ヨーロッパの街から学ぶべきものNo.2

平成11年度
商店街国際化研究会に参加して

業務部長  斉藤 信郷

 

訪問国ドイツ・視察都市ミュンヘン、フランクフルト


―車と共生する街並、街づくり―
 ヨーロッパも5日目となり、ようやくヨーロッパの街並みに目がなれてきたミュンヘンで、はたと気づいたことがあった。車窓から見た街並みに車がきれいに縦列駐車されている。よく見てみると道路の一部が駐車帯となっており、しかも駐車帯の舗装が道路とは別の素材となっている。ひとつの通りだけではなく、いろんな通りがそうであり、場所によっては両側に駐車しているところもある。それも整然とである。日本では(秋田県では)とても考えられない光景であった。
 ミュンヘンでのレクチャーは、ミュンヘン市の元建設局長さんであったが、そのお話を聞き、なんとなく疑問が解けた。ドイツは車の国であり、そのためのアウトバーンが国内に整備され、文字通り車無しでは生活できない国である。しかし、元建設局長さんの我々へのメッセージはこうであった。
 「ミュンヘンでの街づくりの基本は、景観を大切にすることであり、そのために高速道路の建設を中止したこともある。ミュンヘンの街並みが、市民に愛されるのはもちろんのこと、ドイツ国民全体に愛されるものでなければならないと思っている。
 景観を生かす街づくりのため、建物(都市景観)は歴史(文化遺産・建物の一部を生かしてのもの・つまり、歴史的な建物の復元との考え方)を残して建設している。そのため駐車場の設置に問題(景観を台無しにする駐車場の建設や建物を壊してしまう地下駐車場の建設)があり、道路に駐車帯をもうけて問題の解決を図っている。一方、公共交通機関(路面電車、バス)を充実させ、できるだけ街中に車を入れない政策を進めてきており、今では、ミュンヘン市内のどんなところからも市の中心まで、公共交通機関を使って20分以内で来られるようになっています。
 車が全てではないと思いますよ。車社会もいろんな段階があり、
 具体的には
 ◎車を持ちたい社会
 ◎車でどこにでも行きたい社会
 ◎車が邪魔になる社会
 ◎車なしの社会がどんなに素晴らしいことなのか気づ   く社会
だと思います。
 車社会もだんだん変わってきますよ。皆さんのお国は、今どこの段階の社会ですか。」
元建設局長さんがあまりにも自信ありげに言ったので、便利な公共交通機関があれば、車が邪魔になることだってあるのかもしれないと、何となく納得した気持ちになった。
 フランクフルトもそうであったが、道路が、「歩道、自転車道、駐車帯、車道」と分離されており、そうした街並み(商店街)に世界的なブランドの専門店が何店も出店していた。新しくできた商店街でも道路の区分がなされ駐車帯はあったし、歩道、自転車道、駐車帯、車道に整然と区分された商店街では駐車している車も街の雰囲気作りに貢献しているように思えた。(ベンツが国産車の国での出来事であり、もしかしたら舞い上がっていたのかもしれないが)
 車が商店街の通りにあることは、確かに交通の妨げになり、しかもそこで生活する人々にとっても不便はあるとは思うが、少しずつの不便を社会全体で分かち合うことでその問題が解決できるのではないかと考えさせられた。また、その不便さを分かち合うことによって街の景観を守ることができるのであれば、我々も是非やってみる必要があるのではないかとも思った。
 今回視察したどの都市にも、路面電車がまだ残っており、それが公共交通機関として立派に役割を果たしていたことが、ものすごく印象に残った。(秋田市にも30年前まではあったのにな。残念)


―EUという、ひとつの国―
 今回の視察で、オーストリアに入ってからパリを出るまで訪問する国は変わったが、一度も出入国の手続きをしなかったことがひとつの驚きであった。
 既にヨーロッパ(EUは)はひとつの国であり、これにユーロという通貨が現実のものになったときあの大陸がひとつに、という思いが肌に感じられた。日本人の感覚では到底到達できるところではないと思われ、これが成功した暁のヨーロッパは大きく変わるのだろうという思いを更に強くした。
 ヨーロッパの思い出はまだまだ沢山ありますが、残りは別の機会に譲ることにし、報告を終わらさせていただきます。


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