2002年新春にあたり、県内で活躍されている9名の若手経営者の方々から夢を語っていただきました。

「新生秋田市民市場」に向けて

合資会社杉山糧穀
専務取締役 杉 山 吉 則
 新年明けましておめでとうございます。
 私ども秋田市民市場は、戦後まもない昭和26年に現組合の母体であります「商栄会」として産声を上げて以来、この秋田駅前の地にて皆様にご愛顧を賜り、本日まで営業を続けてまいることができました。昭和39年に現行市場施設に移転してからは、「秋田市民の台所」を合い言葉に秋田市・秋田県全域はもとより、日本全国にその名が知れ渡るようになりました。
 その後、昭和50年以降の秋田駅前への大型店の進出並びに秋田市郊外への大手スーパーの出店ラッシュにより、秋田市中心街区の空洞化が進行し、その時代の流れとともに秋田市民市場も苦戦を強いられようになりました。そのような外的要因とは別に、二代目へのバトンタッチがスムーズにいかなかった事による事業の弱体化、並びに現有施設の老朽化、駐車場不足などによる商業施設としての魅力の減少などにより競争力が低下してきました。
 そのような状況の中、「秋田市民市場を『地元の食』の発信基地として後世に残したい。また、中心市街地活性化の一助となれる商業施設を目指そう。」という組合員の熱い思いにより、平成11年10月に建替えを決議するに至りました。
 我々は、今までの市場機能をさらに強化し、新たな機能を加えた大型複合市場を目指しています。「素」お客様の立場に立った飾らない商売。「編む」価値観を編みなおす。商の再構築。「結う」新しい交わりの創出。人と人、人と物、物と物の新しい関係創り。この素・編む・結うを合わせて、「商売はコミュニケーション」を基本コンセプトとして、平成14年12月第1期オープン、平成15年6月グランドオープンに向けて着々と準備を進めています。
 皆様に、より愛される「新生秋田市民市場」になるために、今一生懸命努力をしているところですので、これからも、ご愛顧の程よろしくお願いいたします。

私の夢

株式会社長雄糸店
専務取締役 長 雄 昭 子
 夢について語るとなると、あまりにもたくさんありすぎて、さて、何から書き出そうか…。
 私は、秋田が大好きでこの秋田のために何か出来る事がないかなどと時々考えることがあります。
 秋田は、おかげ様で老人大国と言われるくらいに、60才以上のご老人が全人口の3人に1人という割合でいらっしゃるようですが、すばらしい事だと思います。イキイキ老人の町づくりとか国づくりをしてみてはどうでしょう。「まだまだ働けるぞチーム」を結成して、定年退職なしの無制限まで働けて世のため、人のため、お国のために人生を全うしてみる場を作ってみたい、などと考えて、勝手に発想をふくらましてみました。
 40才から働けます、働く気のある方ならどなたでも…。町に大きなドームを作り、そのドームの中は、いつでも穏やかな樹木が茂って、小川が流れ、鳥の声が聞こえ、夏の暑い日でも、冬の吹雪の日でも穏やかに過ごせる町がある。1階には大きなカウンターがあり、白髪の男性が朝はコーヒー、夜はカクテルまで作ってくれて、また、ショッピングデパートがあり、ゲームセンターがあり、映画館・美術館・病院・レストラン、他、様々な娯楽施設があり、2階には大きな優雅な温泉がある。また更に、その上の階には、そこで働く人々のホテルのような住居スペースがある。何でもいい、自分がこれなら出来るというものがあれば、それでいいじゃないですか。若い人たちが10分で出来るところを2時間かかってもいいし…。そんな人たちが働いている場所(ドーム)へ、若い人たちに遊びに来てもらえるようにしたい。
 歳をとってもイキイキ人間を若い人々へ見せてあげられたら、きっと若い人たちの未来が明るいと思います。人間は誰かのために生きているのが好き、頼りにされるのが好き、それを息絶えるまでやって見せる場所を作ってみたい。
 本当にほんの少しでいいから、そんな仲間たちが集まって大きな夢を進展できたら楽しいだろうと思います。ちなみに私、44才です。これからも頑張るぞ。



伊藤漬物本舗
伊 藤 明 美
 夢がいっぱいあって、それを考え、行動に移すことが、私の元気の源、夢があるから毎日楽しく頑張っているのかもしれない。私は、湯沢で漬物屋を営んでいます。手作りにこだわり、気の遠くなるような時間をかけて漬物を作っています。お客様に「おいしかった」といわれた時にうれしさは何者にも変えられないものがあります。漬物といえば、子供の頃舌に馴染んだおふくろの味に勝るものはないけれど、現代の母親たちがなかなか作れない、そんな素朴で安心して食べれる漬物を作れたらと思っています。我が家は、とにかく少人数で働いているので、漬け込みから、新商品の開発、経理、営業、販売まで、なんでもこなさなければならず、一番好きな、新商品の開発に割く時間があまりないのがつらいところです。
 食べ物商売は、環境面、衛生面など色々な意味で、これからはもっと厳しいものになると思います。もし、このまま漬物屋を続けるのであれば、二つの矛盾した夢があります。一つは、この秋田の漬物を全国に発信してみたい…ということ。漬物イコール秋田というイメージがあるけれど、お隣の山形県に比べると漬物の総売上は10分の1にも満たないくらいで、企業として活躍している会社は県内では非常に少ない状況なのです。そこで、野菜の生産から、加工、製品開発、販売まで、多くの人を巻き込み、できることなら地場産業として、IT企業と肩を並べて、湯沢の工業団地に漬物工場として参入してみたいと思っています。雇用面、秋田のイメージアップ、地域の活性化に大いに役立てる産業になるかも知れないと思うのですが…。
 もう一つは、家族だけで、自分たちが納得したもの作り、そして、それを必要としてくれるお客様のためだけに、漬物を漬け、お店を開くというもの。こちらの方も大変ですが、我が家の漬物屋にはあっているのかも…。
 身近なところでは、昨年、地域の仲間や中央会の助力で立ち上げた「川原毛地獄で観光と物産を考える会」です。この会は、湯沢で一番の観光地を活用して物産販売ができないか、というもので、現状では国定公園内であり、物販が許可されていませんが、今年の春からは、ぜひここで、商品の販売ができたらと思っています。
 夢を叶えるにはまず、夢を持つこと、そして実現するために行動することなのです。

不況は県外進出のチャンス

秋田印刷製本株式会社
代表取締役社長 大 門 一 平
 IT革命が日々進展し、デジタル化の波は、大きくなりすぎかつ、つかみどころがない。流行が先行し、果たして実態が伴っているのだろうか。パソコン、携帯電話などの所有者が増加し、コミュニケーションツールとして活用されている中、全ての機能を理解している人が何人いるのだろうか。私は、この状況の整理を印刷業界の仕事として対応していきたいと思っています。インターネットの条件はオープンであることだが、ハッカーの進入によるホームページ書き換え等の被害を恐れ、セキュリティー面からクローズすぎても自由が奪われる、失敗を恐れている。困惑している人の中でリードしていく人間が今、必要なのである。これには、もっと産学官の連携が重要なのではないかと思っています。
 また、弊社では、本年ホームページ制作分野でアピールしたいと思っています。動作環境を理解しつつ、見た目より機能性が重要、いかに軽く、必要な情報量を提供できるかに取り組んで参ります。これは、経営のポイントにも共通しており、いかにムダを省くことができるか、既存商品の組み替えによる商品の提供などに関わりがあります。さらに周囲に影響されない個性ある人間が目標を設定し、努力を積み重ね、その上でバランスする「元気で明るい愛される会社」づくりを目指しています。
 不況で厳しい時代ですが、技術面などは大都市と同等、これを具体化できれば今こそ、ビジネスで県外への進出のチャンスだと感じています。

クリエイティブな一年に

羽後設備株式会社
専務取締役 佐 藤 裕 之
 厳しい時代が続いています。価値を高めるための必死な努力をしているつもりが、結局空しい結果に終わるということも多くなってきているようです。デフレとは簡単にいえばそういうコトなのでしょう。しかしながら、我々は「景気」に支配されて生きていくのではありません。こういう時代こそクリエイティブに生きることが必要であり、またそうであることが勝利への道だと思っています。
 当社の属する設備工事業界も、御多分に漏れず苦難と淘汰の時代の真っ只中です。生き残ることイコール勝者という等式が現実味を帯びてきました。今年は全ての業務プロセスについて、徹底した「工夫(クリエーション)」をつみ重ねながら、付加価値の高い仕事の創造を追求していく1年になりそうです。求められている真の価値とは何か、その実現のために何をすべきか…建設CALS/ECの進展を見越し、業界の地域NO.1を目指して構築してきた当社のCADシステム、ネットワーク、サーバーなどのITインフラも、詰まるところは付加価値創造のための手段であることを再認識しつつ、いよいよその真価を発揮してもらう1年になるでしょう。 
  P・F・ドラッガーの『断絶の時代』に「新技術は新しい知識というよりも、新しい認識である。既存の平凡なものの新しい組み合わせである。」という一節があります。多様な人々の発想を組み合わせて新たな価値を創造する、いわば「共創」プロセスは個々のビジネスは勿論のこと、「あきた」という地域社会・経済を元気にするキーワードだと思っています。今年は社内外でこのプロセスを積極的に展開し、新たなビジネス・地域興しを指向したいと思っています。

都市間競争から都市間融合へ、新たな試みへ、

いずみ靴店
泉   浩 二
 大学卒業以来、2年間の教職員時代を経て郷里の実家に戻って早い物で15年の月日が過ぎました。世間でいう“不惑"の40歳。
 家族経営の靴店も地域のお客様に支持され、賃貸の店舗も一等地に自社物件として店舗展開するに至りました。
 一見、順調に見える地域商店街においてもバブル経済の破綻は、破綻前の影響は少なくなく、破綻後の影響は鉄砲水のごとく地方都市の経済を破壊しました。
 元々、経済規模の小さな地方都市では、身の丈に合わせた経済基盤があり、消費者のニーズやウォンツも地元の商店街で十分応えられるものでした。しかし、極度発達する車社会や情報化社会は、需要を無視した供給は都市間競争を産み、全国にリトル東京を作りだしました。この様な狂乱の宴の後に残った物は不良債権の山でした。
 私の15年来の活動の多くは、規模の違いはあれど、今、日本全国の中心商店街が抱える再興への取り組みと似通ったものであると思います。
 私が思う、中心商店街の存在価値とは、決して進化に遅れた恐竜のごとく、過去の遺物でもありません。はたから見ると歩みは遅くとも、未だに対面販売でお客様の要望に丁寧に応えていく中心商店街の良さと私たち若手の新しい試みが次代の商店街を作っていくと確信しています。
 平成13年から4月〜9月(月1回第2土曜日)開催している「いかナイト!大町」も、その流れの一つとして継続的に実施して行きます。今年度は、一般、学生の参加を実現し、北東北の市町村にも宣伝を働きかけています。都市間競争から都市間融合へ、新たな試みへ、私の夢は、少しずつ実現しつつあります。北東北の“ヘソ"大館の中心商店街は、大町であると云われるよう頑張って行きたいと思っています。

新しい取り組みを通じた 事業展開が必要

スズキテント有限会社
代表取締役 鈴 木 雅 人
 21世紀最初の年も景気低迷からの出口が見えないまま終わろうとしております。この厳しい状況下において、北国、秋田で事業を営む者として、地方のハンディキャップを打消す、新しい取り組みを通じた事業展開が必要と思います。昨年12月から、秋田県中小企業青年中央会も、会長の諮問機関として「青年中央会検討委員会」を設置、私も検討委員として検討を重ねて参りました。その検討結果の一つとして今年度、企業交流の場の創造と市民(エンドユーザー)に向けたPRを目的としたホームページの開設が出来たことは大きな一歩であると思います。
 販路の拡大、商品の紹介、技術のPRなど、社業の成長を目指した情報発信と情報収集をし、今までの青年中央会で培った組合間の交流を生かしつつ、やる気のある企業が更に発展できるチャンスがここにはあります。地元に根ざし長年の経営実績を持った企業や、新しい技術と商品を持った企業がお互いの技術と商品を共有し、そのネットワークを広げることにより、大量仕入れ大量販売の大手企業にはできない、地域に密着したサービスの展開が可能になる事でしょう。また、企業同士が相手を良きパートナーとして深く理解し合うことができれば、個々の企業規模を超えた仕事の受注も可能になります。
 今後も急速な環境整備と普及が期待されるITを使ったこの様な取り組みは、経済的なリスクが低いわりに、成果は大きな期待か持てるものになることと思います。しかし、これも多くの方が参加し、活用する事が前提ですので、ホームページのPRや内容の充実に賛同できる会員の積極的な支援と参加を期待します。

事業拡大への挑戦

林泉堂株式会社
専務取締役 林   博 樹
 新年あけましておめでとうございます。
 今年も、昨年以上に経営革新を推進してまいりたいと考えています。
 弊社では、経済産業省戦略的情報化投資プロジェクト発掘・育成支援補助事業として、製造から原材料管理、顧客管理、受注管理、衛生管理、モバイルコンピューティング、WEBコラボレートから経理まで全てを統合管理できるシステム開発を行っており、3月中の完成、稼動を予定しております。このシステム稼動により、一層の企業競争力の向上が可能になるものと考えています。
 この情報化推進については、中小企業団体中央会のご指導のもとに立案した経営革新計画が基になっているものです。これは、既存商品のデザインや商品企画の見直しを行い、無駄な資材の撤廃に踏み込みました。無駄なトレー類と発泡スチロール類の使用全廃により、お客様より環境に対する取り組みに感銘を受けたとの感謝状をいただきました。
 また、数年前より凍結しておりました工場移転計画も、経営革新の低利融資枠を利用し、町内の工業団地に旧工場と比較にならない程、衛生的な新工場を昨年春竣工できました。この際も中小企業団体中央会に各種支援施策をご検討いただき、経営革新の低利融資枠と県の設備投資に対する利子助成制度を活用いたしました。
 更に、積極的な新商品開発を行って市場投入し、物産開発コンクールで2商品同時優良賞受賞や国際食品賞(モンドセレクション金賞受賞)などの栄誉に輝くことができました。
 加えて、中小企業団体中央会の補助事業として行った秋田県製麺協同組合の研修事業の内容をフィードバックし、弊社では2002年2月2日に新年第一号の商品投入を予定しています。大変期待の持てる商品に仕上がっており、さらに積極的な商品投入をすべく、今年も物産開発コンクール等の食品賞受賞に積極的に挑戦してまいります。また、冷菓卸部門の事業縮小を行い、代替として昨年8月に開始した乳製品宅配事業についても本年中3000軒の顧客数を目標に、業務管理システムの開発を行いながら事業拡大を進めていきたいと考えています。
 今年も大変素晴らしい一年になるよう、なお一層の努力をしてまいりたいと思います。

高速大容量時代に…

NPO 白神ねっと
理事長 杉 澤   徹
 今日は久々の休日なのでブロードバンドで好きな映画を見ようか、壁に大きな画面があり数年前とは雲泥の違いの画質と動きだ。妻はキッチンにある電子レンジと一緒になっているPCを覗いている。お正月料理のレシピと作り方を探している。どうやら料理の種類を決定したようで買い物に行った娘にURLを転送している。娘は携帯電話を使って我が家の冷蔵庫の中身とこれから作る料理の材料とを比較してCPの指示どおり人数分の材料を買っている。息子は趣味のスキーの場所と天候、宿泊先などを探している。……我が家の正月の風景である。もちろん夢であるが、まもなく現実になるだろう。
 ここ数年のインターネットの普及は目を見張るものがある。思えば「NPO白神ねっと」は5年前に稼働した。大手プロバイダーが採算がとれないと思われる地域こそ情報インフラが必要であり、世界の情報の取得、地域情報の発信、地域コミュニテイとしての役割を担おうとしてスタートしたものだ。昨年は地域振興の一環として、能代市畠町商店街の真ん中に、振興組合主体のはたまちITコミュニティプラザの立ち上げのサポートとその運営に協力した。駅前商店街の地元女性有志によるITまちづくり設計工房への全面支援をしている。新年度はITプラザの運営協力の他に地域基幹産業である木材とITを結びつけて地域産業の活性化に役に立ちたいと思っている。
 「NPO白神ねっと」のような地域貢献型ISPは全県に9設立されていておおむね順調に活動してきている。しかし一方では大手のプロバイダーの参入による競争の中に置かれ、通信費の下降傾向、フレッツなどの常時接続高速化への投資、サービスの充実、新規ユーザーの掘り起こしなど課題が山積みしている。これらは一地域ISPだけでは解決がむずかしい。地域ISPの集合体である「NPO秋田IT基盤協会」は以上のような問題が契機となって昨年11月に設立された。
 秋田県は、県民誰もがさまざまな分野の情報を入手・加工・発信できる高速大容量の情報通信基盤として、秋田情報ハイウェイの整備を進めている。今後はこの情報ハイウェイを有効活用して地域内外との交流・連携を促進し、豊かな県民生活の実現や産業の振興・活性化に資するように秋田県全域のIT基盤の確立とIT普及に地域ISP集合体としてその役割を担いたいと思っている。


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