北緯40度
vol.170

「働くことは人の数倍も…」

〜筋金入りの企業人〜



(社)全国軽自動車協会連合会
理事長 石黒 佐喜男 さん
【秋田県自動車整備商工組合理事長・本会常任理事】

 今回は県内自動車業界各団体の要職はもちろん、社団法人全国軽自動車協会連合会のトップとして超人的な毎日を過ごしておられる、本会の常任理事でもある石黒佐喜男さんにご登場頂きました。

手帳が真っ黒ですね・・・・

 平成4年に全国連合会の会長を引き受けましたが自動的に関連する30近い全国やブロック団体の役職もついて回ることになり全国を飛び回っていますが、正直こんなに忙しいとは思っていませんでした。土日もほとんど無いのと同じです。

 自他ともに業界のドンと認める石黒さんですが、自動車との出会いについて教えてください。

 海軍の整備兵に志願し、入隊して飛行機の整備を1年勉強しました。配属された宝塚海軍航空隊に配属され、そこにあった1台の消防自動車が人生を変える契機となりました。これがしょっちゅう故障する。誰も直せない。そこで腕に自信のある自分が重宝がられたわけです。

 会長は大変な努力家と伺っていますが・・・・

 終戦になってある自動車会社に整備工として入社し、朝から晩まで休み時間も惜しんで働きました。見ることやることは全て覚えてやれということで、とにかく働くことだけは若い頃から人の何倍もしてきました。私は土日が無くても仕事があった方が楽しい。独立してからも3日も4日も家に帰らず工場に寝泊まりしていたこともしょっちゅうでした。昭和26年に整備士の制度ができましたが、実は秋田県で初の自動車整備士が自分であり、新潟運輸局管内の第1号でもあります。

 いくつもの会社を動かし、大変な数の社員を抱え、これまでの苦労も大変だったとだと思いますが・・・・

 独立したといえば格好良いですが、私の独立は上司とぶつかり、図らずも退職しなければならなかったからであります。
 当時社長の県内出張に私は必ず運転手をさせられました。凸凹砂利道に、車は必ず故障するという時代のことで自分に声がかかるのですが、トップの経営姿勢・公の立場やプライベートな部分迄含めて多くのことを学ぶ機会に恵まれました。当時は組合活動が活発な時代であり、また労組の委員長ともいえば一般的には経営者からは煙たがられるものと相場が決まっていますが、その委員長である自分に声がかかるのです。「我々は企業内の組合。会社を良くして配分に預かるのが筋」ということで、政党や全国組織には加盟せず「我が道」を通したことを認めて頂いていたのではないかと思っています。退社にあたっては社長にいろいろと相談にのって頂き、なんと資本金の半分を個人的に社長が出してくれました。


 今は競争も激しく、大変な時代だと思いますが・・・・

 自由競争の社会ですから販売競争があるのはやむを得ない。自動車業界は浮き沈みの大きい業界ですが会社は40数年の決算の中で1度も赤字を出したことはありません。20年前から支払手形という勘定科目も無い。社員を大切にする。社員がいるから会社がある。給料が高いから、年齢が古いからといって首は切らない。しかし仕事だけは厳しい。約束事や社の方針に反するようなことは許さない。徹底した査定・評価を制度化しています。やってもやらなくても同じというのが一番不公平であり、力がありながら出し惜しみするのが一番悪い。

 趣味は何でしょうか?

 ゴルフと麻雀。誘われれて断ったことは1度もない。「会議→麻雀→ゴルフ→ぐっすり寝る」精神衛生上こんな健康法は他に無い。ただし麻雀は12時までにはやめること。

 最後に経営のモットーを教えてください。

 商売はなんといっても信用が第一。「信用はお客様の満足の反復によって得られるもの」というのが当社の社是です。

取材にお伺いして・・・・
 石黒会長には恐ろしいまでに物事にチャレンジする闘争心の強さみたいなものを感ずる。歯に衣着せぬ言い方は、会長の個性でもあり、アメリカ人よりも率直な日本人と揶揄される所以であるが、個人的には「誠実」という言葉が好きだという会長に、その優しさを垣間見ることもできました。まだまだあふれるほどのお話を賜りましたが、紙面の都合上割愛しなければならなかったことだけが残念でなりません。



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