組合法がかわります!〜平成19年4月1日施行〜

 6月9日、「中小企業等協同組合法等の一部を改正する法律」が成立し、来年4月1日に施行されます。
 同法律は、中小企業や個人事業者等が相互扶助の精神に基づき運営してきた中小企業組合制度について、近年その規模の拡大や事業の多様化に伴って、組合が破綻する事例等が発生していることを受け、中小企業組合のガバナンスの充実を図るため、(1)中小企業組合の自治運営を効果的に機能させるための措置、及び(2)中小企業組合による共済事業(保険事業)の健全な運営を確保するための措置について講じられたものであります。次に中協法の主な改正点について紹介します。

中小企業等協同組合法の一部改正

【組合全般に関する主な改正点】

① 役員の任期変更(第36条関係)
 理事の任期は2年以内、監事の任期は4年以内において定款で定める期間とする。
〔経過措置〕
 新法施行日以後最初に終了する事業年度に係る決算に関する通常総会(4月〜翌年3月までの事業年度の場合は平成20年5月頃)の終了前(平成19年度総会の改選まで)に在任する者の任期については、法施行後も従前の例による。

② 監査権限限定組合における理事、組合員等の権利義務に関する規定の整備(第36条の3関係)
 監事が会計監査のみを行う組合(以下「監査権限限定組合」という。)においては、理事は、組合に著しい損害を及ぼすおそれのある事実を発見した場合は組合員に報告しなければならず、また、6ヵ月以上継続して組合員である者は、理事が法令違反等の行為をするおそれがある場合において、組合に著しい損害が生ずるおそれがあるときは、理事に対し当該行為の差止請求をすることができるものとする。

③ 監事に対する理事会議事録への署名の義務付け(第36条の7関係)
 理事会へ出席した監事に理事会の議事録への署名を義務付けるものとする。
〔経過措置〕
 業務監査の経過措置に合わせ、新法施行日以後最初に終了する事業年度に係る決算に関する通常総会の終了の時から適用し、当該通常総会終了前は従前の例による。

④ 理事と組合の利益相反取引の制限(第38条関係)
 理事が自己又は第三者のために組合と取引しようとするとき又は組合と当該理事との利益が相反する取引をしようとするときは、理事会において、当該取引について重要な事実を開示し、その承認を受けなければならないものとする。

⑤ 役員の損害賠償責任の免除(第38条の2関係)
 役員の損害賠償責任については、役員等が善意・無重過失の場合においては、免除額をあらかじめ定め、理事会の決議によって当該免除額を限度として免除することができる旨を定款で定めること等ができるものとする。
〔経過措置〕
 新法施行日前の行為に基づく損害賠償責任については、なお従前の例による。

⑥ 決算関係書類・事業報告書の作成・保存期間の明記等(第40条関係)
 組合は、決算関係書類及び事業報告書を作成し、作成した時から10年間保存しなければならないこととするとともに、監事の監査並びに理事会及び通常総会の承認を受け、その日の2週間前から5年間主たる事務所(従たる事務所にあっては3年間)に備え置くこととする。

⑦ 組合員に対する決算関係書類等の提供(第40条関係)
 組合員に対する通常総会の招集通知に際して、会議の目的たる事項(議案)を示すことに加え、決算関係書類、事業報告書、監査報告等を事前に提供しなければならない。

⑧ 会計帳簿の保存期間の明記及び閲覧要件の緩和(第41条関係)
 組合は、会計帳簿の閉鎖の時から10年間、その会計帳簿及びその事業に関する重要な資料を保存しなければならないものとするとともに、共済事業を行う組合、信用協同組合及び信用協同組合連合会以外の組合の組合員は、その総数の100分の3(現行10分の1)以上の同意を得て組合に対して会計帳簿の閲覧請求等をすることを可能とする(共済事業を行う組合、信用協同組合・同連合会の閲覧要件は現行の10分の1を維持)。

⑨ 総会における理事及び監事の説明義務(第53条の2関係)
 理事及び監事は、総会において、組合員から特定の事項について説明を求められた場合には、当該事項について必要な説明をしなければならないものとする。

【大規模組合に関する主な改正点】
 「大規模な組合」(組合員1,000人以上を想定)に上乗せされる措置

① 員外監事制度の導入(第35条関係)
 組合員(連合会の場合は所属員)の総数が政令で定める基準(1000人以上を想定)を超える組合(以下「大規模組合」という。)(信用協同組合及び信用協同組合連合会は除く。)においては、監事のうち1人以上は、当該組合員又は当該組合の組合員たる法人の役員もしくは使用人以外のものであって、かつ、その就任の前5年間当該組合又はその子会社の取締役、会計参与、執行役もしくは使用人でなかったものでなければならないものとする。
〔経過措置〕
 新法施行日以後最初に終了する事業年度に係る決算に関する通常総会(4月〜翌3月までの事業年度の場合は、平成20年5月頃)の終了時まで適用しない。

② 監事への業務監査権限の付与等(第36条の3関係)
 監事は、理事の職務の執行を監査するとともに、監査報告を作成しなければならないこととする。一方で、大規模組合以外は、定款において監事の監査権限を会計に限定できるものとする。
〔経過措置〕
定款、規約の変更や業務監査に必要となる書類の整備等、相当程度の準備が必要となるため、新法施行日以後最初に終了する事業年度に係る決算に関する通常総会の終了の時から適用し、当該通常総会終了前は従前の例による。

③ 余裕金の運用制限(第57条の5関係)
 共済事業を行わない大規模組合(信用協同組合及び信用協同組合連合会を除く。)は、業務上の余裕金を法律で定める方法によるほか運用してはならないものとする。
〔経過措置〕
 新法施行日から3年間で当該運用に係る資産の処分をしなければならない。

【共済事業を実施する事業協同組合に関する措置】
 現行では責任共済事業を実施する場合を除き、特段の規制のない事業協同組合等が行う共済事業について、事業規模の拡大、共済事業内容の複雑化、保険業法の改正等を踏まえ、共済事業の健全性の確保のための措置を講じるとともに、一定規模以上の共済事業を実施する組合を対象とした措置を講じる。

1 組合全般に係る主な改正点
① 余裕金の運用制限(第57条の5関係)
② 共済事業と他の事業との間の区分経理(第58条の2関係)

2 特定共済組合(組合員数1,000人以上を想定)に係る主な改正点
① 原則兼業の禁止(第9条の2及び第9条の9関係)
② 最低出資金額の設定 (第25条関係)
③ 健全性に関する基準の設定 (第58条関係)

 今回は改正の主な部分だけを掲載しました。今回紹介できなかった改正につきましては、今後資料配付等にて順次ご紹介していくつもりでおります。ご不明な点などがございましたら、本会までお問い合わせ願います。
 また、新旧条文比較等詳細は、次の経済産業省のホームページをご参照下さい。
http://www.meti.go.jp/press/20060307002/kumiaihou-shinkyu-set.pdf
【お問い合わせ】
 秋田県中央会 Tel.018-863-8701



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