組合リーダー研修会
「規制緩和時代における中小企業組合のあり方を考える」
 〜今、組合リーダーに求められているもの〜


 規制緩和の進行により、中小企業は同業他社との競争激化等が理由による経営の後退が余儀なくされており、組合事業についても変化が生じてきています。
 そこで本会では中小企業組合の活動に詳しい白鴎大学教授樋口兼次氏を講師に迎え、「規制緩和時代における中小企業組合のあり方を考える〜今、組合リーダーに求められているもの〜」をテーマに、組合リーダー研修会を9月20日(金)、秋田市「秋田ビューホテル」で開催しました。以下はその内容についてご紹介します。


高まる知的資源の重要性
 企業成果はヒト・モノ・カネですが、21世紀の社会はソフト化・サービス化がキーワードで、全ての産業がサービス化する中では、ヒト、つまり労働力が重要です。労働力の力は今まで数でしたが、これからは本来の力です。経験・努力・着想の力が求められます。
 中小企業は、平均化された大企業に比べ、売上高経常利益率のバラツキが大きく、この不景気でも売上高と利益率がアップしている企業も結構あります。これを支えているのが労働力です。さらに労働力という知的資源は重要になってきます。


中小企業の強味を活かす
 付加価値生産性は労働生産性×価格実現性×付加価値率です。これを噛みくだくと労働生産性は資本装備率×資本生産性、価値実現性は価格訴求力、付加価値率は付加価値額/売上高です。この項目で、中小企業が強味を発揮できるのは、資本生産性、価格訴求力、付加価値額、売上高です。その強味を発揮するためには人間の生産性、希少性、独自性が重視されるのです。これは本来中小企業が持っている力です。ソフト化・サービス化社会は中小企業モデルが強いはずです。

中小企業組合の新課題
 今、中小企業組合の新課題として5項目が挙げられます。
 まず第1に中小企業組合は、改めて「人的結合体」という言葉の意味を再認識する必要性があります。今までは機械の生産性を高めるような結合体を考えていたのではないでしょうか。これからは人的集団による生産性の効率化という「人的結合体」が求められます。
 第2に、自由・自主・知的・創造性を復活させなければなりません。本来中小企業組合が持っていた自由・自主・知的・創造性は力を発揮してませんでした。ソフト化・サービス化社会ではこの力が求められています。
 第3に、中小企業組合はこれまで組合員だけの閉鎖された組合が多くなかったでしょうか。仲間内でなあなあでやってきたところはなかったでしょうか。組合の活性化には専門家やユーザーのサポートが必要です。どんどん外から意見を採り入れる開放された組合が求められています。
 第4に、組合員の共益だけではなく、公益という活動が求められています。公益性を生みながら、その跳ね返りで共益を生むというシステムの構築が必要です。
 第5に、新しい仲間を育成するという起業支援が求められています。同業者を増やすということは売上高の減少を招くと言う事で、今までは起業支援するという発想は出てきませんでした。しかし、公益性を生むためにも、仲間を育成するという起業支援が求められています。


組合の新しい役割
 組合は、中小企業の特徴を活かした新しい役割が求められています。具体的な例としては、まずマザーシップ機能です。組合の事業はこれまで全員参加型でした。これでは事業が固定されてしまいます。組合にいくつもの小さいグループによるプロジェクトを立ち上げ、新たな事業化を図る機能が必要です。各事業とも独立採算性で実施すれば、組合に影響は無いはずです。
 また、新しい市場づくりという役割もあります。閉塞性のある経済状況では、自ら新しい市場づくりが必要です。1社では出来にくい課題に取り組むのが組合の役割です。
 最後に、公益性を生むための地域社会との接点づくり、まちづくりや地域住民へのサービス機能の付加が求められています。1組合で難しければ、組合同士の交流を図り、複数組合で実施する方法もあります。社会に認知されない組合の発展は厳しい時代です。共益と公益という2面性をクリアする組合の活動が求められています。



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