この人・この企業
Vol.4
 今回は、7月号で紹介した(財)商工総合研究所の「平成13年度中小企業組織活動懸賞レポート」に本賞入選した鹿角市花輪大町商店街振興組合田中事務局長にご登場願いました。

「わが組合・わがグループの
        活性化戦略を語る」


鹿角市花輪大町商店街振興組合
事務局長 田中 喜美子 氏

■■■はじめに、表題は今回入選したレポートのテーマですが、懸賞レポートに応募しようとした動機を教えて下さい。

 今回の懸賞レポートは、本組合が12年度に実施した国の補助事業である「商店街等活性化事業」の内容をまとめたものですが、この事業の成功を多くの方に知ってもらいたいという思いを持っていた所に、たまたま見た「中小企業振興」に懸賞レポートの募集が掲載されていたので、すぐに飛びついて応募しました。

■■■レポートは、事業に取り組む背景・必要性・目標から時系列に経緯を追いながら、かつ、田中事務局長の商店街活性化への思いが込められた内容になっていますね。

 商店街を取り巻く環境は、大型店の郊外出店による消費者の流失、空き店舗の増加等の問題がありますが、これは本商店街だけではなく全国的な問題です。組合ではこれまでも活性化のために、花輪中心商店街を囲んだポイントカード事業や空き店舗を組合員有志の出資した会社で取得し、カラオケハウスとファーストフード店を開業するなどの取り組みを行ってきました。
 それは成果を挙げましたが、商店街から生鮮小売業種が不足し、交通弱者である高齢者は不便な生活を余儀なくされていました。そこで空き店舗に「おおまちふれあい広場」という生鮮直売所を開設する事業を計画したわけです。
 事業は、生鮮出店者を見つけるという簡単そうで実は一番困難であった事からスタートしました。生産者との出店交渉の場で、組合から「泥付きでもかまいません。虫が付いているのはむしろ無農薬の証拠で、かえって消費者に受けがいいと思います。」と説明したところ、「あなた達は、消費者のことをよくわかっていない、あまいよ。」と言われたことを今でも忘れません。その言葉は実際に販売してみて、初めて意味を知りました。泥がついた野菜は売れにくく、虫が付いている野菜は気持ちが悪いからと言う理由で買ってもらえず、「差し上げます。」と言っても断られました。
 そんな経験を積み重ねて初めて「商売」という勉強が出来ました。商店街組合に勤務し、イベント事業の開催や組合店舗を見てきていたため「商売」については、知っているつもりでした。しかし、この事業で6ヵ月間継続して野菜等を売る事により本当の「商売」を勉強しました。
 この事業は空き店舗対策の実験的店舗で実施しましたが、生産者グループの25名が「大町市場ふれあい会」を結成し、現在も「ふれあい市場」として営業を継続するなどの成果を挙げることが出来ました。これも、役員及び組合事務局職員が、野菜の集荷や市場の店員として努力したことが報われたと思うと胸が熱くなりました。

■■■鹿角市では、中心市街地活性化のため、「基本計画」を平成14年2月に国へ提出し、活動の中心である「TMO」設立に向け検討しているとお聞きしていますが、今後の商店街への期待を教えて下さい。

 私は昭和58年1月から組合事務局にお世話になっていますが、商店街の活動も大きな曲がり角に来ていると思います。以前は高度化事業での商店街整備やソフト事業での集客を図りましたが、商店街整備は資金的に限界にきています。また、ソフト事業でも大型店との競争は企画力や予算的に競う事が出来ない状況です。
 しかし、商店街はまだ、地域住民と密接な関係にあり、交通弱者の高齢者等には商店街は必要です。また、1商店街から広範囲での街づくりが地域の活性化に求められております。大きな資金と労力、忍耐力が求められる事業ではありますが、今回の事業のように熱意と行動力があれば成功すると信じています。
 商店街の取り巻く環境は厳しく、元気が出ない状況ですが、商店街を明るくするためには組合員に元気を出してもらいたいです。また、各個店がこだわりを持った商品やこだわりの商売をしてもらえれば各個店が活性化し全体としての集客力が高まると思います。地域住民に愛される商店街を目指して行きたいと考えています。


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