改正労働基準法のポイント 働き方の新たなルールづくりのために

労働基準法の一部を改正する法律が平成11年4月1日より施行されます。
ここでは、中小企業の方々に改正のポイントを理解いただくとともに、就業規則の変更作業などに役立てていただけるよう改正のポイントを掲載しています。


1.労働契約期間の上限延長(第14条)
労働契約に期間を定めるときは原則1年以内とされていましたが、一定のもの(新商品、新技術の開発の従事者を新たに確保する場合や、60歳以上の者)に限り、3年まで認められることとなりました。



2.労働契約締結時の労働条件の明示(第15条)
労働契約締結の際に文書で明示すべき労働条件として、従来の「賃金に関する事項」のほか、新たに「労働時間に関する事項その他命令で定める事項」が加えられました。



3.退職時の証明(第22条)
労働者が退職の場合において、使用者に証明書を請求できる事項として、「退職の事由」を追加。退職の事由が解雇である場合は、その理由を記載した証明書も請求できます。



4.1ヶ月単位の変形労働時間制の要件変更(第32条の2)
就業規則等によるほか、労使協定を締結し、労働基準監督署に届出ることによっても1ヶ月単位の変形労働時間制を導入することができることとなりました。



5.1年単位の変形労働時間制の要件変更(第32条の4、第32条の4の2)
(1)対象労働者の範囲の拡大(途中入社・退職者にも制度の適用が可能に)
(2)対象期間より短い期間勤務する者に割増賃金の清算を義務づけ
(3)「1ヶ月以上の期間ごと」に区分して労働日および労働時間を定めることが可能に
(4)対象期間中の労働日数の限度を創設
(5)1日・1週の限度時間を変更
(6)連続労働日数の限度を変更
(7)育児を行う労働者に対する配慮を義務づけ


6.一斉休憩の例外(第34条)
休憩の一斉付与の原則が、労使協定の締結を条件に適用除外されることとなりました。労使協定には、一斉休憩の例外的取り扱いをする労働者の範囲、休憩の与え方を定めておかなければなりません。



7.長時間にわたる時間外労働の抑制(第36条)
労働大臣は、いわゆる36協定において定める労働時間の延長の限度等について、労働者の福祉、時間外労働の動向等を考慮して基準を定めることができることになりました。



8.年次有給休暇の付与日数の引上げ(第39条、第72条)
通常の労働者に対する付与日数は、次のとおりとなりました(平成12年度まで経過措置あり)。

継続勤務年数 0.5 1.5 2.5 3.5 4.5 5.5 6.5 7.5 8.5 9.5以上
付与日数 平成11年度 10 11 12 14 15 16 17 18 19 20
平成12年度 10 11 12 14 16 17 18 19 20 20
平成13年度以降 10 11 12 14 16 18 20 20 20 20

9.就業規則に関する別規則の制限の廃止(第89条)
就業規則の作成に当たり別に規則を定めることができる事項(賃金に関する事項等)の制限を廃止しました。



10.法令等の周知義務(第106条)
使用者が労働者に周知させなければならないものとして、就業規則等に労使協定(新たな裁量労働制が施行された後は労使委員会の決議を含みます)を加えることになったほか、その周知は常時各作業場の見やすい場所への掲示又は備付け、書面の交付その他の命令(省令で定める)で定める方法によることになりました。




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