目指すはカット野菜でのグローバル・スタンダード 秋田クリーンフーズ株式会社の挑戦

 秋田クリーンフーズ株式会社(小倉隆夫代表取締役)は、平成元年異業種融合化法による認定を受けた「秋田クリーンフーヅ開発協同組合(小倉隆夫理事長)」が、秋田県中小企業団体中央会から融合化開発促進事業補助金の助成を得て研究開発した高濃度オゾン水製造装置や微生物制御技術等のノウハウを使って新たな事業展開を図るため、平成10年4月全国初の創造促進法に基づく中小企業8社からなる共同出資会社として発足し、地域経済の活性化と新たな雇用機会の確保に大きな期待が寄せられている。

■小倉隆夫代表取締役より
 新鮮で安全な野菜は誰もが望んでいることです。
しかし現在、害虫駆除のためにたくさんの農薬が使用され、土壌には生産性を増やすために化学肥料が施肥されているというのが実態であります。
 「無農薬有機栽培」が注目されている今、私たちはさらに「安全」と「新鮮さ」をプラスした野菜(加工野菜)を提供できるシステムの開発に成功しました。このシステムにより「鮮度維持日数」も飛躍的に伸ばすことも可能になりました。さらに洗浄水、残滓、洗い落とした泥(土)はすべて「有機肥料」として畑に還元でき、ムダがありません。
 「地球は未来の子供たちから借りているもの」…地球にも環境にもやさしい方法で、安全な野菜(加工野菜)をみなさまの食卓へ。秋田クリーンフーズ株式会社の挑戦はこれからも続きます。
 また、母体である秋田クリーンフーヅ開発協同組合でも新たな開発にチャレンジします。

■登録商標は
 「クリーンフーズ グリーンラベル」。

 本物の自然の【味】。無農薬有機栽培に代表される【安全】。病害虫、細菌の付着や汚染が無い【安心】。消費者は、この三つのA(Aji Anzen Anshin=3A)を強く食材や食品に求めています。
 クリーンフーズは、自然の生態系を大事にした、【ホリステック農業】=自然治癒力のある農業を基礎として、3A食品を企画、生産者から囲う・流通までの幅広いネットワークを作り上げた。
 あくまで豊かな自然と、農業生産者、加工業者の三者一体となった生産基地で作られ、「美味しく、しかも安全で安心=3A」の野菜と応用食品を【グリーンラベル】食品と命名、市場でのトータルブランドとして【GREENLABEL】で展開する。

■秋田発、全国展開に向けた環境モデル工場
 クリーンフーズの目指すものは「カット野菜分野でのグローバル・スタンダード」であり、そのため生産者との強いネットワークを保ちつつ、「人に良い食」を生産するための最適な場所(秋田県大館市)から、日本全国に向け地域共存・地域振興をふまえたホリスティック型ネットワークの形成を呼びかけている。
 新工場は、大館市の二井田工業団地の11,400平方メートルの敷地に、鉄骨平屋建て2,000平方メートルの規模である。また、2,400平方メートルの貯蔵・配送関連施設も併せて建設された。総投資額は8億円で、うち秋田県より高度化資金(企業合同事業・80%無利子)の貸付を受けている。
 工場内では、前処理殺菌洗浄や仕上げ洗浄、床や機械の洗浄殺菌などに高濃度オゾン水や活性オゾン水が使用され、前工程から出荷まで一切薬品は使用されていない。また、洗浄水や野菜くず・洗い落とした土は有機肥料化し畑に還元するなど、環境保全リサイクル型のクリーン工場となっている。

   

 この工場を支えているのが、特許技術「高濃度オゾン水による殺菌滅菌技術」である。
 我々が日常口にしている食品のほとんどは、加工過程で何らかの薬品や合成物質による滅菌処理がなされ、その分価格にも反映している。これらの問題点を解消するため、同組合では「安全で低コスト」な食品加工の実現をテーマに研究開発を重ねてきた。
 地球上でもっとも豊富で、安全で、身近なものは「水・空気・光」であり、空気は酸素と窒素などによって作られている。そのうち酸素は光(紫外線)もしくは高圧放電によって分解し「オゾン」という3つの酸素元素の集まりとなる。このオゾンには強い酸化力があり、殺菌漂白力を持つことから、オゾンの殺菌作用を食品加工に安価で安全な方法で利用することを目的とした研究開発の結果、生まれたのが「オゾンメイトシステム」である。
 O−157の処理手段として、薬品に頼ることなく大腸菌レベルの安全な処理ができる「オゾンメイトシステム」は、消費者へ安全と信頼をお届けできるシステムである。
(特許番号2777649「食品等の付着物清掃法」)

■クリーンフーズを支えるオゾンメイトシステム
 活水王 CF−
 殺菌、滅菌、鮮度保持のために、
 1−高濃度オゾン水
 2−活性オゾン水
 3−高濃度酸素水
 の3種類の水を連続的に作り出すシステム。
 (1)高濃度オゾン水…
 8ppm以上(水質条件による)を発生させ、直接洗浄殺菌に効果
 (2)活性オゾン水…人体にやさしく瞬間的洗浄殺菌に効果
 (3)高濃度酸素水…野菜等の鮮度保持に驚異的な効果
 洗浄王
 高濃度オゾン水シャワー型洗浄器。
 オゾン水をシャワー化、分離した多量のオゾンが様々な形状の物品を洗浄殺菌する。
 (1)瞬間的な表面殺菌洗浄効果
 (2)悪臭の分解・脱臭
 (3)状況に応じてスピードが変えられる
 光線王バイオクリーン
 工場内に蔓延する落下菌、浮遊菌を殺菌し、脱臭する紫外線ランプシステム。
 夜間、オゾンランプでオゾンを発生させ、酸化力の強いオゾンで殺菌・脱臭を行う。
 (1)全自動運転
 (2)悪臭の分解・脱臭
 (3)害虫・有害動物・カビをノックアウト
 (4)内蔵ファンによる強制循環
 (5)抜群の安全性と経済性
 (6)食品の品質と歩留まり向上


■工場完成までの経緯
1989年 7月 秋田クリーンフーヅ開発協同組合を設立、融合化法に基づく研究開発認定
12月 つくね芋等の多種異型根菜の瞬間加圧減圧による大量皮むきラインの開発
1990年 5月 高濃度オゾン水の研究開発開始試作機が完成
1990年 7月 生でんぷん処理を主とする活性バクテリア研究と農業リサイクルの実験
1991年 12月 無農薬処理による真空乾燥粉末野菜の開発
オゾン水と紫外線の相乗効果を利用した洗浄表面殺菌処理技術の開発
1993年 2月 高濃度オゾン水製造機「活水王1型」完成
高濃度オゾン水の機能増強と欠点回避のため紫外線併用の活性水洗浄機の開発
【特許取得 平成9年9月30日公開】
様々な食品の表面付着微生物のオゾン処理ソフトの開発
粉体の加湿加工を利用した高濃度オゾン水による滅菌処理技術のソフト開発
1994年 7月 工場内常時循環型高濃度オゾン水連続製造装置「活水王2型」完成
1995年 6月 秋田クリーンフーヅ開発のこれまでの総合技術提携による浜松モデル工場の完成
1997年 9月 創造促進法に基づく事業化の認定
11月 中小企業事業団による予備診断(企業合同事業)
1998年 2月 中小企業事業団による本診断
4月 秋田クリーンフーズ株式会社設立
6月 秋田県知事に企業合同事業実施計画書提出
6月 工場建設の着手
9月 創造促進法に基づく新規研究開発の認定
1999年 3月 工場完成・試験操業開始

編集メモ
 同社は、全国初の創造促進法の認定を受けた株式会社形態による高度化事業の成功例である。地方の中小企業が一致団結し、知識を出し合って一つの新しい技術を創り、さらに応用技術での企業化を図ったモデル企業として全国レベルでの活躍が期待されている。
 今年度は30名の職員を新規採用し、2年後の平成13年度には55名体制で、年間生産量約4,900トン(売上高11億円)を見込んでおり、不況下の昨今多くの雇用機会の確保と地域経済の活性化が見込まれている。
 全国規模での販路の開拓、従業員教育、労務管理などこれから多くの課題も待っているが、中央会ではこれからも継続してバックアップしていく所存である。


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