年 頭 所 感

商工組合中央金庫 秋田支店
支店長 野村重美


 新年明けましておめでとうございます。
 秋田県中小企業団体中央会並びに会員の皆様方には、平素から当金庫業務につきまして、格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
 平成14年の新春を迎えるにあたり、所感の一端を申し述べて年頭のご挨拶にさせて頂きます。
 まず、昨年の海外経済を振り返りますと、米国経済は3月以降後退局面に入り、9月に発生した同時テロ事件の影響も加わり、厳しい情勢が続いています。また、欧州、アジア経済も一段と減速基調を強めるなど、海外経済は同時不況の様相を呈しはじめております。
 こうした海外経済の動向を受け、わが国経済も厳しい局面を迎えました。輸出は下げ止まりの兆しがみられず、生産活動は大幅な低下を続けています。このため、企業の景況感は急速に悪化し、一昨年まで景気の牽引役であった設備投資も減少に転じました。また、個人消費も雇用・所得環境の悪化から盛り上がりに欠ける展開となり、公共投資や住宅投資も公共事業の抑制や政策効果の一巡から減少を続けています。中小企業の景況感も売上の減少や競争激化などを映じて悪化を続け、経営環境は一段と厳しさを増しております。
 こうした中、当県では念願の「ワールドゲームズ」が開催されました。大会を大成功に導かれた各業界リーダーの方々の「底力」には感銘を受けました。このパワーがあれば多少の難局も乗り切ることが出来ると確信した次第であります。
 さて、今年の経済情勢を展望しますと、アフガン情勢などの懸念材料はありますが、米国経済は機動的な金融緩和や財政政策の効果から年半ば以降復調 の動きが出てくるものと見込まれます。
 わが国経済におきましても、これを受けて輸出が増加し、景気も持ち直しに転じることが期待されています。しかし、物価の下落傾向が持続する中、リストラの継続や雇用・所得環境の改善が見込み難い ことなどから個人消費や設備投資などの民間需要は力強さを欠く展開が予想され、楽観を許す状況にはないと思われます。
 日本経済は産業の空洞化、少子・高齢化、雇用の流動化問題など大規模な構造変化の渦中にあり、今まさにその正念場に直面しているといえます。中小企業におきましても、持ち前の機動性や創造性を如何なく発揮し、更なる発展の礎を構築することが求められる重要な年になると考えられます。
 今年の干支である壬午(みずのえ・うま)は「破壊」「波瀾」を意味し、歴史上も大きな戦争や災厄が度々起きていますが、悲観的なことだけ考えても仕方がありません。明日をより良くするために「塞翁が馬」の気持ちで、足許を固め先を見据えて毎日を過ごすことが肝要と思われます。
 私ども商工中金も外部環境の変化に対応すると共に、中小企業政策に沿いながら、メンバーズシップに基づく中小企業専門の政府系総合金融機関として、秋田県中小企業団体中央会様と連携を密にしつつ、中小企業の皆様の幅広いニーズにお応え出来るよう一層の努力を続けてまいります。どうか本年も宜しくご支援を賜りますようお願い申し上げます。
 年頭にあたり、皆様のご繁栄とご健勝をお祈りいたしまして、新年のご挨拶といたします。


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