニ その費用の金額並びにその飲食店、料理店等の名称及びその所在地
(注) 店舗を有しないことその他の理由によりその名称又はその所在地が明らかでない場合は、領収書等に記載された支払先の氏名若しくは名称、住所若しくは居所又は本店若しくは主たる事務所の所在地が記載事項となります。
ホ その他参考となるべき事項

◇適用期間
 平成18年4月1日から平成20年3月31日までの間に開始する各事業年度に適用されます。

■創業5年以内の中小企業者に対する欠損金の繰戻還付措置の特例延長
 企業基盤が脆弱な創業間もない中小企業者の資金繰り難を緩和するため、欠損金の繰戻還付措置を2年間延長しました。

◇「欠損金の繰戻還付制度」とは…
 欠損金が生じたとき、その欠損金を前事業年度の所得に繰り戻して、既に納付済みの法人税額の還付を請求することができる制度です。

◇特例の適用対象
 欠損金の繰戻還付制度は平成4年度から運用停止中であるが、青色申告書を提出する、設立後5年以内の中小企業者に適用されます。

◇適用期間
 平成18年4月1日から平成20年3月31日までの間に終了する事業年度において適用できます。
※この特例の適用を受けるためには、次の点に留意が必要です。
(1) 『欠損金の繰戻しによる還付請求書』を法人税の確定申告書に添付すること。
(2) 還付所得事業年度から欠損事業年度については、連続して青色申告書である確定申告書を提出していること。

◇還付請求ができる金額の計算式

 詳しくは、中小企業庁の中小企業の税制に関するホームページをご参照下さい。
http://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/zeisei/index.html



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